リペアガールの”管がえる人”Vol.14【乾燥注意!管体割れってどうなるの?】
こんにちは!
あけましておめでとうございます!!🎍
と言うにはもう遅いですね(笑)2018年になってだいぶ経ちました。
日本人が1年の中で1番【自分の運勢】を気にする1月。
私のおみくじは吉でした。まあまあですね。
京都の伏見稲荷には【吉凶未分末大吉】(良し悪し未だ分からず末大吉)という大吉でも凶でもない、
なんともよく分からない種類のおみくじが出るとか。
さて、今回は運も関係する!?木製楽器の管体割れについてです!
管体割れってどんなの?
木製の楽器特有の症状です。
クラリネットやオーボエを始め、木製ピッコロ、木製フルートなど。
管体の表面にヒビが入ったように見えるのが管体割れ(ヒビ)です。
どうしてこのような割れが起きるのか?
楽器を買ったときに「しっかり水分をスワブで取ってあげてね!」と言われた方も多いと思います。
勿論私もお客様へは「通し過ぎかな?って思うくらいスワブを通してあげるといいです!」と伝えています。
要は水分(湿度)の変化で割れが起きてしまうのです。
木製の楽器は製作時にシーズニングと呼ばれる木を乾燥させる工程が入ります。
そこからキィを取り付けて楽器ができる訳ですが、お手元に楽器が届くまでに楽器に息が入るのは数回です。
製造時の吹奏チェックや試奏などのみ。いずれも何時間も吹くわけではありません。
つまり、購入したばかりの楽器というのは一番乾燥している状態な訳です。
乾燥した木は体積が小さくなっています。
そこに息を通して内側に水分が通っていくことで管体が膨張をはじめます。
ちくわをおでんにするとちょっと大きくなるのと一緒のようなものです。笑(ちょっと違うような・・・)
クラリネットの管体は結構な厚さがあります。
管体の内側は水分の影響を受けやすく膨張する力が働きます。
反対に管体の外側は特に冬場は空気の乾燥で木が縮もうとする力が働きます。
下図は私がパソコンでよたよたと書いたクラリネットを輪切りにした図です!(゜Д゜)ノ
図が下手だとか、矢印くらいちゃんと書けとかそういうことは置いといてですね(笑)
水色の矢印が縮もうとする力、赤色の矢印が膨張しようとする力という訳です。
この2つの力が反発しあった結果、管体が耐え切れずに割れてしまうという原理です。
「買ったばかりは一気に何時間も吹かないほうがいい」とよく聞くこの文言もこの為。
少しずつ膨張させれば割れることなく管体が日本の気候、長時間の吹奏に慣れていきます✨
因みに買ったばかりでなくても外気と管体内側の湿度の違いで割れてしまうことはあります。
常に気を使ってあげましょう!
気を付けていたけど割れてしまった。。
ショックですよね。
分かります。私も自分のクラリネットが割れた経験があります。
でも泣かないで!!!!!( ;∀;)
管体割れ修理というものがございます!
写真なので分かりにくいかもしれませんが・・・・
がっつり割れた管体を
綺麗になおします!(修正痕は残ります。)
この写真はかなり大きくひび割れができていますが木目と区別がつかないような小さな割れもあったり、
キィの下に隠れていて見えなかったりする物もあります。
この写真はさっきの割れよりも分かりにくいですね。
一番上の音孔の部分を縦断して割れています。
割れが起きてるか心配、この線は割れ?木目?など不安になったらいつでも修理相談にご来店ください(*'ω'*)
管体が割れてしまった!だけど修理に持っていく時間がない!これって吹き続けていいの?
という質問をたまに頂きます。
結果から言うと「吹かないほうがいい」です。
だいたいの管体割れは表面だけにヒビが入っているだけですが、そのまま吹き続けていくことで
ヒビが奥まで進行しやがて貫通してしまうリスクがあります。
管体に穴が開くということです!!!
こうなってしまっては正しい音は出せませんし、最悪の場合その管体は二度と使えなくなってしまいます。
割れに気づいたら割れている部分に付箋を貼るなどして分かるようにして修理屋さんになるべく早く持って行ってください!
割れに気づいてからしばらく吹かないと、また管体が縮みはじめてどこが割れていたか分からなくなる場合がありますので、
念のため付箋やテープを貼って修理屋さんに分かりやすくしておくと良いでしょう('ω')ノ
よく管体が割れてしまうと音が変わる、と言いますが、貫通しない限りは元に戻りますしきちんと修理すれば問題ないので割れたからといって楽器を嫌いにならないであげてくださいね(*´з`)
自分でできる予防をはじめよう!
楽器は24時間のうち大半をケースの中で過ごします。
つまりケース内の湿度は大事( `ー´)ノ
湿っているスワブをケース内に一緒に入れたりしてませんか?
煎餅やお菓子に入ってるシリカゲルを入れてませんか??
これらはNGです!!!!
湿ったスワブを一緒に入れるとケース内の湿度は高くなりすぎます。(しかも臭くなるよ!)
シリカゲルは20~30%まで湿度が落ちてしまうので乾燥しすぎです。
楽器の適湿は50~60%です。
その湿度にケース内を保ってくれる必須アイテムがこちら(*´▽`*)
モイスレガート!
湿度が高くなると吸湿し、低くなると加湿してくれる優れもの!!
効果はおよそ2年間と長持ち。
和柄でとてもかわいいです!色もいっぱいあるし!
まだモイスレガートを入れてない人はお店へ急げ!!!
湿度を保ってあげると調整も長持ちするんですよ♪一石二鳥ですねぇ。
それではまた次回!
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