こんにちは、津田沼パルコ店スタッフ・伊藤です。
今回は、いま話題となっている世界初のデュアルダイアフラム・ダイナミック・ハンドヘルド型マイクロホン・SHURE / KSM8のレビューを書いてみようと思います。
外見
カラーバリエーションとしてはブラックとニッケルの2色展開となっております。
SHURE / KSM9に通じる落ち着いた印象のブラック
アルミ削り出しの様な印象のニッケル
どちらも目を引く外見となっております。
マイクグリルが特徴的な印象に加えグリル部が若干大きめなのか?と思い同じくSHUREのKSM9と比べてみました。
比べてみると、大きさはあまり変わりませんでした。おそらく、グリルの下半分(ロゴが入っている部分)のプレートによる目の錯覚なのでは無いかと思います。
ただしマイクが大きく見えると言うのは、ライブでは良い方向に働きます。
なぜなら、マイクグリルが大きく見えると必然的に視線がマイクグリルの方向に集まります。
という事はお客さんの視線が顔や口元に集まると言うことになりますので、顔近辺を見ているという事は必然的に声に集中してくれる様になる効果が期待出来ます。
音について
第一印象としては、非常にフラットな印象を受けました。あまり歌い手を選ばず、ライブ等で大活躍しそうです。
デュアルダイアフラム仕様のポイントでもある近接効果の軽減についてですが、ヘッドホンで検聴してみましたがボリュームの違いはあれど近接効果による低音の膨らみは他のダイナミック型マイクに比べると低音の膨張などの影響は非常に少ない様に感じられました。
音源比較
今回、KSM8が距離によってどれ位近接効果を軽減しているのか?という観点から距離別の3パターンの録音を行いました。
また、比較対象として同じくSHUREのダイナミックマイクロホンSM58-LCEを使用しています。
GAINレベルは、KSM8/SM58-LCE双方同じレベルにしています。
使用機材
- DAW : steinberg / CUBASE
- オーディオインターフェース : steinberg / UR44
- マイクロホン : SHURE / KSM8 & SM58-LCE
- デモンストレーター : chip★
- 楽曲 : 大丈夫(オリジナル楽曲)
マイクとの距離5cm
まずは、一般的に意識してマイクに声を入れようとする距離の約5cmで声の比較を行ってみましょう!
KSM8
SM58-LCE
5cmの距離での結果として、まずレベル的に見た場合はKSM8の方が入力レベルが大きい事がわかると思います。
加えて音の印象ですが、ややSM58に比べKSM8の方がすっきりとした印象(SM58に比べMidLowが削れている)を受けます。
周波数帯域で言うと、200Hz~300Hz辺りが癖無く聞くことが出来ます。
また全体的に声の粒立ちがハッキリとしていて、良い意味でダイナミックマイクらしからぬクリアさです。
マイクとの距離0cm
0cmの距離、いわゆる「オンマイク」の状態です。
当然の事ですが、この距離では近接効果の影響が露骨に出てきます。
結論から言いますと、この距離感でKSM8の真価に触れる事となりました。
KSM8
SM58
0cmの録音をしている際の注目すべきポイントがコチラです。
上の画像の色を変えてある波形が0cmの波形なのですが、SM58の波形(青色)に対してKSM8の波形(緑色)の方が小さくなっています。※画像をクリックして頂くと画像が拡大されます。
他の距離での波形は、KSM8の方が明らかに大きいのですが0cmの録音時のみ逆転しています。
音を聴いて頂けるとわかると思いますが、低音の出方に差が出ています。
これは、近接効果によりSM58の低音が膨張してしまった為の逆転現象です。
この結果こそ、KSM8の近接効果による音質変化軽減のメリットです。
マイクとの距離20cm
ギターボーカル等でマイクスタンドにマイクをセッティングしている際、比較的見られる距離感がこの20cmです。
これ以上離れるとヘッドアンプ側でかなり頑張らないといけなくなってしまいますが、今回の最大距離でどこまで音質が変化するのか確認してみたいと思います。
KSM8
SM58
20cmでの印象としてはKSM8は58に比べて、5cmの音源に対して若干低音の出方に違いが有るものの、あまり変化が無いという印象です。
デモンストレーター
chip★
船橋を拠点に活動するシンガーソングライター
自身の活動に加え、コーラスグループや劇団への参加等幅広く活動している。
2016年3月27日、待望の1stOnemanLive「Life」の開催が船橋グランドホテルにて決定している。
仕様
- カートリッジタイプ : デュアルダイアフラムダイナミック(ムービングコイル)
- 周波数特性 : 40~16,000 Hz
- 指向特性 : カーディオイド
- 出力インピーダンス : 300 Ω
- 感度(1 kHz、開回路電圧): -51.5 dBV/Pa(1.85 mV)
- 極性 : ダイアフラムへの正圧印加時にピン 2 に正電圧を発生
- 質量 : 330 g
- コネクター : 3 ピン XLR、オス
- ハウジング : アルミダイキャスト製(ブラック塗装またはブラッシュドニッケル仕上げ)
感想
今回発売となったKSM8ですが、事前に想像していたよりも非常に好印象を受けました。
というのも、デュアルダイアフラム仕様による近接効果の軽減がライブやレコーディングでの自由度を増していく可能性が大きいな!と感じたからです。
ライブでは特にかと思いますが、近接効果を意識してマイク位置を比較的固定しがちなアーティストは多くいると思います。
ですが近接効果の軽減により、感情の波に合わせてマイクの位置を変えてしまったとしてもPA側でのレベルの微調整のみで調整出来る(あまり、EQを意識しなくて済む)ので、結果的にライブのクオリティーが上がるの要因になるのではないでしょうか?
津田沼パルコ店 販売価格
SHURE / KSM8/B
(税抜)¥59,800 (税込 ¥65,780)JAN : 0042406403634
SHURE / KSM8/N
(税抜)¥59,800 (税込 ¥65,780)JAN : 0042406464918
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津田沼パルコ店デジタル担当 伊藤(いとう)
マイク、ミキサー、ヘッドホンが得意分野です。マイクやヘッドホンは、本当に選び方に人柄が出る面白い機材です。今まで以上に品揃えも充実しましたので、是非皆様に合ったマイク・ヘッドホン選びのお手伝いをさせて下さい!ミキサーのご相談も大歓迎です!

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