大切なマイスネアをいつまでもよい音で
札幌パルコ店のトリヅカです。
ともにたくさんのステージやリハ、レコーディング等をこなした自慢のマイスネアドラム。みなさんもお持ちのことと思います。
こだわりのヘッドを選び、チューニングもばっちり決めて、自分だけのサウンドを鳴らすスネアドラムはまるで自分の分身のようにすら思えてくるものです。
そんな大切なマイスネアを、ずっと良い音で使い続けるために、スネアドラムのメンテナンスについてお話ししたいと思います。どうぞお付き合い下さい。
(以前札幌パルコ店の記事としてupしたものに加筆修正しました)
ドラマーならば持ってて損はない!使用アイテム
- Tハンドルチューニングキー
- チューニングキー
- プラスドライバー
- パーカッションオイル
- ギターポリッシュ
- クロス(オイル用と、拭き上げ用)
今回交換するアイテム
- ドラムヘッド
- ボルトタイト
- チューニングロック
- スナッピーひも
ぞれぞれのアイテムについては、各項目でご説明いたします。
まずはヘッドを外しましょう
各店舗でも大人気の便利アイテムがこのTハンドルチューニングキー。
作業の速さと手軽さで、要求されるローディーさん、テックさん、チューナーさんのみならず、個人ユーザーさんにも大人気のアイテムです。
(もちろんわたくしも店頭で愛用しています。それまで使用していた電動ドライバーは全く使わなくなりました。)
まずはテンションボルトを緩めましょう。最初はTハンドルのハンドルを持ち、対角線に沿って緩めていきます。
一気に緩めるとフープの素材によっては変形につながることもあるので、対角線上のボルトを緩めていくのをおすすめします。
Tハンドルキー本領発揮!?
だいたい緩んだら、さあこのキーの真骨頂!軸の部分をつまんでくるくる回します。
キーが勢い良く回転し、あっという間にテンションボルトが外れます。勢いがつきすぎて、テンションボルトごと外れてしまわないように気をつけながら、ブンブン回していきましょう。
その回る姿はまるで、未来の世界のネコ型ロボットがアタマにつけているアレのようです。この速さと手軽さ、一度使ったらやめられません!
テンションボルトを拭きます
外したボルトは、ネジ山の部分が汚れていることがあります。オイルを拭く用に用意したクロス、または使い古したタオル、着なくなったTシャツ等で、ボルトのネジ山の部分を拭きましょう。(ティッシュは切れ端などが残ってしまうのでNG)
拭く前に、市販の機械用スプレータイプのオイルを軽く吹くと、汚れが良く落ちます。少し時間をおいてから良くふき取りましょう。
スプレーオイルがない場合はカラ拭きでも良いでしょう。
ワッシャーをチェック
テンションボルトにはワッシャーが必要です。通常は金属またはプラスチック製のものが1~2枚ついています。もし無くなっていたら補充しましょう。
今回はカノウプスのボルトタイトを装着してみます。これは、通常の金属またはプラスチックのワッシャーに加えて、1ないし2枚装着するレザー製のワッシャーで、チューニングの緩みの緩和、余分な高倍音を抑える効果が期待できます。
求めるスネアドラムのサウンドの好みにもよりますが、太いサウンドを演出できるので、サウンド向上に役立つアイテムです。
カノウプス ボルトタイト BT-20
販売価格:¥1,100(税抜)¥1,210(税込)
ボルトタイト付きのテンションボルトもあります
ボルトにはオイルが必須
わたくしはドラムも叩きますが、自転車に乗るのも好きです。
自転車のメンテナンスも奥が深く、わたくしのようなシロウトがとうてい手を出せるものではありません。オイルだけでもチェーンや、回転する部分、サビ付き防止など、何種類も使い分けるそうです。
しかし、シロウトなりにそれらの違いを調べてみると、ドラムにも応用できる部分があったりもしました。
さらさらよりねばねば
ドラムで注油が必要な場所は、今回ご紹介するテンションボルトの他に、ペダルやスタンド類などです。それらのように、力がかかったり、激しく動いたりする場所には、一般にドラム用として販売されているオイルや、機械用のスプレー用のオイルは、必ずしも適していない事があるという分かりました。
そのようなさらさらなオイルを使用すると、オイル切れを起こしやすく、頻繁にオイルを差さなくてはなりません。そこで、オイルの効果が長持ちするスグレモノとしてご紹介するのがこちらです。
このパーカッションオイルは、たいへん粘度が高く、極少量で充分効果があるので、テンションボルト等可動部への注油に店頭でも使用しています。
ボルトの先に少量つけてなじませます。
たいへん粘度が高いので、ボルトにごく少量つけた後は、オイル用に用意したクロス等で余分な分をふき取りつつなじませます。
グリスも効果あり
なお、ドラムのテンションボルト等にはこのような固形のオイルである「グリス」も使用されます。本来管楽器用ではありますが、粘度が長持ちするためおすすめです。
ボルトの先に少しだけ付けて、指で擦り込むようにします。
液体のオイルもグリスも、つけすぎは禁物です。つけすぎるとホコリが付いてしまい逆効果になることもありますので、付けた後にふき取る位の感じで良いでしょう。
本体も拭きましょう
