【録れコン2019】リプロダクションレポート 中澤智氏 コメント

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「集ウ」さんグランプリ受賞おめでとうございます! また、リプロダションお疲れ様でした!

今年も審査会から参加させて頂きましたが、沢山の良い作品を聞くことが出来ました。
その中でも、「ひとりぼっちの宇宙」は、完成度が高く、楽曲のテーマがしっかり有り、セクションごとの展開も絶妙。細部にわたりこだわりを感じられ、グランプリにとして納得出来る素晴らしい作品だと思います。

〇打ち合わせ

先ずリプロダションに向け、鎌田氏のスタジオにて、2ミックスでは、分からない各トラックの検証、打ち合わせ。
毎年、色々アイデアが出るのですが、今回は、世界観がしっかりしっかり出来ている為、再ミックスだけで良いのではと言う意見も、、、。諸々協議の上、基本バンドサウンドですが、Bassが少し単調な感じかなと(失礼!)。生に差し替える事で更にグルーブが増すのではと、、、。バンドサウンドでは、低域を支えるBassは一番重要です。

結果、審査員でもある、清水 玲さんにBassの差し替えを依頼出来き、鎌田氏による再ミックスに決定しました。

〇リプロダション当日(サウンド・シティ AnnexT2にて)

Bassダビング前に、鎌田氏のプリミックスのデータの確認。幾つかのプラグインが無かったのでインストール。無事再現できる準備が整いました。

※商業スタジオでは、スタジオによって、設定やプラグインが違うので、プラグインのインストール、代用プラグインなど、作業事前に整えます。(システムごと持ち込みの時もあります。)

DAWはPro Toolsでの作業ですが、鎌田氏プリミックスのセッションに、既にプラグインが多くは入っていた為、このままでは遅延が起きて、Bassダビングが出来ない為、別名保存にて修正作業。
ワークフローは、プログラムによって違うのですが、今回は限られた時間に仕上げる為、鎌田氏が逆算してある程度処理したデータを持ち込まれました。ダビングすると諸々処理は変わってくるのでミックスでは、再調整になりますが。(大修正になる事もありますが、、、。昨年の私がそうでした(笑))

※私は、録音時、楽曲が崩れない程度にバランスを変えるので、ファイナルミックスに近い処理は、ダビング時、妨げになるので、比較的ナチュラルに戻して作業します。

データを整え完了。「集ウ」さんと清水 玲さんスタジオイン。全員で本日の流れを再確認。(重要!)

〇Bassダビング(差し替え)

まずは、Bassセッティング。持ち込みのAmpも有り、Mic、HA、Compをセット。Lineも同じくセット。
ダビング前に、清水さん、「集ウ」さん、方向性の確認。事前に清水さんに音源(譜面)は、渡っており、譜面は全員同じ物を見ているので話がスムーズに進みました。

※実際の録音時は、Pro Toolsオペレートは、アシスタントエンジニアが行うので、コミュニケーションをスムーズにする為、譜面は重要になります。(譜面、歌詞は、レコーディング作業の共通言語になります)

まずは、音決めから。のち、実際に曲と合わせて再調整。皆でディスカッション。
楽曲がセクションごと大きく展開していくので、様々な提案、相談が、清水さんからも有りつつ、徐々に完成に向かって行きました。「集ウ」さんの提案も取り入れプラスαなプレー。素晴らしトラックが完成しました!
やはり、清水さんによるBass差し替えは、正解だった感じました!
「集ウ」さんにとっては、プロミュージシャンと方とコミュニケーションをしながら行う作業は、とても楽しかったのでは?


〇ミックス(鎌田氏)

今回は、Pro Tools内部ミックスになりました。

※ここから恒例の、ディレクターテーブルにディスプレイをもう一台置き、鎌田氏のミックスを、「集ウ」さんに、私がミックスの解説をします。実際の現場では、ミックス時に雑音を出してはいけないのですが、リプロダションではここも一つの見所です。(自分以外の方のミックスを見るのは、解説しながら勉強になります。)

鎌田氏は、基本コンソールでミックスしていた時代の手法を用いますが、年々少しずつ変わって来ています。新たなプラグインも採用してました。
リズムから作り土台を固め、少しずつ上物を出し、Vo群をのせ、というのを何往復もして仕上げて行きました。セクションごとかなりダイナミックスが有りも、SE的トラックも多いので、かなり絶妙なセンスが必要になります。微妙なエフェクト処理から生まれる空間。「集ウ」さん解かって貰えたかしら?
最終段階、何回かのやり取り、ラジカセなどのチェック等繰り返し、無事完成!


〇最後に

現在、プラグインもAI、チート系の時代に入って更なる進化を続けています。私的には完全に肯定派です!(使い方次第ですが、、、。)しかし、実際のレコーディングでは、人と人とのコミュニケーションが重要です。それにより作品は、右にも左にも世界観が変わります。短い時間でしたが少しでも刺激があったのでは。

皆さま。「リプロダション」本当にお疲れ様でした!

また来年も、皆さんの作品に出合える事を楽しみにしています!

レコーディングエンジニア 中澤 智

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