こんにちは ! 札幌平岡店ドラム担当の 石橋です。
電子ドラムを演奏する上で欠かせないアイテム「ヘッドフォン」ですが、どれがオススメなの?とお悩みのドラマーさんも多いかと思います。そこで今回定番ヘッドフォンから電子ドラム専用機種まで実際に試してみました!!
検証の前に・・・
ヘッドフォンは3つのタイプがあります。密閉型(クローズド型)、開放型(オープンエア型)、そして中間に位置する セミオープン型 です。それぞれの特徴を簡単に説明します。
- 密閉型・・・しっかりと低音が聞こえ、迫力のあるサウンドです。また、遮音性が高いため、音楽の世界に没頭できます。
- 開放型・・・高音域がよく伸び、こもらず抜けの良い音です。奥行きや空気感も聞き取りやすく、聴き疲れしにくいのも特徴です。
- セミオープン型・・・ハウジング(音を増幅する部分)に小さな穴が空いているタイプ。低音の「こもり」や高音の共鳴を防ぎ、鮮明で立体感に富んだサウンドを楽しむことができます。
今回の検証について
ヘッドフォンを検証する上で欠かせない要素が「スペック」になりますが、スペック一覧をみてもよく判らない、というドラマーさんもきっと多くいらっしゃるはずです(何を隠そう私がそうです!)。
そこで今回用意した比較表がこちら!!
5項目の中心を 0 としたチャート内に ★ を付けます。★の数が多いほど該当する項目の数値が大きい(または小さい)という意味です。比較には「基準」が必要ですが、ヘッドフォンには様々なタイプがありますので、今回は比較する全てのヘッドフォンが収まる範囲での枠を設けました。それぞれの特徴を捉えていただければと思います。
- 音量・・・電子ドラム本体の Volume つまみを固定にした時の、音量差を示します。
- 輪郭・・・音の明瞭さをあらわします。細かく小さな音をひろっているかどうかも含まれます。
- 音域帯・・・0の位置を中域帯とし、強調される音域帯を示します。
- 遮断性・・・パッドを叩く生音や会話など、「外音」がどの位聴こえるかを示します。
- フィット感・・・ホールド感の強さを示します。
今回の検証機:Roland (ローランド) TD-50KV
Roland V-Drumsのフラグシップモデル。圧倒的な表現力と、プロの現場でも使われる機能性を兼ね備えたまさに電子ドラムの最高峰と言える1台です。内蔵キット「01 Jarrah Ply」のエフェクト音(リバーヴ等)をOFFにしての検証です。
今回、ワイヤレスのヘッドフォンはご紹介しておりませんが、ケーブルの仕様もストレートタイプかつ十分な長さを持ったタイプを選ぶ事によって、演奏の妨げにならない事もポイントの一つです。
それでは行ってみましょう!
audio-technica ATH-M30x (密閉型)
- オープンプライス
- 販売価格 (税抜) ¥7,380 (税込) ¥8,118
明瞭度の高いサウンドを実現する、スタジオモニタリングなどに最適なモニターヘッドホン。
- 新開発の強磁力φ40mmCCAWボイスコイルドライバーを搭載し明瞭度の高いサウンド。
- 遮音性を高める楕円形状のイヤカップを採用し長時間使用でも快適なモニタリング。
- 新採用のイヤパッド、ヘッドパッド素材で高耐久性を実現。
- 取り回しやすく絡みにくい片出しコード。
- 持ち運びに便利な折りたたみ機構。
- スタジオレコーディングやミキシングに最適。
モニターヘッドホンならではの広帯域でフラットな特性で解像度の高いモニタリングを実現します。
(メーカーサイトより引用)
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今回唯一のアンダー1万円(税抜売価¥7,380)ですが、「プロフェッショナルモニターヘッドホン」というだけあって、フラットな音質で非常に自然な聴こえ方です。大きめなパッドが耳全体を包んでくれる為、安定感がありますが、締め付けも強くないので長時間の練習でも疲れません。「大迫力サウンド」とは言えませんが、扱いやすく、コストパフォーマンスで選ぶならこのモデルがイチオシです!
