こんにちは!Wind&Repairの杉浦です!


今回ご紹介する修理はこちら!

スライドの動作修正です!




スライドってどんな仕組み?

スライドとは、トロンボーン奏者が右手で操作する部分のことです。

外管の中に内管と呼ばれる、ひと回り細い管が入った二重構造になっています。

内管(とその先につながるベル)を左手で持ち、右手で外管を抜き差しすることで、管の長さを調節し音程を変化させます。

トランペットの、トリガーと呼ばれる抜差管も同じ原理です。



ピストンやロータリー楽器の場合、指をちょっと動かせば音が変わりますが、トロンボーンは腕を目一杯伸ばしたり戻したり。

...トロンボーン奏者の皆さんお疲れ様です!!!



ですからスライドの動きは重要ポイント!

手を素早く動かすためにスライドは軽い力で操作できるよう、スルスルとスムーズに動く必要があります。


スライドの動きをスムーズにするのが、今回のスライド調整です。

(説明がいらないくらい名前通りな調整ですね)



スライドがスライドしない?

では、今回修理する楽器に話を戻します。

どれ位動きが、良くないかというと...

スライドを下に向けてみても、全く抜け落ちる気配がありません。

動かすのに、かなりの力が必要でした。

外管を抜ききってみると...


バイーーーーーーーーーン!



あらあら。

同じフロアにいたリペアマンは、この音を聞いた瞬間みんな苦笑い...

何が起こっているか、分かったみたいです。



本来、内管と外管は同じ幅でなくてはいけないのですが、両者の幅に大きな差があるのが分かります。

試しに片側だけ管を入れて、差を見てみるとこんな感じ。



内管約1本分もの差ができています。



原因ここにあり

これはおかしい!何かあったはず!

くまなく観察してみると…



ここに原因がありました。

皆さん分かりますか?

内管と内管をつなぐ支柱部分。

マウスピースをはめる側が、歪んでいるのです。

楽器に写る光が、少々うねって見えますね。



逆側と比べると、違いがよく分かります。

この歪みの部分が支点となり、内管がハの字に曲がっていました。



ここまで分かりやすく歪みや曲がりが出ることは滅多にないですが、スライドの歪みはよくある修理です。

スライドの動きに違和感が出てきたら、楽器屋さんに相談してみましょう。


それでは、原因が分かったのでお直しします!



ハンドパワー!!!

内管が外管と同じ幅になるよう、元の位置に戻るように「逆八の字」の方向に修正していきます。

軽い力でも曲がってしまうので、ある程度までは手の力だけで直せてしまいます。

まさにハンドパワー!!

ですが一歩間違えると、スライドが折れたり、取り返しがつかない事にもなりうるので、慎重に戻していきます。

(※握力15kgの私でも、専門学生時代にスライドをへし折った事があります)

すると...



お!

先程よりもズレ幅が小さくなってきました!

もうひと息です!

更に作業を進めると...



幅が揃いました!

遠近法で手前と後ろがズレたように見えますが、きちんと外管と同じ幅になっています!



この後、平らな工具の上で更に細かい微調整を加えていき、スライドを動かしてみると...



スライドがスライドする!

調整前は、力を入れないと動かせなかったスライドが、ストレスなくスムーズに動かせます!

まさにツルツル・スルスル、何もしていないのに滑り落ちていく感覚!

スライドがスライドしています!

これなら、早い音符にも対応出来そうですね♪



セルフチェックしてみましょう

管体曲がり(歪み)の他にも、スライドが動きにくい理由は様々です。


汚れがたまっている

お手入れきちんと行っていますか?

管内には水分の他に、スライドオイルも残っていますので、そのままにしておくと動作の妨げになります。

演奏後には必ずクリーニングロッドやスワブを通しましょう。



お手入れがしっかり出来ているかどうか、リペアマンならすぐ見抜けちゃいますよ~。

お掃除に関してはこちら↓↓↓

こんなこともあるのか~金管楽器編~


へこみができている

トロンボーンだけでなく、金管楽器あるあるですね。

へこみによって動作に影響が出ます。



少々分かりづらいですが、とても小さなへこみでも動きが鈍くなります。


管の曲がり(歪み)

実は、これが動作不良の原因第1位!

今回は分かりやすく曲がっていましたが、パッと見るだけでは分からない曲がりがほとんど。

曲がりに気付けない場合も多いので、定期的にリペアマンに確認してもらいましょう!


さらに気持ちよく演奏するために

上手に演奏するためには楽器の体調管理も重要です。

日頃のお手入れと定期的な調整を行って、いつでも元気な状態で演奏しましょう!


修理・調整代

今回の調整内容はスライド調整(歪み・へこみ修正含)でした。

修理・調整代 15,000円(税込・送料別)

修理費用は同じ症例でも楽器の種類や形状・仕様によって異なる場合があります。
ご不明な点はお近くの島村楽器にぜひともご相談ください。

記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
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この記事を書いたスタッフ

管リペアセンター杉浦

中高6年間をトランペットとコルネットの二刀流で部活漬けの毎日を過ごしてきました!全国の皆様からのご依頼、心よりお待ちしております!

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