リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その29~フレットすり合わせの巻!
みなさまこんにちは!リペアマン遠藤です!
12月です!めっちゃ寒いです!
仙台では光のページェントが始まりましたね~
私も先日、久しぶりに定禅寺通りまで見に行きましたがめっちゃ綺麗でした!
行ってない方はぜひ行ってみて下さい~
というわけで本題に入ります。
今回はフレットすり合わせです。以前のブログでも取り上げましたが…
おさらいです。作業としてはフレットの凸凹を取って(すり合わせ)フレット上のストレートを出し直します。
フレット押さえた時の音のビビりが気になる時に効果的なリペアですね。
で最近聞かれるようになったのですが、
「すり合わせって多弦でもできますか?」
「ファンドフレットでもできますか?」
という質問。
ズバリ、出来ます。
今回すり合わせを行うギターは多弦かつ、ファンドフレットです。
S7G Ravenですね~
このギター、8弦です。6弦の下にさらに太い弦が2本張られています。
通常のチューニングだと7弦がB、8弦がF#ですが、このギターの持ち主であるお客様のセッティングはさらにもう一音下げ。すごい!
そしてファンドフレットってなんぞ?という方もいらっしゃると思いますが、この斜めのフレットです。
まずはファンドフレットの解説をしましょう。
フレットを扇状(ファン)に配置して1弦から6弦(このギターでは8弦)まで異なるスケールを当てはめているのです。マルチスケールと呼ばれます。ベースでもありますね。
高音弦側は短いスケール、低音弦側は長いスケールにすることによりそれぞれの弦振動が最適化されて鳴り、サステインが良くなるという考えです。
最近になってよく見られるようになりましたが、その背景には昨今のバンドでよく使われるようになった過激なドロップチューニング、そして多弦化があるようです。
例えば6弦で7弦ローBの音を出すみたいなダウンチューニングをするとします。普通だと弦のテンションがなくなってだるんだるんになります。なのでかなり太い弦を張ってテンションを保ったりします。
ファンドフレットだと低音弦のテンションが通常のギターより高い為、そこまで太い弦でなくてもより輪郭のはっきりした低音が出せます。
そして高音弦側はフレット間隔が短くなっているため運指がやりやすくなります。単にネック全体のスケールを長くするエクストラロングスケールよりも演奏性が高くなるのです。
これは多弦になるとより顕著になってきます。
メリットばかりのようですが、デメリットとしてはやはりフレットが斜めになってるので弾きやすいかどうかはその人次第というところがあります。あと慣れ、これが大きいです。
そして特殊であることに違いはないのでナット交換やフレット交換なんかも出来るお店と出来ないお店が出てきます。技術力が要ります。
ちなみに仙台ロフト店は出来ます!私がいるので…
私の所感として仙台はジェント、メタルコア、プログレッシブメタルといった激しく重い系のバンドが多いので比例してファンフレ人口も多いです。
何か困ったことがありましたら私に相談くださいね~
というような解説をしたところで作業に入っていきましょう。
ネックが外せれば作業しやすいので外したいですが、このモデルはスルーネック。
指板周りのボディを傷つけないようにマスキングでガードしていきます。
ネック調整をしてストレートを出します。ナットもロッド調整口も斜めですね…
ストレートゲージです。フレットの減っている箇所も確認します。
大小のすり板ですり合わせしていきます。普通のスケールのものより難易度は上がります。
すり合わせが終わったらフレットヤスリで頂点出しをした後、サンドペーパーをかけてフレットを丸めていきます。
作業的に指板をガードしていきたいので通常なら金属のカバーを使うのですが、ファンドフレット用がないので…
マスキングでガードしました。ミイラのようです…
フレットヤスリで頂点出し。
からのペーパーで丸め込みと傷消し。
最後は秘密兵器でフレットのツヤ出し。
めっちゃピカピカですね~
そしてマスキングを剥がして指板にオイルを塗って…
弦を張って全体調整をしたら完成!
ふ~かっこいいですね!
すり合わせをしたことで最高のプレイヤビリティです!
低弦高でもビビり無しでとても弾きやすくなりました~
いかがでしたでしょうか?
この楽器でも修理出来るのか分からないよ…という方は悩まずまずはお気軽にご相談下さい!
以上、リペアマン遠藤でした!
またお会いしましょう~
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宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!