スペック
- 型式:密閉ダイナミック型
- ドライバー:φ40mm、CCAWボイスコイル
- 出力音圧レベル:96dB/mW
- 再生周波数帯域:15~22,000Hz
- 最大入力:1,300mW
- インピーダンス:47Ω
- 質量(コード除く):220g
- プラグ:φ6.3mm標準/φ3.5mmミニ 金メッキステレオ2ウェイ
- コード:OFCリッツ線3mコード
- 付属品:φ6.3mm標準/φ3.5mmミニ 金メッキステレオ2ウェイプラグ、ポーチ
- 別売:交換イヤパッド HP-M30x
SONY MDR-CD900ST (密閉型)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥18,000 (税込) ¥19,800
- 販売価格 (税抜) ¥18,000 (税込) ¥19,800
世界最先端技術を誇るソニーと、洗練・熟知された音創りの感性とノウハウを持つソニー・ミュージックエンタテインメントとの共同開発によって生み出された完全プロフェッショナル仕様のヘッドホンモニター。まさに「原音イメージそのままのどこまでもピュアな音質」という言葉がしっくりきます。
- 極めて高解像度で音の輪郭が明瞭、聴感上幅広い周波数レンジを持つのでミュージシャンが音を聴き取りやすい。
- 耐入力やフレーム・カバーの強化、折りたたみ機構の排除、独自開発のスピーカー・ユニットによりレコーディング・スタジオや放送局などでの使用に耐えうる耐久性・安定性を実現。
- 独自開発のドライバーユニット採用により、モニタリングに必要な分解能(検知限界)も大幅に向上。音の輪郭から定位、エコーの拡がり感などの微妙な違いをつぶさに再現し、"本物の音"を耳に伝えます。
- 耐入力(最大入力:1,000mW)やフレーム・カバーの強化により、音のクオリティを重視するとともに、レコーディングスタジオや放送局などでの使用に耐えうる耐久性・安定性を実現しています。
(メーカーサイトより引用)
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「モニターヘッドフォンの大定番」と言われる程、プロアマ問わず愛用者の多いMDR-CD900STですが、電子ドラムでもその実力は遺憾なく発揮されています!!原音に忠実な再生能力はTD-50の表現力と相まることで、非常に小さな音量のゴーストノートからオープンリムでのフルショットまでの忠実な再現や、すぐ近くで鳴っているような聴こえ方があたかも生ドラムでレコーディングしているかのような錯覚にすら陥ります。
今回最軽量の200g(コード含まず)という重量と、それ程強くない締め付け感も装着ストレスが少なく、「このシンプルなヘッドフォンの何処にこのパワーがあるのか?」と思ってしまいます。私もかれこれ17年間愛用しています!!
スペック
- インピーダンス:63Ω
- 最大入力:1,000mW
- 再生周波数帯域:5~30,000Hz
- プラグ形状:ステレオ標準プラグ
- コード長:2.5m
- 質量:約200g(コード含まず)
Roland RH-300V V-Drums用 (密閉型)
- メーカー希望小売価格 (税抜) ¥20,000 (税込) ¥22,000
- 販売価格 (税抜) ¥20,000 (税込) ¥22,000
V-Drumsや電子パーカッションのサウンドに最適化された密閉型ダイナミック・ヘッドホン。バス・ドラムの低音域からシンバルの高音域まで、タイトでパワフルなドラム・サウンドを得ながら、まるで目の前にアコースティック・ドラムが存在しているかの様な臨場感で演奏を楽しむことができます。V-Drumsとマッチするブラック&メタル(アルミ素材スピン加工)のデザイン、演奏を阻害しない2.5m片出しストレート・コードを採用しています。
- V-Drumsや電子パーカッションのサウンドに最適化された、ワイド・レンジの高品質サウンド。
- 安定した装着感のヘッド・クッション。
- 変換プラグ付属。ミニ端子、標準端子どちらでも使用可能。
- 持ち運びに便利な折りたたみ式。
(メーカーサイトより引用)
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重厚かつメカメカしいルックスはまさに「V-Drums専用」という印象です。高音・低音にメリハリを利かせたサウンドはまさにロックな印象で、ガッチリとしたホールド感はハードな演奏時でもズレる心配がありません!!フラットな特性では無い為、好き嫌いが分かれる所ですが、ド迫力のドラムサウンドを楽しみたい方にはオススメな一台です!!
