
チューニングが出来てこそ一人前のドラマー!!

札幌パルコ店のトリヅカです。
「今さら聞けない・スネアドラムのチューニング編」に続き、今回はドラムセット全体のチューニングについてご紹介します。
上記の記事では、スネアドラムのチューニングをご紹介しました。
マイスネアドラムを持ってリハスタやライブハウスに入ることはよくあると思いますので、スネアドラムのチューニングが重要な事は言うまでもありません。
しかし、バスドラム、フロアタム、タムタムを含めたドラムセットをチューニングする機会は思いのほか少ないのではないでしょうか。スネアドラムのみならずドラムセット全体のサウンドは、楽曲のイメージを形成する重要な要素です。
ここはひとつ、ドラムセット全体のチューニングをマスターし、自分だけの音を追求してみましょう!
(なお、この記事では一般的なリハーサルスタジオでのロック系中心の音楽に向けたチューニングを想定しています)
まずは入門編

リハスタに入ったときに、ドラムセットのチューニングが、「悪くないんだけど、どうも音のイメージと違う…」または「このまま演奏するのは厳しいなぁ…」という事があると思います。
しかし、限られた練習時間ですからバンドメンバーを待たせるわけにはいきません。セッティングと合わせて10分以内には演奏を始めたいところです。
ドラムセットのセッティングも意外に時間がかかるものですので、逆算してドラムセット全体のチューニングは「5分以内」で仕上げる、という目標をたてました。はてさて出来るでしょうか…
手順を紹介
- リハスタでの普段の練習
- 5分以内
という条件ですので、ある程度「ざっと」作業を進める必要があります。
まず、今回チューニングの対象としたのは一般的なセットである、タム2個、フロアタム、バスドラムとしました。(ほとんどの場合がこのセットだと思います)このうちタムとフロアタムはサイズの縦横比とマウント方法の違いですので、手順、考え方はほぼ同じと考えます。
これに対しバスドラムはフロント側に穴があり、シェル内部にミュート入りということで、別物と考えましょう。
もちろん、スネアドラムはあらかじめチューニングしておいたものを持ち込むのはスピードアップにつながります。スネアドラムはリハスタでは最小限の修正ですむようにしましょう。
(1)まずバスドラムから

打面側のテンションボルトを緩めます。ボルトに力がかからなくなるまでで、外す必要はありません。ペダルは外しておいたほうが作業はしやすいですが、踏みながら作業することもあるので付けておいても良いです。(一部のペダルはテンションボルトと干渉するのでその場合は外します)

全てのボルトを緩めたら、手にぐっと力がかかり始める瞬間位まで再度締めていきます。ボルトに手ごたえを感じたらそこまででOK。
ボルトやフックがカチャカチャ鳴らなければいい程度にゆるめで良いです。対角線に沿って締めていかなくても良いでしょう。

ここで踏んでみて、胴鳴り感、音の太さが足りないときはフロント側の張り具合を確かめてみます。

フロントが緩すぎるとペチペチとしたアタック感だけになってしまいますので、胴鳴りが程よく聞こえる当たりまで少しづつ張っていきます。

座った位置だけでなくできればフロント側の音も聴きながら踏みます。一人だと大変ですが頑張ります。

ミュートが入っている場合は打面とフロント両方にバランス良く触れるようにします。当たり方で音を作ることもできますが、まずは打面、フロント両方に均等に当たるようにしておきます。
ウェイトが入っている場合はミュートがずれないように適宜押さえます。


打感はかなり柔らかく、ヒットした瞬間にビーターが沈み込む感触があると思います。気になる場合は少しづつ張ってみるのもよいでしょう。
しかしここで注意しなければならないのは、張りを強くしてもアタック感は出ず、むしろ輪郭がぼやけていく場合が多いということです。それを念頭に置き、打感よりもアタックと胴鳴り感のバランスを重視すべきだと思います。
胴鳴り感(ドン)とアタック感(バチン)がバランスよければOK。演奏しているとペダルに近いボルト2本が緩んで来ることがあるので、90°程締めておきます。

