一昔前はワイヤレスマイクというとプロが使う機材というイメージでしたが、昨今では安価で簡単に使えるワイヤレスシステムが増え、様々なライブやイベントでワイヤレスマイクが使われています。
今回はワイヤレスマイクのブランドとしても定評のあるSennheiser ( ゼンハイザー ) から2021年に発売された手軽に使えるハイクオリティなワイヤレスマイクXSW 2-835をレビューします。
Sennheiser : XS Wireless 2シリーズ | シンガーや劇場、スピーチなどで手軽に使えるB型アナログワイヤレスマイクロフォン
SENNHEISER XSW 2-835とは
送受信機がセットになっている
SENNHEISER XSW 2-835は免許不要のB帯を使用するアナログワイヤレスマイクXS Wireless 2シリーズのハンドヘルドタイプです。パッケージにはハンドヘルドタイプの送信機、据え置き型受信機の他にラックマウントキット、マイクロホンクランプ、ポーチ、ACアダプタなど豊富なアイテムが同梱されています。
XSW 2-835のパッケージ内容
また、パッケージ本体に取っ手が付いており、保管・運搬用のケースとして使用できるようになっています。
下位モデルのXSW1-825と比べると、ラックマウントキットが付属するなど、より業務的な用途にも対応できるようなパッケージになっています。
セットアップはオート/マニュアルを選択可能
XSW 2-835は免許不要B型で、周波数設定はスキャン機能で自動設定されます。難しい操作などなく、誰でも簡単にセットアップできます。また、周波数設定はマニュアルで調整することも可能なため、現場環境によって細かく調整することができるようになっています。
最大で7台まで同使用可能
XSW 2-835は最大7セットまで同時に使用することができるため、アイドルグループのライブやゲストが多いイベントなどにも対応できます。なお、同時使用に際しては送信機同士の距離を20cm以上離して使用する必要があります。
トゥルーダイバーシティ受信機
XS Wireless 2シリーズで採用されているトゥルーダイバーシティ方式は複数のアンテナそれぞれに独立したレシーバ回路を用いることで通信状況を安定させています。ステージ上で激しい動きがある、ライブの現場でもXSW 2-835であれば安定した動作が期待できます。
下位機種と異なりトゥルーダイバシティ方式を採用している
アンテナは取り外し可能なタイプで、BNC端子接続が採用されています。付属のアンテナ以外にも上位機種オプションのアンテナ(別売)を取付できるため、予算や現場環境に合わせて使用するアンテナを変更できるようになっています。
また、XSW 2-835の受信機にはラックマウントキットが付属しており、固定設備に設置することも可能となっています。XS Wireless 1シリーズのXSW1-825と比べると、周波数のマニュアル操作、ラックマウントキット付属、取替可能なアンテナなど、使用環境に合わせた対応力が強化されていますね。
なお、受信機の出力はXLRバランス出力、TSアンバランス出力に対応しており、簡易PAから本格的なコンソールへの接続まで、1台で対応できるようになっています。
e 835のマイクカプセルを採用
送信機であるハンドヘルドマイクには、人気のダイナミックマイクであるe 835のマイクカプセルが搭載されています。トークイベントはもちろん、本格的な音楽ライブでも十分に使える音質です。
送信機はマイク下部がアンテナになっており、スタイリッシュなデザインになっています。
XSW 2-835の送信機(マイク)
この形状はSENNHEISER上位モデルのワイヤレスマイクでも採用されているため、プロのライブでもおなじみのデザインですね。
本体上部にはディスプレイが内蔵されており、使用中のチャンネル電池残量が視認できるようになっています。また、ミュートスイッチと4段階の音量調整用スイッチも搭載されているため、送信機だけでもある程度の調整ができます。
なお、送信機の電源は単三乾電池が採用されており、アルカリ単三乾電池2本で約10時間駆動します。
SENNHEISER XSW 2-835を実際に使ってみた
今回、レビューのためにリハーサルスタジオでのバンド練習にXSW 2-835を使用してみました。ここからはスタジオでの具体的な使用感について解説していきます。
リハーサルスタジオで使ってみた
まず、セットアップは非常に簡単です。ミキサーと受信機をケーブルで接続し、受信機とACアダプターを繋いで電源を入れます。次に周波数スキャンを使用し、自動で選出されたチャンネルを選択します。
周波数スキャン機能で自動的に選択される
その後はマイクの電源を入れ、マイク底面のSYNCボタンを長押ししながら受信機のSyncボタンを押すと、自動で接続が完了します。
接続できるとLEDが緑に点灯する
実際にやってみると、1分もかからずに設定は完了します。一度設定した内容は送信機・受信機ともに自動保存されるため、2回目からは電源を入れるだけで接続が完了します。イベントやライブで使う場合は事前に設定を済ませておきましょう。
XSW 2-835は音響機器や無線の知識などは不要で誰でも簡単にセットアップできるようになっています。取扱説明書のほかにイラストのクイックガイドも同梱されているため、初心者でもわかりやすいです。
安定したワイヤレス通信
今回のテストでは2時間のバンドリハーサルでXSW 2-835を使用しましたが、接続が途切れることは一度もありませんでした。音飛びなどもなく、安価ながらも素晴らしいクオリティです。
リハーサルで音が途切れることはなかった
XSW 2-835は現場環境に合わせて柔軟に設定変更できる仕様になっていますが、初期設定のままで十分安定しており、機械の操作が不得意な初心者の方にも安心しておすすめできる製品だと感じました。
幅広い用途で使える音質
XSW 2-835は人気のダイナミックマイク e 835のマイクカプセルが採用されています。伝送可能な音の高さは80〜16,000 Hzとなっており、スピーチだけでなく、ボーカルなどライブ用途でも十分に活躍できる音質です。
マイクカプセルは定評あるe 835カプセルを採用
今回のテストではバンドボーカルとして利用しましたが、楽器に埋もれることなく、パワーがありつつも抜けの良いサウンドでした。ワイヤレスでもSENNHEISERのサウンドクオリティはしっかり保持されています。
指向性は正面の音を中心に拾うカーディオイドが採用されており、十分な音量まで引き上げてもハウリングすることなく、快適に使うことができました。
マニュアル操作で様々な環境に対応
初心者でも簡単に取り扱えるXSW 2-835ですが、周波数をマニュアル設定することで様々な環境に対応することができます。また、受信機のアンテナも取り外し可能で上位機種オプション品(別売)も使用可能なので、購入後に使用用途が広がっても柔軟に対応することができます。この対応力・拡張性がXS Wireless 1シリーズとの大きな違いになっています。
今回のレビューでは、XS Wireless 1シリーズのXSW 1-825とXS Wireless 2シリーズのXSW 2-835の両方を試しましたが、どちらも簡単にセットアップでき、リハーサルスタジオでのテストでは安定した音質・通信状態で使用することができました。
そのため、スタジオや会議室といった一般的な環境で使用する分にはXS Wireless 1シリーズで十分だと感じました。一方で様々な会場で多くの機材と併用して使うなど、より複雑で業務的な用途で使う場合はマニュアル操作で環境に合わせた設定ができるXS Wireless 2シリーズを選択するのが良いでしょう。
XS Wirelessシリーズの登場で、ワイヤレスマイクも低予算ながら様々な選択肢が増えました。専門的な知識が不要で、業務用途でも十分耐えられる品質を保持したXSW 2-835はワイヤレスマイク初心者の方はもちろん、様々なイベントを運営する方にもおすすめできる万能な製品だと感じました。
発売日
2021年4月1日
販売価格
XSW 2-835
¥68,200(税込)
JANコード:4044155252149