こんにちは!

Wind&Repairの杉浦です!


先日修理をした楽器でおこった、ヒヤッとしたお話です。

トランペットの修理にて

それは、トランペットの修理をしている時でした。

主管のウォーターキィコルクが、取れて交換を行う楽器でした。

新しいコルクを取付けて主管を組み立て、音出し点検をしたら...


音 が 出 な い …

楽 器 に 息 が 入 ら な い …

おかしい...作業前は、音が出せてたのに...

まるで、楽器の中に何かが詰まっているかのようだ...

明らかにおかしいのです。


原因を考えてみました

①交換したコルクが穴を塞げていない?

コルクとキィ穴の接地が上手くいかないと、穴が塞ぎきれないことがあります。

細かい工具を使って、穴が360度全面が塞がっているか確認します。

→塞がっている、水漏れもありません。


②ピストンの向きが違う?

各ピストンは、穴の位置が微妙に違います。

入れ違えてしまうと穴の位置がズレるので、息が通らなくなってしまいます。

→マウスピース側から1・2・3番

ピストンの刻印通り、入れ違いもなく向きも正しく入っている...


③ピストン内部のパーツの向きが違う?

ピストンの中に、スピル(又はガイド)というパーツがあります。

ピストン番号が刻印されている筒の横から、飛び出している白いものがスピルです。

このパーツにも、上下・左右の向きがあります。

間違えると、ピストンがはまらなかったり、穴の位置がズレて音が出せなくなります。

→正しい向きで入っている...



おかしい...パーツは全て正常なのに、音が出ない

①~③リペアマンがよく遭遇する「音が出ないあるある」ポイントを確認してみましたが、原因が分からず...

段々と焦りが出てきて「音が出せない魔法をかけられたのか?!」「誰かが陥れようと仕掛けた罠なのか...?!」などよく分からない事を考えだします。

後輩がいる手前、仕事出来るリペアマンを装っていますが、頭の中は大パニックです。


一度、深呼吸してみる

このままには出来ないので、落ち着いてもう一度作業工程を見直します。


コルク交換のために主管を外し、コルクを取付ける...

古いグリスを落とし、新しいグリスをつける...

組み立てる...


もしかして!!!!!




諸悪の根源はこれだ!

それでは、音が出せなかった原因をお見せします。

心の準備はよろしいでしょうか。

みなさん!!!なんだか分かりますか!!!(5円玉の方ではありません)

この物体は管 の 内 側 に 溜 ま っ た 汚 れです!!!

お掃除をしたら、この汚れが出てきたのです!!!

お金と比べると、その大きさが分かりますね!!!

リペアマンでも中々見ない特大サイズですよ!!!

(原因が分かって、非常に興奮しております!!!)


この汚れ、楽器のココから出てきたのです。

ズームします。

主管を通り過ぎ、3番ピストンへと繋がるこの部分、枝管(えだかん)と呼んでいます。

こんな狭い場所に、詰まっていたのか...

さすがに1日で溜まる汚れの量ではないので、積もりに積もってこの量になったのでしょう。

主管を組み立てる直前、お掃除でガーゼの付いたクリーニングロッドを入れた時、汚れが押しつぶされて息の通る道を塞いでしまったと考えられます。

念入りにお掃除し、主管を組み立て再度音出しをしたところ...



音 が 出 ま し た (涙)

良かったーーーーーー!!!!!

ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます!!!

まさか楽器を壊してしまったのではないかと、心配をしていましたが、こんなことありませんでした!!!

心なしか、作業前と比べて息の通りが良くなりました!!!

(音が出て非常に興奮しております!!!)


1人で勝手に焦っていましたが、難しいことは一切しておりません。

本番前に、はりきってお掃除する方もいらっしゃると思いますが、みなさんと同じお手入れをするだけで、こんなに大きな汚れが発見できました。

こんなこともあるのですね!また1つ勉強になりました。


お掃除の盲点?

楽器お渡しの際、汚れのこともお話しつつ、普段のお手入れ方法について伺ったところ、こんなことが分かりました。


・部活動で、ほぼ毎日演奏している

・演奏後のお掃除は毎回行っている

・お手入れで使っているのはクリーニングスワブ

・買ってから約2年、水洗いはしたことがなかった


練習後のお手入れ、とても素晴らしい習慣ですね!

しかし、クリーニングスワブだけでは、トランペット全体がお掃除できるわけではないのです。

もちろん主管やマウスパイプ等、スワブを通している場所は大変綺麗でした!

ですが先程見て頂いた枝管、実はスワブが通せない場所ですので、今回の場合は約2年間一切お手入れが行われていなかったことになります。

2年でどれ程の水分が、楽器の中に溜まるでしょうか。

また、お手入れで何回グリスを付け直していたでしょうか。

お水の量や管内に残ったグリスやホコリ等...考えるとあの汚れの量も納得です。

そして日頃からのお手入れが、とても重要だということですね!

ちなみに、この後お客様にも音出しをして頂きましたが、息がよく通るようになり吹きやすくなった!とのことでした。

めでたし、めでたし。


汚れをよせつけない!お手入れ方法

ポイントは4つです。

音が出せなくて焦らない為にも、ご一読下さい!

①オイル・グリスをしっかり塗る

各動作を良くさせると共に、水分を弾いて溜まりにくくします。

演奏時間が長い方はその分、油も抜けやすいです。

古い油はしっかりと落としてから、新しいものを付けるのも、効果を十分に発揮させるコツです!


②管内に水分を残さない

水分のあるところに、汚れは溜まります。

クリーニングロッドやスワブを使って、内側の水分を取り除きましょう。

スワブは間違った場所に通すと取れなくなるので、必ず説明書やパッケージをよく読んで正しく使いましょう。


③演奏前にはお口のクリーニングも!

意外とやっていない方が、多いのではないでしょうか?!

食後は、必ずお口のクリーニングもお忘れなく。


④定期的な水洗い

クリーニングロッドやスワブが、届かない場所がありますので、定期的に水洗いで汚れを落としましょう。

ピストン楽器の方は、道具が揃えばご自身での水洗いが可能です。

使用状況にもよりますが、半年~1年に1度が目安です。

不安があれば私達リペアマンにお任せ下さい!


一方、ホルンやトロンボーン等、ロータリーが搭載されている楽器は、ロータリーの分解に専門的な知識や特殊工具・交換パーツが必要になりますので、ご自身での分解・水洗いはオススメできません。

ご自身でお手入れできる抜差管などクリーニングにとどめ、年に1度を目安にお近くの島村楽器へご相談下さい。

ロータリーのクリーニング・調整風景はこちら↓↓↓

https://www.shimablo.com/blog/repair-wind/2019/02/23/2175


また、Wind&Repairでは夏季限定イベントとしてトランペットの洗浄体験も開催しています。

前回の様子はこちら↓↓↓

https://www.shimablo.com/blog/repair-wind/2018/08/21/1481

お申し込みはこちらから↓↓↓

https://www.shimablo.com/blog/repair-wind/2019/03/16/2253?_ga=2.67105322.581666354.1552614333-1978387118.1535006490



管楽器は口をつけて演奏するので、衛生面にも気を付けたいですよね。

毎日のお手入れを正しく行い、気持ちよく演奏しましょう!

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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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