フロイドローズの調整 ~”弦高”と”弦高バランス”~

皆さんこんにちは!

先日、甥っ子が「ミッチー!ミッチー!」と言うので、

「ほぉ...某刑事ドラマシリーズでも観せてるのか...? 中々に斬新な教育をしているな、私の姉は...」

と思ってテレビに目を向けると、ミッキーの事だった…

「…あ、そっちね!」と、脳内で自分にツッコミを入れた、ギターリペア工房・中澤です!


今回はここ数か月で3本のギターのリペアのご依頼を頂いているお客様の楽器に手を入れて参ります!

ありがたい事に、1本目・2本目を担当させて頂いた私のセッティングが大変弾きやすかったとの事で、

2本目同様、私をご指名でお送り頂きました!

リペアマン冥利に尽きます・・・。


内容は至って普通の基本調整なのでいかんせんビフォーアフターの変化をお写真でお伝えするのが非常に難しいのですが、

ロックナットとフロイドローズの調整と言う事もあり、細かな所まではご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、

今回は”弦高調整”にスポットを当ててご紹介致します!

さて、目を光らせるのは”ナット側の弦高”と”ブリッジ側の弦高”です。

「弦高のセッティングはそのままで」とのご希望だったのですが、元のナット側の弦高はかなり低く、

軽めのタッチでもビビりが出やすい状態にありました。

低めがお好みだと知っているとは言え、ビビりが出てしまう状態でお戻しするのは流石に忍びない・・・ので、

その旨のご説明をし、ご了承を頂きましたので今回は可能な限りそのご希望に添う形で調整を行って参ります。


そこで登場するのがこちらです。

世に言う、”ロックナットスペーサー”なる物です。

これはロックナットの下に敷いて高さを調整する為だけにこの世に生を受けたモノです。

形状から用途はお察しが付くかと思いますが、写真の向きでロックナットの下に敷きます。

実際に仕込んだところを横から見てみるとこんな感じになります。

ナット側での弦高(1フレットの頂点と弦の間の距離)はエレキギターであれば0.5mm程度が標準的(諸説あり。)ですが、

こちらのユーザー様は弦高のセッティングは低めがお好みだと知っておりますので、

ビビりを抑え且つ”低めの弦高”の範疇に収まる絶妙な具合を狙います。

当工房では0.1mm~0.3mmの3種類を常時ストックしており、お客様のお好みに応じたセッティングが可能。

今回は0.2mmのスペーサーをチョイスし、それによって仕上がりは高音弦側は0.3mm・低音弦側は0.4mmとなりました。

太い弦の方が振幅が大きくビビりが出やすい事を加味した上での狙い通りの結果に。


さて次はブリッジ側の弦高の調整を行って参ります。

フロイドローズの弦高調整はアンカーを6角レンチで回す事で比較的簡単に出来るのですが、

今回行うのは更にシビアに手を入れて参ります。

と言うのも、実は今回行うのは”弦高のセッティング”と言うより”弦高バランスのセッティング”になります。

アンカーを回すのみでは、この”バランス”は変えられないので、そこは技術者である私の出番!

・・・いや、この子の出番です。(笑)

この子はサドルスペーサーと言う名のもと、弦高のバランスを調整する為だけにこの世に・・・(割愛)

こちらも形状から用途はお察しが付くかと思いますが、写真の向きでサドルの下に敷きます。

実際に仕込んだところを横から見てみるとこんな感じになります。

サドルの下にサドルとは違う何やら板が仕込まれているのがお分かり頂けますでしょうか?

当工房ではエレキギターのブリッジ側での弦高を見る時は14フレットと弦の間の距離を測り、

1弦~6弦までは階段状に高くなっていくのが理想(こちらも諸説あり。)とされております。

(例: 1弦:1.5mm・2弦:1.6mm・・・・・・6弦2.0mmと言った具合。)

こちらのギター、元の弦高バランスは僅かに崩れており、数値的には2弦~4弦は階段状になっていたのですが、

1弦だけがかなり低く、5・6弦が4弦と同じ高さでした。

と言う事は、1・5・6弦のサドルの下に適切な厚みのスペーサーを仕込んだ後でブリッジ全体を下げてあげれば、

元の弦高を維持したままバランスの調整が可能、と言う事になります。

前述の通り弦高のセッティングにはご希望がありますので、元より高くなってしまう弦が無いようにブリッジを下げ、

こちらも狙い通りのセッティングとなりました。

数値的には 1弦:1.2mmから階段状に弦高が上がってゆき6弦:1.7mmと言った具合になりました。

調整の作業を終えた後、やや色が落ちて綺麗な黒ではなくなっていたいたロックナットスクリューと、

ボリュームポットとトーンポットも併せて交換し、全工程が終了!


作業中の写真が少なく、流れとしてはざっくりとした紹介になってしまい申し訳御座いません。

お手持ちの楽器が弾きやすいのかどうか、問題があるのか無いのか、その辺りの判断は難しい事もあると思いますが、

その判断や、実際にお預け頂いた際の適切なご提案が出来るのが我々の強みでもありますので、

細かい事でも、気になる事が御座いましたらお気軽にお問合せ下さい!


・ポット交換(2個)及び基本調整工賃

・各種パーツ代:CTS製コントロールポット(2個)及び各種スペーサー

合計金額 ¥8,025(税込)+送料

当工房ではこのページの下記フォームよりリペアに関するお問い合わせも可能ですので、こちらも是非ご利用下さい!


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この記事を書いたスタッフ

立川店中澤

バンド経験を活かして、お客様がより楽しく楽器を弾くためのお手伝いをさせて頂きます!特に配線の修理やカスタマイズ、多弦楽器のセッティングはお任せ下さい!

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