リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その80~指板剥がし・ロッド仕込み直しの巻!

みなさまこんにちは!

リペアマン遠藤です!


まずはこちらをご覧ください。

いきなり何コレ?な写真ですが、

指板を綺麗に剥がしてトラスロッドを摘出した状態です。


こちらはヴィンテージのMosriteベースなのですが、

今回の修理作業を簡単に説明すると指板を綺麗に剥がしてトラスロッドを一旦摘出、仕込み直してから指板を再接着するというなかなかに強烈な作業でした。


事の始まりですが、

リペア受付時にハイポジションの指板が異常に盛り上がった状態で持ち込まれ、私は何コレ~???という感じでした。

症状としてはハイポジの音が詰まって出ないというもので、恐らく他所でフレットすり合わせで対応したのかフレットは今まで見た事が無い程にぺったんこになっていました。

この時から指板も少々剥がれ加減でしたが、現状に対するベストな修理方法がパッと浮かばなかったので、しばらくお預かりして考える事にしました。




お預かりしているうちにも指板が徐々に剥がれてきたので、余計に何コレ~??????という感じでした。

最終的に指板エンド部まで完全に指板が剥がれてしまったので、逆に修理の方向性は決まりました。

指板の接着が弱まっており、ロッドの押し出す力に負けて徐々に指板が盛り上がっていった。

そしてその力に耐えきれずにとうとう指板が剥がれ始めた。これが真相だと思います。

そのまま指板を接着してもすぐ剥がれる事が目に見えていた事と、この様子から比較的綺麗に剥がせる可能性が高かったので指板を全剥ぎしてから接着面を整え直して接着する事に決めました。


指板を剥がすところまでの写真は消えてしまっていたので、そこから先の写真しかありません…

ちなみに指板剥がしの方法はラバーヒーターと熱したヘラで地道に頑張りました。

フレット残が無かったので、フレット交換もすでに決まっていたので指板剥がしの前に抜きました。




そして指板を剥がして摘出したトラスロッドはこのような感じ。

2層式トラスロッド…噂には聞いていましたが実物は私も初めて見ました!

元は1本の鉄芯を折り曲げて2層にしており、ロッドを締めていくと上の層の鉄芯が徐々に盛り上がっていくというシステムです。

これによってネックを逆反り方向に動かすわけですね。



で、指板裏にはトラスロッドに対応する為に薄く溝が入っています。

昔の人はこのシステムをよく考えましたね…

今回の症状的にトラスロッドを締め込んだ際、ハイポジの一部に過度な力が加わっていた可能性が高いので、溝も修正して指板裏全体に適切に力が加わるようにしました。

そしてネック、指板裏の両接着面を整え直します。

いざ指板接着!


指板が付いたぞ~!


下に敷いてるマットも丁度変わったタイミングでしたね。

そこからの作業は早かったです。

ポジションマークがとても分かりにくかったので入れ替え、そして指板修正からのフレットを打ちました。

いいですね!

ナットはゼロフレット仕様だったのでそのまま生かす事が出来ました。

そして元のトラスロッドナットが酷く舐めておりしっかりロッド調整出来なかったので、こちらも交換しました。

before

after

めちゃくちゃロッド調整しやすくなりました。

ここまで来たらあともう少し!

ボディとネックを組み込んで、弦を張って調整して、電装系パーツを交換して…

はい完成です!


ヴィンテージベースなのにめちゃくちゃ弾きやすい!

音詰まりも皆無!プレイヤビリティ最高!

何とかやり切りました!



いかがでしたでしょうか?

当初は正直ヴィンテージなので無理はしたくないですし、厳しいかな~と考えていましたがやってみたら何とかなるものです。

作業期間としては半年以内で出来たので、想定よりは早かったです。

早かった要因としてはヴィンテージで指板とネックの境の塗装が完全に切れていたので、塗装作業を施さなくて良かったのが大きかったです。

注意点として新しめのネックだと指板を綺麗に剥がす事が出来ないので、カンナで削り取って指板は作り直す事になると思います。そしてもれなく塗装作業も込みになるので相当高額になりそうです。


今回の学び:大掛かりなリペアもやってみたら意外となんとかなる。(※場合による)


以上、リペアマン遠藤でした!

またお会いしましょう~

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この記事を書いたスタッフ

仙台ロフト店遠藤

宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!

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