こんにちは、島村楽器名古屋パルコ店の立浦です。
本日はIK Multimedia( アイケーマルチメディア )のDAC内蔵ポータブル・ヘッドフォン・アンプ「ARC ON•EAR」についてご紹介させていただきます!
先日10/28に発売され、早くも好評を得ている本商品。
予めメーカーが用意した音響補正プロファイルを適応し、ご自身のヘッドホンの音をプロのスタジオモニター環境のような正確なサウンドに補正してくれるキャリブレーション・ハードウェアです。



USB-Cと3.5mmアナログ入力で接続でき、USB接続の際は高音質なDACとして使用でき、また内蔵バッテリーを搭載しているため3.5mmアナログ入力で接続する場合も電源不要・スタンドアロンで使用が可能。
※ヘッドホンのプロファイル割り当て等はパソコンのソフト上からセットする必要がありますが、一度セットアップすればハードウェアにセットされた情報は電源をON/OFFしても維持されます。

なのでARC ON•EARを補正機能付きUSBオーディオインターフェイスとして使用するのはもちろんのこと、「お気に入りのオーディオインターフェイスはあるから、それを使いつつヘッドホンの音を補正したいんだよなぁ」という場合や、他にもパソコン・DAWでの使用だけでなく上記のようにDJ機材やPAミキサー、シンセサイザーのような電子楽器で正確なモニタリングしたい!という場合にも使用可能。
これまでも音場補正ツールはソフトウェアではいくつもありましたが、今回のIK Multimedia ARC ON•EARのようにハードウェア・スタンドアローン環境でヘッドホンの補正が出来るというのは初めてではないでしょうか。

USB接続においては、手持ちのiPhone15で試してみたところ、問題なく認識してくれました。スマホ用のポタアンとしても有用そう…‼︎
※後述の補正ソフトの細かい操作はiOS上からは出来ませんので、事前にPC/Macで設定しておく必要があります
早速チェックしていきましょう!
外観・内容物


本体サイズ感はこんな感じ。
本体も箱もとってもコンパクト!7.9 cm x 7.7 cm x 3.5 cmと手のひらに収まってしまうくらい小さく、重量も170 gと超軽量です。
なんだかApple TVみたいなルックスですが、それよりも全然小さくて軽量です!


本品には本体以外にシリアルコードが記載されたカードとUSBケーブル(C to C)と3.5mmステレオのオーディオケーブルと6.3mm変換ジャック、そして持ち運び用のキャリングポーチが付属。これは移動の多いクリエイターさんには嬉しい付属品ですね!

本体のボタン類の役割は上記のような感じ。
ソフトウェアであらかじめ設定しておいたパラメータを本体のボタンでON/OFFしていく形となります。

FNボタンも何気に便利で、後述のソフトウェア上でこのボタンで操作するパラメータを1つ割り当てておくことが可能。
初期状態ではMUTEが割り当てされていますが
Phase Align:キャリブレーションフィルターの位相整合オプションを切り替え
Virtual Speakers:バーチャルスピーカーのエミュレーションを切り替え
Mono:ステレオ信号のモノラルサミング(左右チャンネルを合成した信号)をモニター
Dim:出力音量を一定量だけ減衰(減衰量はオプションウィンドウで設定可能)。
LEDs off:FNボタンを除くすべてのLEDを消灯。光を抑える必要がある環境で使用します。
Play/Pause:ホストに再生/一時停止コマンドを送信(USB接続時のみ動作)。
といった、作業中によく使いそうなパラメータを割り当て使用することもできます。
ソフトのインストール・接続
本機種の補正機能を使用するには、まず、製品管理ソフトIK Product Manager上にて製品のソフトウェアをインストールする必要があります。

上記の「 (+) Register Product」から付属のカードに書かれたシリアルを入力します。

シリアルが正常に入力されるとIK Product Mangager上の「Hardware」 > ARC ON•EARの「Software」から対応ソフトウェアをダウンロード・インストールできるようになります。
※通常のARC製品とは異なりSoftwareタブではなくHardwareタブからのインストールになりますので、ご注意ください。

正常にインストールが完了すると、スタンドアロンのアプリとして表示・使用できるようになります。
※Windowsの場合は、同じくIK Product Manager上から追加でドライバのダウンロード及びインストールが必要となります。
音質について


補正機能を試す前に「ARC ON•EAR自体の再生の音質はどうなんだろう?」 と思い、いくつか音源を交えリスニングチェックしてみましたが、これが普通に良い音‼︎(個人の感想です)
少なくとも近い価格帯のオーディオインターフェイスと比較しても遜色の無いクリアなサウンドが得られます。
それもそのはず、本機種にはアメリカの ESS Technology社 が開発している32-bit ESS SABRE® という高性能なDAコンバーターを搭載しており、高音質を実現しています。また、ゼロ・インピーダンス出力という様々な負荷でも電圧を正確に伝えられる設計を採用しているため、プロフェッショナルな開放型モニターヘッドホンのような高インピーダンスなヘッドホンでも、負荷の影響を最小限に抑える設計を採用しているのもメリットの一つ。
低音量も解像度を損なわない 高精度ボリューム制御が可能です。
ARC ON•EARは「楽曲制作はするけれど、DAWでの打ち込みのみで、歌や楽器の録音は基本的にしない」
という方にとっても、オーディオインターフェイスとしてかなり良い選択肢の一つでは無いでしょうか。
キャリブレーションソフトウェア

