SONARの開発終了というアナウンスを聞き、悲しみに暮れております…デジタルアドバイザーのジョウボウです…。
私も初めてのDAWはSONARだったクチですので、とても複雑な気持ちでこの記事を書いております。
しかし、開発終了してしまったのは事実、悲しみをこらえて、現実的に今後の身の振り方を考えなければなりません。
数年前にSONARからDAWの乗り換えをした経験を踏まえて、環境の移行に関してご案内いたします。
SONARからのDAW乗り換え
昨今のDAWは、どれも高性能化し、基本的な性能の部分で「このDAWでないと出来ない」ことは、少なくなってきており、明確な違いを見出すことも難しくなってきています。
細かい性能や使用感は、目的や志向に対して検討していただく部分になるかと思いますので、今回は割愛します。
ここでは、おおまかにSONARと方向性の近いDAWをお伝えし、その後、プロジェクトの移行やSONAR特有の機能に対するご案内をする形で進めていきます。
まずは今回ご案内する内容に沿って、主なDAWの表を作成してみました。
現段階では何のこっちゃな表だと思いますが「◯が多いほどSONARから移行しやすいんだろうな」程度に、ひとまずご覧ください。
方向性 | OMF | ARA | マルチタッチ | クロスグレード | |
Cubase | ◎ | ◯ | – | – | ◯ |
Protools | ◯ | ◯ | – | – | ◯ |
Digital Performer | ◎ | ◯ | – | – | ◯ |
Logic | ◎ | ◯ | – | – | – |
Studio One | ◯ | – | ◯ | ◯ | ◯ |
Ability | ◎ | – | – | – | ◯ |
Live | – | – | – | – | – |
Bitwig Studio | – | – | – | ◯ | ◯ |
FL Studio | – | – | – | ◯ | ◯ |
◯が少ないからDAWとして性能が劣っているというわけではなく、あくまでSONARの環境に近いかどうかの表です。
では、一項目ずつ見ていきます。
SONARと方向性の近いDAW
SONARの歴史として「MIDIシーケンサーとしてスタートし、総合音楽制作ソフトに進化してきた」という流れがあります。
この流れと同様に進化してきたDAW
- Cubase
- Digital Performer
- Logic ・Ability
などがあります。これに加え、
もう少しオーディオ寄りの立ち位置のDAW
- Protools
- Studio One
も含めた、総合的な音楽制作が出来るDAWが、設計思想としてはSONARに近いソフトと言え、操作感や性能面で戸惑うことは少ないでしょう。
OMFファイルを利用した環境の移行
乗り換えの際、最も必要なこと。
それは、これまでSONARで作ってきたプロジェクトを新しいDAWに移行することです。
とはいえ、各ソフト間でプロジェクトの互換性はありません…。
でも、ちょっとでも楽にプロジェクトを移行したいですよね。
そんな時に利用するのが、「OMFファイルのインポート / エクスポート」です。
SONARはOMFファイルのエクスポートが可能です。
OMFファイルをエクスポートし、OMFファイルに対応したDAWでインポートすることで、
オーディオファイルに関してはある程度SONARでの環境を保ったまま、DAWを移行することが出来ます。
OMFファイルのインポートが可能なDAW
- Steinberg Cubase
- AVID Protools
- Apple Logic
- MOTU Digital Performer
この4つのDAWに関しては、プロジェクトの移行を少し楽にすることが出来ます。(Logicの場合はパソコンの買い替えが必要ですが)
OMFファイルに対応していないDAWに移行する場合は、SONARでオーディオをマルチトラックで書き出して、新しいDAWで読み込み直す必要があります。
(私はこの方法で移行したので、夜な夜な延々と書き出し作業をしていました…)
また、MIDIファイルに関しては、この方法では移行できませんので、別途移行する必要があります。
melodyneをDAW内に統合して使いたい!
