この記事では2014楽器フェアでみつけた少々気になる楽器を紹介したいと思います。島村楽器で取り扱うデジタル関連楽器の範疇外の製品もありますが、会場の雰囲気をお伝えするということでなにとぞご了承ください。上写真は有限会社トゥロッシュのパペット型電子楽器ケロミン(の着ぐるみマスコット)
神奈川工科大学 / (有)ソナリサーチ
新しい鍵盤楽器「ネオヴィコード」
2006年に開発を開始、2007年および2009年の楽器フェアにも出展されていたそうですがすっかり見落としておりました。
VOXオルガン風のカラーのせいでしょうか?一見すると手作り感溢れるオルガンの様に見えますが、実はギターのように物理的に弦を弾いて、鍵盤タッチでヴィブラートやベンディングを行うことができる「電気鍵盤楽器」です。神奈川工科大学、西口教授のピアノとクラヴィコードに関する音響・物理モデル研究から派生した楽器とのこと。
展示されていたのは61鍵モデルでした。下図は上蓋を開けてみた図
鍵盤ごとに1本の弦が張られており、金属製のハンマーで弦を押し上げて発音させる構造になっています。金属ハンマーが当たることで弦が2分割され両側が振動するのですが、片方はミュートされるようになっています。
下図は「F」と表示されている場所の間下の弦をハンマーで押し上げているところです。
ユニークなのはこのアクション機構は鍵盤を押し上げることで弦を更に持ち上げ、あたかもギターのチョーキングの様な演奏が可能になることです。鍵盤左側にあるスライダーでチョーキングのON、OFFを物理的にコントロールできます。
チョーキングをOFFにしても、鍵盤を押す強さで微妙なビブラートがかかりますので、なんとも言えない独特の音になります。これは実際に触ってみないとよくわからないと思います、すみません。
これは例えればギターでハンマリングして発音させるようなイメージですね。そして内蔵された5つのピエゾ・ピックアップが音を拾うという仕組みになっています。
ピエゾ・ピックアップ
ピックアップで拾った音は内蔵EQを経由してステレオアウト出力からラインレベルで出力されます。
出力音に各種エフェクターやストンプボックスを通し、本体に戻してやることで本体上のノブでエフェクトと生音を自由にブレンドすることができます。会場ではLINE6 PODのディストーション・エフェクトをかけてデモしておりましたが、パワーコード(root+5th)で弾けばほぼギター!チョーキングを使った演奏に慣れるまでは少々時間がかかるかもしれませんが、非常に楽しかったです。
このユニークな「ネオヴィコード」は、ピアニストのキムハクエイ氏と氏が率いるTrisoniqueというバンドで使用されています。
値段をお聞きするのを忘れました・・・後日追記します。
マイクロネット(株)
白鍵盤だけのピアノ「新白鍵(しんはっけん)」・・なんだかベタなネーミングです
ご覧のとおり白鍵盤のみのグランドピアノでございます。黒鍵はありません。
展示されていたピアノは通常のピアノと同じ数弦が張られており、黒鍵のハンマーアクション部分が取り外されているモデルでした。「ドレミファソラシド」というCメジャー(ハ長調)でのみのプレイが可能です。「弾けたらいいな、をかなえる楽器」とのことです。
「ハ長調のみでほとんどの曲を黒鍵なしで演奏できます」・・・・ということなのでPVを拝見しました。白鍵だけでドビュッシーの「グラドゥス・アド・バルナスム博士」 を弾いていますが、すべてをハ長調に展開するアレンジなので・・・原曲とはかなり異なる印象になるのは・・致し方ありませんね。ところでなんというか非常に個性的な演出で好感が持てます。
ものつくり大学
特許取得済 「無弦チェロ」
チェロ型の電子楽器です。
フレットは現時点では半音ごとに感知してMIDIメッセージを送信し、MIDI OUTと接続した外部音源を鳴らす仕様になっています。4本の感圧式センサーがセンサーとなっており発音するシステムです。
音楽表現という点ではまだまだこれから改良の余地があるとは思いますが、ぜひこれからも開発を続けて素晴らしい電子楽器を作っていただきたいと思います。