- リバーブ
- リバーブ・エフェクター
- ディレイとエコー
- エコーマシン
- ディレイタイム
- ディレイとエコーの違い
- ディレイの活用例
リバーブ・エフェクター
さてこうしたリバーブ成分を「人工的に」作り出し、原音に付加するのがリバーブ(・エフェクター)です。冒頭のスプリング・リバーブは、バネの共鳴を利用したリバーブエフェクターです(フェンダーのギター・アンプなどにも使用されています)。この他にも鉄板や部屋の響きを利用したリバーブがありますが、こうした残響を電子的にシミュレートして生み出すデジタルリバーブや、各種プラグインが現在ではポピュラーになってきています。
エフェクターの登場前はどうしていたかというと長い残響が欲しければ「大きな部屋」、響きが欲しくなければ「小さな部屋」で録音する・・・みたいなやり方をしていたわけです。故冨田勲氏の不朽の名曲「新日本紀行のテーマ」の拍子木は、ビルの非常階段を使って収録したとのこと、、、素晴らしい音ですね。
リバーブ・エフェクターの主なパラメーターとしては
- プリディレイ:直接音から初期反射(または後部残響音)までの時間→音源までの距離などをシミュレーション
- リバーブタイム:後部残響音の減衰時間→部屋の大きさなどをシミュレーション
- ハイダンプ:高域の成分量を調節する→壁や天井、床の材質などをシミュレーション
などがありますが、機種、タイプによってパラメーターの種類は千差万別。下図はIK Multimediaのプラグイン「CSR」の設定画面です。上記の他にも色々なパラメータが見えると思います。
現実の世界では部屋の大きさ、奥行き、材質等で残響音の長さや音質といった特徴が変化するわけです。リバーブエフェクターの各種パラメーターを変更することで、こうしたさまざまな環境をシミュレーションすることができるわけですね。
WAVES TrueVerb
なお人工的に残響を生み出すことができるということは「自然界にはありえない響き」も創りだすことができてしまいます。
Phil Collins -Sussudio- 残響音をゲートでスパッとぶった切るゲートリバーブという、特殊効果を使ったドラムが有名です。
【関連記事】ナイスなドラムサウンド(&プレイ)年代順まとめ。
実験
では実際に楽器音にリバーブをかけ、どの様に音色が変化するかを試してみることにしましょう。
まずは先ほど出てきたパイプオルガン。シンセで代用してみます(KOMPLETE 9を使用)
エフェクトのかかっていないドライな状態と教会風リバーブを聴き比べてください。
一聴瞭然です・・やはりパイプオルガンにリバーブは欠かすことができません・・アーメン
続いてはドラム。同じフレーズを繰り返し、タイプの異なるリバーブを順次切り替えてみましょう。
ドライ > 大ホール > 小会議室 > 地下? といった具合にキャラクターがまったく異なっているのがわかると思います。ただし、通常の音楽制作においてはドラムセット全体に一律のリバーブをかけるということより「スネアは深いリバーブ、キックはドライ」のように楽器ごとにエフェクト処理を行うのが一般的かと思います。
・・というわけで、リバーブはサウンド全体のキャラクターを演出する際に必要不可欠なエフェクターです。実際のミキシングでは、ギター、ボーカル、キーボードといった個々の楽器ごとに異なるリバーブ処理を行い、更に全体のカラーを付けるといった、複合的に使用するケースが多いのではないでしょうか。
When The Levee Breaks / Led Zeppelin 部屋鳴り?のナチュラル・リバーブがゴキゲンですね。
残響のない世界・・無響室
人工的に残響をシャットアウトしたものが、工業製品や家電製品の動作音測定や音響機器開発などに用いられる「無響室(むきょうしつ)」です。
ここではほぼ反射による残響がありません。ワタクシも何度か入った経験がありますが、まず聞こえるのが「耳鳴り」そして訪れる「静寂」・・・・なにしろ音が響かない「特殊な世界」なので、人によっては疲れと不安感で長時間は耐えられないという方も出てくると思います。
上下左右前後すべてが特殊な構造になっており、部屋の中心部に鉄状の「すのこ」でできたた場所が用意されていて、そこで「無響」を体験することが出来ます。
無響室
ディレイとエコー
一般的にはリバーブは残響音の集団ですが、「エコーやディレイ」は一つ一つの遅延音が原音と区別できる存在・・つまり「やまびこ(こだま)」のように比較的時間が長い「独立」した遅れということになります。「やまびこ」の意味がどの年代まで通じるのか不安ですが・・
わかりやすくいえば
「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」
というやつですね。
「エコー」はカラオケボックスで「もっとエコーかけて・・」とよく使われるのでよくご存知だと思います(あれはリバーブに近いかな?)「もうちょいリバーブかけて~」という方は少々ウザがられるかもしれません、注意しましょう。
昔はテープエコーというのがあって、これはテープに録音した音をいくつかの再生ヘッドで再生することによって「やまびこ」成分を作るという仕組みでした。