アトリエ・コクーンの弦楽器工房日記vol.3 「ニスのリタッチ」
みなさま、こんにちは!
弦楽器修理担当の藤村です。島村楽器さいたま新都心店では弦楽器工房を併設しています。弦楽器(ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの本体と弓、コントラバスは弓のみ)の修理を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!
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先日、工房ではリタッチ(ニス修理)用ニスの準備をしました。下の画像はニスのもとになる天然樹脂を溶かしたもので、今回は6種類ほど用意しました。次の画像は溶かす前の状態です。樹脂によって元の形状は様々ですが、それぞれ適切な濃度で準備しておき、そこからを3~4種類ずつ組み合わせて一つの修理用ニスを作ります。
樹脂の組み合わせ・分量によって、リタッチ作業後の仕上がりが変わります。ニス修理では修理箇所がそれ以外の部分に溶け込み目立ちにくくするのが理想ですので、柔らかさ・硬さや質感などが異なるリタッチ用ニスを数種類用意して使い分けています。今回はニス補修の一例をご紹介します。上の楽器はニス層の一部が凹状に剥落してしまっています。まずは剥落して凹んだニスの層を補い、徐々に周辺のオリジナルニスに近い色みを足していきます。
周囲に溶け込みますように、とリタッチを進めていきます。続いて補修箇所へカバーニスを塗布、質感を揃えて磨き直し終了です。
ニスは見た目の美しさは勿論、楽器・弓を保護するとともに音響面でも大きな役割があります。お使いの楽器のニスの状態で気になることがありましたらお気軽にご相談くださいませ。
それではまた、次回工房日記をよろしくお願いいたします。さようなら!
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