こんなこともあるのか~夏休みの自由研究 前編~

こんにちは!杉浦です!
今日のこんなこともあるのかシリーズは
自由研究と称した夏の特別編です!


今までのシリーズはこちら☟☟☟
こんなこともあるのか~金管楽器編~
こんなこともあるのか~木管楽器編~
こんなこともあるのか~ピッコロ編~



悟りのその先へ...

前回のブログでは銀の黒ずみ落とし
についてお伝えしましたね。


前回のブログはこちら☟☟☟
フルート・フルコース~黒ずみ落とし~



実は!
あの後、なぜか黒ずみ落としを
ご所望の修理が続きまして...。

磨いたら次の楽器、その楽器がまた磨き。
やっと終わったと思ったらまた磨き。
磨きまくって終わりが見えたと思ったら
また磨きの修理が増えてる...(震)



黒ずみって何なの?

磨き続けること半月(長っ)
私はある事を思い出しました。






そうだ、あの話をしなくては...






ということで、今回も銀の変色のお話です。


またか~と思ったそこのあなた!
結構大事なお話ですので
金管吹きも木管吹きも、打楽器の方も(?)
要チェックです!




そもそも銀とは?

まず、ここでお話する「」とは
シルバー色の楽器全てではなく
銀素材と銀メッキの事を指します。

まずは銀メッキです。
大半の楽器は銀メッキです。
「メッキ」をすごく簡単に説明すると
表面コーティング」の事を指します。

ですので、銀メッキとは
銀という金属による
表面塗装ということです。
塗装のされる側(地金)は
別の金属の場合も多いですよ~。


金属についてのお話はこちら☟☟☟
へこみ直しシリーズ その③


対して、塗装ではなく
楽器そのものが銀素材、かつ
塗装無しのむき出しのものは
銀無垢(むく)と言います。
フルートで見られるタイプです。

銀にラッカー(樹脂による塗装)がされたもの
また、似たような銀色だけれども、
ニッケルメッキは異なる金属なので
黒ずむの仕組みも異なります。
ですのでこちらも対象外となります。

皆さんの楽器のシルバーは何でしょう!
気になる方は調べてみて下さい!

では、この「銀」の黒ずむ仕組みに迫ります!



黒ずむ仕組み

私は前回ブログの最後で
空気に触れているだけで黒ずむ
とお伝えしました。

これは硫化という変色です。

硫化

硫化とは硫黄成分が銀との間で
化学反応を起こして
硫化銀の膜を作ります。

こういうこと!
前回のフルートの黒ずみ
硫化による変色です!

硫黄成分は例えば...
・空気中(硫化水素)
・皮膚や爪のたんぱく質
・化粧品
・ゴム製品
(☝木管のラバーマウスピース!)
などに含まれます。

これらに近付けると、銀に硫黄成分が
くっつくので黒ずみが進行します。

だ ! か! ら !
クラリネット・サックスの
ラバーマウスピースは
ケース外で保管するが良し!
(お友達で発見したら教えてあげて!)

一度磨いても懲りずに黒ずむのは
空気中の僅かな硫黄にも
反応するからなんですよ!
恐ろしや~ガクブル~



身近に潜むもうひとつの黒ずみ

硫化は管楽器ではよくある変色ですが
他にも黒ずむ仕組みがあります。

それが塩化です。
塩化とは塩素が銀との間で
化学反応を起こして
塩化銀の膜を作ります。

こういうこと!

塩素成分が含まれるもの
・ほぼ全ての家庭用漂白剤
・塩素系食品ラップ
・海水
など。

また、ドライクリーニングにも
漂白剤が使われますので
ドライクリーニング後の衣服には
近づけないのが吉ですね。


確かに!
漂白剤のラベルにも
「塩素系」の記載がありました。

このご時世だから
楽器も漂白剤でキレイにしよう~♪
と思う方がいらっしゃるかもしれません...

でも、漂白剤のご使用は銀が変色してしまうという
思わぬ危険があります!!!
このことを知らずに突然、楽器が黒ずむと
悲しくなりますよね...是非覚えておいてください!!!



塩化は激ヤバ

硫化と塩化。
似てるように思える黒ずみでも
実は全く別物!!

塩化はすごーーーーく厄介なんです。
被膜が厚くて強くて硬いので
並大抵のゴシゴシでは落とせません。

と言いつつ、私も塩化した銀を見たことありません。
でも!落とすのが難しいということはよく知っています!!!!

いやいや、言うても落ちるやろ~
リペアマンなら落とせて当然や!
と思う方もいるかもしれないので
後編では塩化の威力を見ていただこうと思います!!!


ということで突然始まった
杉浦の自由研究。
その行方はいかに...


後半へ続く...


※このブログは、誤った使用方法への注意喚起をするものであり、銀製品の漂白を促すものではございません。
また、変色に限らず誤った使用による修理・調整はお断りすることもございますのでご了承下さい。


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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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