クラリネットの半付け???
前回の記事から約2ヶ月。あっという間に肌寒くなり布団が恋しい季節になってきましたね。冷たい麦茶から白湯に変えた、富田です。修理では手先の冷えが精度に影響するので手を温めるカイロや給湯器とお友達です(?)
さて、タイトルにある「クラリネットの半田付け???」を見て「クラリネットに半付けの場所なんてないよね?」と思った方が多いと思います。ただ、バスクラリネットと聞くと「あ~あるかも」と合点がいきませんか?
主役登場!
今回のリペア事例はバスクラリネットのエンドピン台座の交換です。
なぜ交換の判断をしたかというと・・・


何やら強い衝撃があり、裂けてしまった様子。
こうなると修正は非常に困難でパーツ交換一択になります。
作業1-取り外し
新しいパーツを取り寄せるにもめったに交換する場所ではないので取り寄せにもかなりの時間がかかりました。
が、見てください!この輝き!!!
当たり前ではありますが、新品なのでツヤツヤのピカピカです!

新しいパーツを取り付けるには古いパーツを取り除かないといけません。半田付けが行われている場所なので高温で熱して古いパーツを取り、その下にある古い半田も出来る限り取り除きます。
パーツを取り除いた状態
灰色の半円内は全て古い半田です。

半田を取り除く作業の様子
高温で溶かして除去する以外にも紙やすりなどをを使用して出来る限り古い半田を取り除きます。
古い半田が残っていると半田付けの強度・精度にも影響してきます。

新旧パーツを見比べ、この太い場所が取れたと考えると・・・。
半付けより強力なロウ付けがされている場所ではありますが、かなりの力がかかったようです。ひとまずネックを含め上管、下管などの本体が無事で良かったです。

ここまで来たら次はいよいよパーツを取り付けていきます。色々パーツの留め方を試行錯誤しましたが、結局シンプルな留め方に落ち着きました。

作業2-取り付け
パーツの固定ができたので半付けを開始!
半田付け直後の様子がこちらです。まだ半田付け時に使用する薬品(茶色)が残っているのでクリーニングをしながらすき間がないか全体チェックをします。


新品パーツも熱を浴びると多少の変色が発生します。銀磨きをして完成!!!

ではありません!
何かつけ忘れていませんか?エンドピンを固定するネジ類です。
今回はネジ類は生きていたので移植して活用します。
まだ忘れていませんよ・・・!

分解するとこのようなパーツに分かれます

改めて完成!
見覚えのある形になりました。
「エンドピン無しでの演奏から解放される」とのことでかなり体に負担がかかる状況での演奏の様子だったと思います。これでようやく演奏面に集中できます。


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