スペック
- ドライバー:φ50mm
- 周波数特性:10~ 22,000Hz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:103dB/mW
- プラグ:ステレオ・ミニ・プラグ、金メッキ
- 質量:285g(コード、プラグを除く
AKG K240 MKII (セミオープンエアー型)
- 販売価格 (税抜) ¥11,700 (税込) ¥12,870
優れた音質と快適な装着感を両立したセミオープンエアー型ヘッドホン。
- 綿密に計算されたセミオープンエアー型の構造により、極めて抜けのよい自然なサウンドを獲得。豊かで締りのある低域と透明感溢れる中高域を出力し、音の定位や奥行きもリアルに再現。
- 耳全体を包み込む大型のイヤーパッドを搭載し、長時間使用しても疲れない快適な装着感を実現。イヤーパッドは合皮製とベロア製を同梱。
- プロ用モデルのために開発された「XXLトランスデューサー」を搭載。不要な振動を抑える独自の「バリモーション・テクノロジー」や「TWO-LAYERダイヤフラム」に加えて、内部構造の最適化とパーツの吟味を徹底的に行い、繊細な高音から重厚な低音までリアルに再現。
- 装着するだけでヘッドバンドの長さが調整できるセルフアジャスト機能を採用。
- ケーブルは着脱式でストレートとカールコードの2種類を同梱。
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今回唯一のセミオープンエアー型ですが、圧迫感の無い自然な音抜けは長時間の使用でも疲れません。音質自体はフラットでありながら、高音域のキツさも少なく全体的に低音の引き締まった太めなサウンドです。装着感は240g(ケーブル除く)と軽量でありながら、大きめのイヤーパッドによる安定感もあり快適です。ジャズやアコースティック系のサウンドを好まれる方には特にオススメできる1台です。
スペック
- 感度:(1kHz)91dB SPL/mW
- 再生周波数帯域:15Hz~25kHz
- 最大許容入力:200mW
- インピーダンス:55Ω
- イヤーパッド:アラウンドイヤー、着脱式、合皮製
- 入力コネクター:3.5mmステレオ・ミニプラグ (金メッキ)
- ケーブル:着脱式、片出し
- 質量:240g(除ケーブル)
- 付属品:ヘッドホンケーブル:3mストレート、OFC(EK300)、5mカールコード、OFC(EK500 S)
- ベロア製イヤーパッド
- 標準プラグアダプター(ねじ固定式、金メッキ)
最後に
一般的に電子ドラムの上位グレード機種になるとエディット機能も充実し、ドラマーの好みの音色にカスタマイズできるようになっています。しかし「音の出口 = ヘッドフォン」もとても重要です。今回検証してみて改めて驚いたのは「同じ音色でも全く違って聴こえる」と言う事です。
- 細かい音に特に気を使って練習したい時・・・少々刺さり気味でもフラットで解像度が高いもの
- 長時間練習したい時・・・フィット感が自然なもので、耳ざわりの良いサウンド特性のもの
- ハードロックなど、サウンドにパンチが欲しい時・・・低音・高音が強調される特性のもの
などの「使い分け」でお持ちの電子ドラムをより楽しむ事ができると思います。
これからヘッドフォンを選ぶ方は好みに応じて、既にヘッドフォンをお使いの方は、2台目のヘッドフォン探しのお手伝いができれば幸いです。
今回は「密閉型」を中心に検証しましたが、次回 以降は「オープンエアー型」や、最近電子ドラムで愛用者急増中の「イヤフォン」も取り上げたいと思います。
最後まで記事をご覧頂きましてありがとうございます!!
こちらの記事もどうぞ:電子ドラム におすすめの ヘッドフォン Pt 2 (YAMAHA, SENNHEISER, Roland, SHURE)
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この記事を書いた人
イオンモール札幌平岡店 ドラム担当 石橋
こんにちは、ドラムバイヤー兼ドラムコーナー担当の石橋トラストです。初心者~プロの方までドラムを楽しんで頂けるよう全力でサポートいたします!
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