ソフトウェアもチェックしてみましょう!
ソフトを立ち上げると、本体の設定に関する様々なパラメータが表示されます。
順に見ていきましょう。

“Headphone Model”からメーカーから提供される様々なヘッドホンの補正プロファイルを選択することが可能です。
対象となるモデルを選択すると、その機種の特性を踏まえた最適な音響補正カーブが適用されます。
SONY MDR-CD900STやAudio-Technica ATH-Mシリーズといった日本では定番のモニターヘッドホンから、HEDD、Focal Clear MG Proのような高級モニターヘッドホン、他にもTechnicsやAIAIAIなどDJ、トラックメーカーに愛用されるものまで、実に数種類以上の様々なプロファイルが用意されています!
Audio-Technica ATH-R70xaやOLLO Audio X1のような比較的新めなモデルまでしっかり網羅されているのは驚きです。
反面、Audio-TechnicaのATH-R30xとATH-R70xaはあるのにATH-R50xが無い等「あれ、このモデルは無いのかな?」といったところもいくつかありました。担当が古くから愛用しているRoland RH300もありませんでした…でもひとつ下位機種のRH-200のはある。何故…。
このプロファイルはアップデートともに増えていく模様。今後に期待しましょう!
今回は手元にあったAudio-Technica ATH-M50xを使用してみます。


本体の“CAL”ボタン、もしくはソフトウェア画面左下の“Calibration”をONにするとプロファイルの適応結果が再生音に実際に反映され、ソフトウェア上も上記のようにカーブが表示されます。
青色の線が従来のATH-M50xのカーブで、それをオレンジ色のようにフラットに補正した、という意味ですね!
表示されているのはソフトウェア上ですが、これらの補正が実際にはARC ON•EARのハードウェア上で行われている形となります。
なので、ON/OFFの切り替えが途切れずに出来て非常にスムーズ!これはハードならではのメリットですね!
そしてON/OFFして聴き比べてみると、サウンドに結構な差があるのが分かります。
ATH-M50xでキャリブレーションを入れてみると「実際には中音域が結構削られてたんだな」とか「高音域のシャリっとした部分が実はヘッドホン由来だったのかな?」と色々な発見があり、楽曲全体のバランスが見えやすくなる印象です。


メーカーのプロファイル適応結果をそのまま使用するのも良いですし、上記のように実際に聴こえる音をさらにお好みで調整・補正することも可能です。
ATH-M50x以外にも、店舗の展示用ヘッドホンをいくつか試してみましたが
Studio Simulation / Virtual Spearker

ARC ON•EARにはStudio Simulation、そしてVirtual Spearkerというユニークな機能も搭載されています。
これはヘッドホンでスピーカーで再生させた場合の音のイメージを再現する、というもの。

ヘッドホンと比較すると少ないものの、IK社のiLoudシリーズを含む定番のモニタースピーカーのプロファイルが複数用意されています。
これも今後アップデートで増えていくものと思われます。

また、プロファイルの中にはTVやポータブルスピーカー、スマートフォンといったような日常生活において使用頻度の高いスピーカーのプロファイルも!これは結構良いですね!私も自分の作った楽曲や動画作品を、アップロードする前にスマホに送って「スマホで聴いた時の音」を毎回チェックしますが、ヘッドホンのまま擬似的にその確認ができてしまう分です!便利です!

他にも左右のスピーカーの位置を狭くした/広くした場合の聴こえ方を切り替えてみたり、奥行きを加えてステレオ感をより自然に感じさせるAmbienceのON/OFFなどが可能で、よりリアリティあるスピーカーシミュレーションが可能。
いろんな設定を試してみるのも面白そうです!

そしてそういった様々な設定を最大5個までプリセットとして保存・呼び出しが可能です。
もちろんプリセット名も編集可能!
いかがでしょうか?
今回はIK Multimedia ARC ON•EARについてご紹介させていただきました!
シンプルなポータブルヘッドホンアンプやDAC、再生用オーディオインターフェイスとして優秀なことはもちろん、補正(キャリブレーション)機能により正しい音場を再現でき、音楽制作やミックス・マスタリングの大きな手助けとなることでしょう。
軽量、コンパクトそしてキャリングケースも付いているので、外出先での制作・トラックメイクが多い方や限られた場所で作業をしなければならない場合でもスマートに使える逸品です!
島村楽器の一部店舗でもお取り扱いをしておりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください!※取扱状況は各店により異なります。
製品詳細は下記でもご確認いただけます。
販売価格
- 価格は予告なく変更となる場合がございます。実際の販売価格はオンラインストアの表示価格および最寄りの店舗でご確認ください。
| 品名 | 販売価格 | 
|---|---|
| ARC ON・EAR 初回限定版 JANコード:4530027196999 | ¥42,900(税込) | 
| ARC ON・EAR JANコード:4530027197002 | ¥55,000(税込) | 

この記事を書いた人

名古屋パルコ店 シンセサイザー / DTM / DJ 担当 立浦(たてうら)
シンセサイザー、DTM、DJ等デジタル機材の事ならお任せください!逆に子育ての事、教えて下さい!


 



