アトリエ・コクーンの弦楽器工房日記vol.8「剥がれ修理バスバー編」
みなさま、こんにちは!
弦楽器修理担当の藤村です。島村楽器さいたま新都心店では弦楽器工房を併設しています。弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの本体と弓、コントラバスは弓のみ)の修理を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!
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今回の工房日記では「バスバー剥がれ(ハガレ)修理」をご紹介します。
表からは見えないバスバーは、下の画像のように弦楽器表板の内側にニカワでつけられています。音の振動を楽器全体に伝える、表板を支えるなど重要な役割があります。丈夫すぎても弱すぎても✕。絶妙な力加減で楽器の音色を生み出す、とても大事な部位です。
オーケストラで弾いていたら突然音が変になってしまった、というご相談をいただきました。外見上は問題なく、弾いてみると音にならないとのこと。軽くタップするとかすかに雑音があり、弾くと魂柱がない時よりさらに音にならない感じです。もしや、とエンドピン穴から中を覗いてみると…(↓画像)。ニカワで接着されているはずのバスバーが全体的に浮いています。貴重な体験でしたね!ということで修理をご希望されました。
表板にはなだらかな隆起がありますので、バスバーもその隆起に合わせてフィッティングし直します。音に張りが出るよう適度なテンションをかけながら合わせ、ニカワで再接着します。少し形を整えて表板を閉じ、再び演奏できる状態にセッティングして完了です。
修理後、ハリのある音色が戻りました。今回ようなケースでは、バスバーの音響効果がどれほどのものかということを実感します。バスバーが部分的に外れることは(古い楽器などでは特に)起こりえます。
音にハリがない、音量が極端に落ちたと感じる、などありましたらぜひご相談くださいませ。
それではまた、次回工房日記をよろしくお願いいたします。さようなら!
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