汗や手の汚れ、スティックの木くずなど、ドラム本体は大変汚れています。ヘッドを外さないと手が届かない部分もありますから、ヘッド交換はまたとないチャンスです。
クロスに、ポリッシュを少量つけて汚れを拭き取り、磨き上げます。拭きながら、異常が無いかチェックしてあげましょう。
店頭では、これらのギターポリッシュとギタークロスを使っています。(もちろんドラムにも使えます。)ポリッシュは、ラッカー、カバリング、金属パーツや金属シェルいずれにも最適。汚れを落とし、配合されたシリコンにより汚れをつきにくくする効果もありますのでおすすめです。
このクロスは、柔らかい感触の拭き上げ用。先述の、オイルを拭き取るものとは使い分けましょう。
フープも拭きます
演奏後、汗などの付着で錆びやすいフープもしっかり拭いていきます。拭きながら歪みやボルト穴の摩耗がないかチェックします。もちろんフープにも先ほどのギターポリッシュを使用します。
このポリッシュは、ドラム本体には最適ですが、シンバルには使用できません。また、シリコンにより若干滑るような感触になるため、ペダル、スタンド類への使用は注意が必要です。
シェル内側のネジを締め直し
手軽だけど、意外な盲点がシェル内側のラグ固定ボルトの増し締め。叩いた衝撃で少しずつ緩んでいることがあります。ドライバーを持った手に軽く力を入れてみて、緩んでいないかチェックします。
緩みがなければそれでok。もし緩んでいたら適合するドライバーで締め直します。
(しっかり締まっているならば、無理に外さないほうがよいでしょう)
締め直す際、ネジ山を絶対につぶさないように注意しましょう。ねじは、「回す力3割、押す力7割」とも言われていますので、力いっぱいに締め上げる必要はありません。なんか鳴りが良くないなぁ、というとき、意外にここが原因だったりもします。同時にストレイナーの固定ボルトも緩みが無いかチェックしてみましょう。
ヘッドを張って仕上げます
新しいヘッドを張ります。
ボルトとワッシャーが全て揃っていて、フープが正しく載っていることを確認してから締めていきましょう。
締めていく際にもTハンドルキーが使えますが、新品のヘッドを張る時には通常のチューニングキーで締めていったほうが分かりやすい場合もあります。
ヘッド交換については以下もご覧ください。
今回使用したヘッドはこちら
↑こちらはスネアに合わせて13インチのヘッドです。通常のスネアは14インチです。
10mil+7milという厚めの2プライ(二枚重ね)フィルムに加え、余分な高倍音を整理するエッジコントロールリングと、耐久性とアタックを向上するドットを装備。ず太いローピッチ、まとまりのあるミドル~ハイピッチ両方に対応する万能ヘッド。
スナッピーひもをチェック
スナッピーを固定しているヒモをチェックしましょう。演奏中に切れてしまうのを防止するために、スナッピーのエンドプレート穴に当たる辺りがほつれていないかをチェックします。少しでもほつれがあるときは迷わず交換しましょう。
カノウプス スネアワイヤー・コード(紐)タイプ CNC(4本入り)
販売価格:¥400(税抜)¥440(税込)
カノウプス スネアワイヤー・ベルトタイプ CNB(2本入り)
販売価格:¥400(税抜)¥440(税込)
チューニングロックをつけてみます
ある程度まで締まったら、通常のチューニングキーでチューニングをして完了です。今回は、カノウプスのチューニングロックも付けてみました。ラグナットの部分で固定するので、緩み止めの効果が期待できます。鮮やかな赤色がルックスのアクセントにもなりますね。
カノウプス チューニングロック(レッドロック) CTL4(4個入り)
販売価格:¥400(税抜)¥440(税込)
完成!!
もういちど全体を拭いて完成です。次の演奏が待ち遠しい!
復習もかねて
このような本も出版されています。スネアドラムだけでなく、ドラムセット全体のメンテナンスからチューニングに至るまで、付属CDで確認しながら作業ができます。初めてのペダルやスネアドラムを手に入れた方はもちろん、ドラム歴の長い方でも意外に知らないメンテナンス。全てのドラマーさんにおすすめです。
おしまいに
日頃、店頭でたくさんのドラマーさんとお話をする機会がありますが、ギター類に比べて、ドラムはメンテナンスに時間や手間をかける方が少ないように感じています。しかしドラム関連の機材は、叩いたりさらに足で踏んだりと、たいへん酷使されています。愛用の楽器でいいサウンドをずっと楽しむために、ぜひドラムのメンテナンスにも目を向けていただけたらと思います。 ご不明な点は店頭でもお伺いいたします。ぜひお気軽にお問合せ下さい。
こちらの記事もどうぞ:アコースティックドラムはチューニングが決め手! スネアドラムのチューニングをしよう
こちらの記事もどうぞ:今さら聞けないシリーズ
この記事を書いた人
札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚
ドラマーさんのお悩み解決のため毎日元気に営業中!
ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。
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