DTM黎明期の銘器「SC-88Pro」が復活!ローランドが「SOUND Canvas for iOS」を発表

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は記事更新時点のものとなります。

© Shimamura Music. All Rights Reserved. 掲載されているコンテンツの商用目的での使用・転載を禁じます。

こちらの製品は販売終了となりました。※iOS14非対応のため、AppStoreでの配信を終了しています。


【関連記事】VST/AU プラグイン版はこちら

SC-88Pro(ハチプロ)が VST / AU プラグインで復活! SOUND Canvas VA を試してみた

SOUND Canvas for iOS1

App Storeの Best of 2015 アプリにランクインしていますね!おめでとうございます。

SC

こんにちはサカウエです。ローランド株式会社が、DTM黎明期の音源モジュール「SC-88Pro」をiOS上で復刻した「SOUND Canvas for iOS」を発表しました。

SCforiOS_15

SOUND Canvas for iOS Sound Catalog #1

SOUND Canvas for iOS Sound Catalog #2

SOUND Canvas for iOS Sound Catalog #3

SC-88Proは、DTM1996年に発売され一世を風靡したローランド社の音源モジュールです。32パート、64音ポリ、1117音色内蔵、インサーション・エフェクト搭載の非常にバランスの良いPCM音源搭載のMIDI音源でした。YAMAHAのMUシリーズとライバル関係(?)にもあったDTM音源の草分け的な存在です。このSC-88Proは今でも根強いファンが多く、中古市場でも頻繁に売買がされているという人気商品ですが、なんとこのたびローランド株式会社がiOSアプリという形で復活させてくれました。(追記:SOUND Canvas for iOSの音色mapはSC-8820相当のようです

今でも手放すことができない「SC-88Pro」の実機

リスニング用 SMF(スタンダードMIDIファイル)楽曲データが発売されていた時代

1996年当時のパソコンは現在と比較するとあまりに非力で、ソフトシンセやソフトウエア・プラグイン、オーディオデータを扱うということはまだ一般的ではありませんでした。そこでこのSC-88ProのようなMIDI音源がもてはやされていた時代だったわけですね。あの頃はパスコンスペック、通信環境もままならず、iTunesなんてものもありませんから、アーティストのオリジナル楽曲はCDでしか入手することが出来ない時代。パソコンの記録メディアだってフロッピーディスク(2HD)=1.44MBが主力だったのですから今では考えられないほど不便な環境だったわけです。

そんな当時には「リスニング用MIDIデータ(SMFソング)」というものも存在しました(懐しいですね〜)。

SMF

3分の楽曲(44.1kHz、16bit)のオーディオ・データの容量は約30MB程度、しかし一方のMIDIデータの場合は、わずか数十kB程度。そこでオリジナル楽曲を「完全コピー」したMIDIデータが「商品」として流通していたのですね。今の若い方には想像できない世界でしょうが、詳しくは下記関連記事をご覧ください。

【関連記事】ローランドの歴代音源モジュール、SC-88Pro、XV-3080、JD-990、INTEGRA-7を聴き比べてみる

MIDIデータの再現度はもちろん本物を凌駕することはできませんが、NRPN、RPN、SysEX等々・・・知っている人は知っている(かくゆうワタクシもその中の一人)・・さまざまなMIDIパラメーターを駆使して「打ち込まれた」SC-88Pro用のMIDIデータの中には今でもあっと驚くクオリティーの作品も存在します。スラップベースをワザと高い音程で鳴らし、シンセのアタック音に使ったり、ベルツリーをオクターブ上で再生させ、PinkFloydの「マネー」の効果音を作ったりとか・・・懐かしいですね(遠い目)・・とにかく使い倒した感のあるモジュールです。

これはミニチュアで風景や人物を緻密に再現する「箱庭」のような世界ということができるかもしれません。

「SOUND Canvas for iOS」でSC-88Proが復活

昔話(?)はこれくらいにして、iOSアプリ「SOUND Canvas for iOS」ですが、iPad、iPhoneで動作するユニバーサルアプリです。

先日ローランド東京営業所にて実機を見せて頂く機会がありましたが、SC-88Pro実機との楽曲再生比較では「ほぼ同じ」サウンド!若干中域あたりの印象が異なる程度でほぼ完璧な再現度という印象を持ちました。ブラインド・テストの判定難度はかなり高いのではないでしょうか?48番ストリングス、6番エレピとか、今聴くと個々のサウンドはチープなんですが、全体のアンサンブルになった時のまとまり感はまさに「ハチプロ」そのものです。もちろんSC-55、SC-88、CM64、SC-8820等の音色mapも搭載しています。

