【管楽器メンテナンス塾】#7 ピストンオイルの選び方
さてさて、前回に引き続きオイルのお話です。
今回のお題は「ピストンオイルの選び方」!
ピストン以外のオイルにも参考にしてみてください。
前回のおさらい
前回、オイルはそれぞれ粘度(重さ)があり、場所により相性の良い物を使うとお話ししました。
例えば、下の様に場所によって使うオイルが変わります。
- Aはピストンオイル
- Bはグリス
- Cはチューニングスライドオイル
- Dはレバーオイル
B・Cとなっている場所は、硬さや操作性の好みによって好きな方を使えます。
粘度(重さ)の違いと効果
粘度の低い(軽い)オイル・グリスは、素早く動く為の潤滑効果。
粘度の高い(重い)オイル・グリスは、錆や雑音防止の効果があります。
ピストンオイルの違い
では、現在錦糸町店で販売しているオイルを使ってご説明しましょう!
商品名
- ヤマハ ヴィンテージ
- ヤマハ レギュラー
- ヤマハ ライト
- ラ・トロンバ T1
- ラ・トロンバ T2
- ヘットマン ピストンオイル
- ヘットマン ライトピストンオイル
- アルキャス FAST
- ウルトラピュア プロフェッショナルバルブオイル
- バック
- バック リンズオイル
それらの粘度を表にしたものがこちら。
私の独断と偏見によるオイルの粘度表
あくまで私の感覚ですので、「このオイルはもっと軽いよ!」と
感じられる方もいるかもしれません。
サラサラ系とねっとり系にしか分けられていませんが、
同じような粘度でもメーカーによって特徴があります。
私の独断と偏見によるメーカー別の特長
メーカー | 特徴 |
---|---|
ヤマハ | 無色無臭。全国どこでも手に入りやすく、価格がリーズナブルでじゃんじゃん使えますね。 |
ラ・トロンバ | ややオイル臭あり。滑らかな動きで、ピストンと楽器本体の隙間が広い楽器に向くと思います。 |
ヘットマン | オイルなのにゴムを痛めにくい技術者に人気のオイル。雑味のない動きを実現します。 |
アルキャス | 無色無臭。とにかく早さを求める人に大人気。僕のお気に入りです(スタッフI談)。 |
ウルトラピュア | 無色無臭。泡切れ抜群なので、早い動きでも泡立たず奏者のストレスを極限までなくすオイル。 |
バック | 無色。独特の滑りを持つ人気オイル。バックとの相性が一番良いように感じます。 |
自由にメーカーの印象を書いてみました!(自由過ぎ?)
では次に、楽器との相性と奏者の好みでオイルを選びましょう!
楽器とオイルの相性って?
ピストンオイルを注す場所を思い出してください。
ピストンが楽器に入った時にするする動くのは、そこにほんの少し隙間があるからです。
この隙間はとても狭いのですが、使っていくうちに削れて広がっていきます。
そう、ここで言うオイルと楽器の相性は「ピストンの隙間の幅」がどのくらいか、という事なのです!
カンタンに言うと
- 新しい楽器にはサラサラ系
- 古い楽器にはねっとり系
新しい楽器=隙間の狭い楽器は、サラサラとしたオイルでないと滑らかに動きません。
逆に、古い楽器=隙間の広い楽器は、サラサラしたオイルでは流れ出てしまうのでねっとりしたオイルが良いです。
あとは実際動かしてみて、
「もっと軽い方が良い」「滑らかな方が良い」「臭いは気になるか?」などを考えてみましょう。
実は吹き心地にも少し影響したりします。
まとめ
オイルは楽器の経年変化によって相性が変わります。
指がストレスなく動けば、それだけ演奏もしやすくなる。
オイルは単純なようで、実はとっても深い世界なのです……!(ちょっと熱くなり過ぎましたね
もし、もっと知りたい、グリスの事を教えて欲しいなどありましたらお申し付けください。
熱く語り合いましょう!
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「神戸」と書いて「ゴウド」と読みます。バスクラ吹きです!中低音楽器の修理が集まりやすい特殊体質(?)。今日も笑顔で修理しています!