12月に入り、一気に寒くなりましたね。
温かい食べ物もいいですが、お寿司が食べたい、富田です。
昨年から私の記事をご覧になっている方々は、薄々気付かれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私のMYこたつは絶賛フル稼働中です!
さて、今回はサックスのについての内容です。
サックスは金色に輝き、かなり派手な楽器なので演奏したことが無い人も、「サックスは知っている」という人が多いと思います。
それは、独特なベルがあるから
というのも理由のひとつではないでしょうか。
今回はそのベルのお話です。
低音が出にくい、その原因は?
修理・調整依頼の中に時々あるのが「低音が出にくい」
落としたわけでもなく、リードやマウスピース等を大幅に変えた訳でもない。
調整にも出している・・・原因は一体なんでしょうか?
それを探すのがリペアマンの仕事!
我々の出番です!!
リークライトを通して光の漏れ具合をチェックします
以前ご紹介したリークライトを使用して全体のタンポやキイバランスをチェックしていきます。
低音が出にくい原因はマウスピースからベルまで原因を探していく必要があります。
今回は・・・ネックと本体のバランスもしっかりとれている、高音域を出すパームキイ、左手・右手のキイ、しっかりしまっている・・・ベルまできてようやく原因が分かりました!
Low(ロウ=低音)キイのしまりが同じように開いている!
力を入れてギュッと押してもこの状態だと音は出ません。
トーンホール(音孔)の閉まり方も均一ではないですね。
リペアマンはこの場合何を疑うのか。
それは・・・
スバリ!「ベル位置のズレ」
何はともあれ修正しないと音は出ない。
では、どのように修正していくのか。
キイを曲げたり、タンポ合わせで音孔のふさがりが見込めない場合は、ベルを取って付け直します!
どこで、どのようにベルが分解されるのか、写真をご覧ください。
と!言いたいところですが、ベルがどこで分解されるのか推理しつつ、お話を進めていきましょう。
※答えは記事の最後に!!
ベルの接続・接着を補強しているパーツは様々あります。
二つのパーツは目立つようで目立たないこの場所で楽器を支えている縁の下の力持ち的な存在です!
ベル位置のズレは一気には進まず、長~~~い時間をかけて徐々に進んでいきます。
定期調整に出して頂く際に、タンポ合わせ等でカバーできる範囲の時もあります。
症状がひどくなってくると、「ベル位置修正」を行う場合がありますので、都度ご案内をしています。
※ベルを必ず外すわけではなく、個体の状態によってベルを外さなくても修正できる場合があります。
修正完了!
きちんと音孔が閉じているのが分かり、音も軽いタッチ感でスッと出るようになりました。
修正をしても、再発を防止していきたいですよね?
次に原因と対策をお伝えしていきます。
ベル位置のズレの原因は?
管体凹み修正時に凹みを直すための冶具(直す工具)をしっかりと当てていくためベルを外す必要があったり、経年劣化で接着が弱くなっているときは補強として再接着を行う時があります。
「ぶつけてしまったり、落としてしていない、凹み修正も今回はない。なぜ【ベル位置修正】が修理見積の中にあるのか」
原因はなんでしょうか?
私たちがまず疑うのは楽器の持ち運び方
ケースから楽器を出すとき、普段楽器を持ち運ぶときに以下のようにしていませんか?
ここでベルが分解される場所の答えです!
下の写真でキイが付いていたりしますが、AとBでどちらが重いか、もうおわかりですね?
そうです!Aの長い方はキイなどの重さがかなりあります。
サックスの重さのほとんどがAです。
ベルだけ持つと、Aは重いので重力に逆らえず、下に引っ張られてしまいます。
サックスは金属ではありますが、決して固いとは言えません。
今までにサックスを落としてしまったり、ぶつけてしまったりという経験がある方は十分理解されていると思います・・・。
日々の積み重ねはこういったところにも出てきやすいので注意してみましょう。
安全な楽器の出し方はこの赤丸のあたりを持つのが安心です。
キイも付いていないので、強く握ってしまう事もなく、指を入れて持ち上げやすいです。
持ち歩きの際は、先ほどの写真のA側のキイが付いていない背面をを持つようにしましょう。
楽器を置く際も背面が上になるので、ベルを持つことは少なくなってきます。
サムフックも付いていますので、ストラップがきちんと引っかけられているか確認もして、安全な持ち運びを心がけていきましょう!
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