SC-88Pro_SOUND_CANVAS_for_iOS

こちらがメイン画面。

SOUND Canvas for iOS1

各パートの音色、定位、音量、エフェクトセンド等を確認することができます。上記は開発バージョン画面のため、フォントが少々オリジナルと異なります(これはリリース時期では修正されるらしいです)。

MIDIプレーヤー機能も搭載されています。GS、General MIDI(GM)マーク、懐かしいですね。

インサーションエフェクト(EFX)ですが、パート全体で使用可能なリバーブ、コーラス(ディレイ含む)の他に、実機同様ディストーションやフェイザーといったエフェクトを任意のパートにインサーションすることができます。ディストーション・ギターはやはりディストーション・エフェクト、オルガンはロータリー(レズリー)がないと本物っぽくはならないですからね・・・この辺りの設定はおそらくSystem Exclusiveデータでおこなうのだと思います。「41 10 42 12・・・」というアレですね。

スワイプすると現れるサブ画面。各種再生コントロール、ベース、ギター、ドラムのミュート機能が装備されています。

SOUND Canvas for iOS2

こちらはiPhone版の画面

SOUND Canvas for iOS4

SOUND Canvas for iOS3

主な仕様(仕様変更の可能性あり)は以下のとおりです。

  • 最大同時発音数:64音(ボイス)
  • パート数:16パート
  • 対応フォーマット:GS / GM2 / GM 
  • 音色マップ:4種類(SC-8820, SC-88Pro, SC-88, SC-55)
  • プリセット音色数:1600音色
  • ドラムセット音色セット:63ドラムセット
  • 音色互換:GS / GM2 / GM
  • 搭載エフェクト
    • -Reverb:8種類
    • -Chorus:8種類
    • -Delay:10種類
    • -2Band EQ
    • -EFX:64種類
  • Virtual MIDI 対応
  • OPEN In 対応

SMFプレーヤー機能も搭載しておりOPEN inに対応していますので、例えば Dropbox のようなストレージサービス経由でMIDIファイルを再生することもできるわけですね。Network MIDI経由でDAWの音源として使用することも可能ですので、たとえば「MacのCubaseで打ち込んで、iPad上のSOUND Canvas for iOSを鳴らす」といった使い方もできるわけです。

iOSにはさまざまなシンセ音源アプリがリリースされていますが、複数パートを個別に演奏させることができるマルチティンバータイプの音源は貴重だと思います。Virtual MIDI やInter-App Audio にも対応するこの「SOUND Canvas for iOS」の使い道は色々と考えられるのではないかと思います。11月21日より開催される楽器フェア2014のローランドブースにて参考出品する予定とのこと。価格は現時点では未定ですが、お手頃価格、リリース直後はキャンペーンなども行うかもしれないというお話でした。期待して待ちましょう~~!

SOUND Canvas for iOS

発売日(App Storeでダウンロード)

2015年1月29日

販売価格(App Store)

※7/16追記

Version 1.1.1 アップデートが公開されました!iPodTouch(第6世代)にも対応!

  • 外部音源MIDIとして使用する際に便利な、パートの音色設定等のセーブ、ロード
  • 手軽にマイベストソングリストが作れる、ソングリスト複数セーブ、ロード
  • SMFデータのセットアップ小節にもカウントインできる、EXTRA COUNT機能
  • 曲名の検索機能を追加

 

 

追記:各種webメディアでは「実機よりもソフトのほうが音が良かった」というコメントを目にしますが、ワタクシが聞かせて頂いた時と再生環境が異なっていたのでしょうか?ワタクシにはスネア等のボトム・サウンド等は実機の方が暖かみが感じられたのですが・・それともワタクシの耳が単に衰えているだけのでしょうか(泣)後日再度チェックしてみたいと思います!

追記その2

後日ヘッドホンでじっくり聞かせていただきました。確かにソフトのほうが「音が良かったです」特にリバーブのクリア度はさすが浮動小数点処理のアドバンテージが目立っていました。ワタクシの作成した各種MIDIデータ等も聞かせていただきましたが、確かにソフト側に軍配があがると思いいました。これは楽しみですね〜。

ローランド・SCシリーズ(wikipedia)

レビュー記事はこちら!

「SOUND Canvas for iOS」を一足先に試してみることができましたので、そのレビューをお送りします。

SCforiOS_15

↑ページトップ