SONARではピッチ補正ソフト「Melodyne」を内蔵機能のように扱うことができます。
これは、Melodyneの開発元のCelemonyによる”ARA”という機能に対応していることで実現しています。
ARAに対応しているDAW
- PreSonus Studio One
- Magix Samplitude
- Acoustica Mixcraft
- Tracktion Waveform
対応していないDAWでも、VSTなどのプラグインとしてMelodyneを呼び出すことで、Melodyneを使用することは可能です。
その場合、SONARのように「クリップを右クリックで解析」は出来ず、一度トラックを再生してMelodyneにリアルタイムで解析させる必要があります。
また、Melodyneにこだわらなければ、各DAWの標準機能のピッチ修正プラグインを使用することで、同様の操作性をキープ出来るものもあります。
- Cubase(VariAudio)
- Digital Performer(Zynaptiq社製ZTXピッチシフティングテクノロジー)
- Logic(Flex Pitch)
- Ability(Volal Edit)
melodyneはSONARに付属のソフトではありますが、独立してライセンス管理をしていますので、今後、他のDAWで使用することが可能です。
同様に他のDAWで使用可能なSONAR付属のプラグイン
- XLN Audio Addictive Drums
Melodyne以外のプラグインも、店頭のCubaseで使用可能かどうか検証してみました。VST形式のプラグインに関しては、他のDAWでも同様の状況であると考えられます。
Cubaseで使用可能なSONAR付属のサードパーティープラグイン
- Celemony Melodyne
- XLN Audio Addictive Drums
Cubaseでは使用が出来なかったプラグイン
- AASの全て
- Nomad Factoryの全て
- Overloudの全て
※SONAR EDITION”と銘打たれたプラグインは、他のDAWでは使えない仕様になっているようです。
また、SONAR純正VSTプラグインに関しては、現状はCubaseでも使用が可能でした。
しかし、SONAR同様今後のサポートはなくなることになりますので、DAW移行の際に以前の音を確認する程度の使用に留めておくのがオススメです。
タッチディスプレイでの操作
SONARはマウスによる操作だけでなく、最大10本の指を同時に使用してのマルチタッチに対応していた数少ないDAWです。
そんなに使う機会の多い機能ではないと思いますが、これを便利に使っていた方にとっては、検討の余地のある機能でしょう。
マルチタッチ対応のDAW
- Studio One
- BITWIG STUDIO
- FL STUDIO
マルチタッチに対応していないDAWでも、iPadアプリを利用したり、フィジカルコントローラーを導入することで、近い操作を実現することも可能です。
クロスグレード版を利用して金額的に安価に移行!
- Studio One
- Ability
- Digital Performer
- Bitwig Studio
- FL Studio
また、本来クロスグレードが存在しないDAWでも、期間限定でクロスグレードが可能なものがあります。
■ Cubase:SONARユーザー対象のクロスグレードキャンペーン 》
■ Protools:本数限定のクロスグレードパッケージを販売中(2017年11月現在)
その他乗り換えキャンペーン
■ SONAR ユーザー限定「ABILITY 2.0 Proクロスアップグレード版」購入で8000円キャッシュバック!抽選でKORG MIDIキーボードがもらえるキャンペーン
最後に
以上、SONARからの環境移行に関して書いてきましたが、使い慣れた愛着のあるSONARから別のDAWに移行することは、労力的にも、精神的にも大変なことだと思います。
現状、SONARがすぐに使えなくなるわけではありません。
今すぐに移行する必要があるわけでもないですが、Windowsのアップデートなどで突然SONARが使えなくなってしまったりする前に、検討や準備だけでも始めておくことをお勧めいたします。
また、この記事はあくまでも「SONARからの移行にスタミナがかからない」という立ち位置で作成しています。
「これを機に全く新しい環境で音楽制作をする」というのも、ひとつの選択肢だと思います。
より詳しく、SONARからのDAWの移行について知りたい方は、島村楽器各店にご相談ください。

デジタル楽器アドバイザー 上坊(ジョウボウ)
地元名古屋を離れ九州に移るにあたって、バンド活動から夜な夜なDTMerに鞍替え。
バンドの録音やミックス、頼まれPAなどをこなしている内に、気が付けば「デジタルな人」というポジションに。社内でも「え、ギター弾けるんですか?」と言われ続け、泣きながらデジタル機材の啓蒙に勤しんでおります。
ギタリストや楽器演奏者目線の「デジタル機材を使った、便利な音楽生活」をわかりやすく、かつ深くご案内していきます。
OMFファイルとは?OMF形式(Open Media Framework Interchange、OMFIと呼ばれることもあります)は、異なるオーディオ・アプリケーション間でデータを交換することができる形式です。OMFファイルには、以下の基本的な情報が含まれています。
OMFファイルには以下の情報が含まれています。
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