バスドラム調整の小技
足の長さを調整することにより床から浮き方を調整できますが、極端に長くし過ぎずに、傾きを急にしすぎないのがポイントです。ペダルを付けたときにほぼ水平になるように、フロント側の高さは床から指1~2本程度でよいでしょう。

バスドラムはこれで終了です。ここまででおよそ2分かからない位です!
(2)フロアタム
さて、タムとフロアタムはマウント方式が違いますが、両面にヘッドが張ってあるということで手順は同じに考えます。バスドラム同様、いったん緩めて…

張っていきます。いったん全てのボルトをテンションがかかり始めるところまで締めたところがスタート地点。
スタート地点から締めていく点はスネアドラム編と同様です。
【今さら聞けない】 アコースティックドラムはチューニングが決め手!、、、スネアドラムのチューニングをしよう – 島村楽器ドラムブログ
スネアドラムの記事内では「スタート地点」に到達するまで指で締めました。それでも良いのですがスピードアップのためにこのようなチューニングキーを使用するのも便利です。

上部のつまみ部分を指で回すことができます。このキーで指で回せなくなるところまで回したらそこがスタート地点ということで良いでしょう。スタート地点から対角線に沿って90度ずつ締めます。

リハスタのドラムヘッドなのでもう十分馴染んでいると仮定すると、スタート地点からはそれほど締めなくても音が作れます。ヘッドやドラムのサイズなどにもよりますが、今回のケースでは45度ほど締めていったん終えました。
フロアタム調整の小技
フロアタムの下にブランケット等を置くと余韻の長さを調整できます。

(3)タム
タムも同様にいったん全て緩めてから、締めていきます。

タムはスタート地点→90度締めにしました。

タム調整の小技
タムホルダーの長さを調整することで余韻の長さを調整できます。(タイプにより効果は差があります)

タム、フロアタムはとりあえず打面のみ調整します。
(4)微調整
打面ヘッドの中央に指を軽く置いて、テンションボルトから2センチ位のところを順番に叩いて音を聞きます。ボルトによって音の高低があったら調整します。ひどくずれている箇所を探す程度で、厳密に揃えなくても良いでしょう。

(5)ボトムヘッドの調整
今回はあくまでも短時間でざっと調整することに主眼をおいていますので、ここまでの作業でだいたい音を作る事が出来たら裏は触りません。
しかし、タム間で余韻があまりに不自然に揃わない場合や、フロアタムの余韻が短すぎる(長すぎる)場合はボトムヘッド(裏面)も調整します。

(4)の微調整から始めても良いですが、一度緩めてゼロからスタートのほうが分かりやすいかもしれません。

(6)ここまでで5分!!
タム→タム→フロアタム3点を叩いてみて音程差が自然であれば良いでしょう。お疲れ様でした!

tune-bot を使ってみよう
ドラムのチューニングメーター「tune-bot」
ドラムの音程を周波数と音名で教えてくれる便利アイテムです。

お気に入りのチューニングが出来たら、各ドラムの音名を覚えておきます。
これでいつでも自分の好きな音を再現できます。
再現動画
おしまいに
今回は、ドラムのチューニングに親しんでもらおうという願いを込めて書きました。
上記の項目では(4)微調整や、(5)裏ヘッドの調整など、経験が必要な項目もあります。しかしこれらは経験を積むことで「叩くだけで裏表のバランスがくずれているかどうか分かる」「ボルト周辺の音のズレが聞き分けられるようになる」というように、慣れてくるものです。
通常のチューニングの作業でドラムが壊れることはありません!いきなり5分で仕上げるのは練習も必要かもしれませんが、ぜひドラムと親しみ、自分だけの音を見つけていってほしいと思います。
※今回はあくまでも入門編です。続編ではジャンル別の音等少し詳しくご紹介いたします。
こちらの記事もどうぞ:アコースティックドラムはチューニングが決め手! スネアドラムのチューニングをしよう

こちらの記事もどうぞ:アコースティックドラム は チューニング が決め手! さらにいいスネアサウンドを求めて。。 <続編>

この記事を書いた人
札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚
ドラマーさんのお悩み解決のため毎日元気に営業中!
ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。

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