ユーフォニウムにもパッチ作成【前編】

いつの間にか夏本番。毎日暑くてたまりませんね・・・。
今年の夏から日傘を持ち始めた富田です。
熱気だけでなく、日差しも強いので熱中症だけでなく、熱射病にも注意していきたいですね!

さて、今回持ち込まれたのはユーフォニウム。まずは症状を確認していきましょう!

演奏できる状態にして欲しい

画像にあるほとんどの抜差し管やピストンが動かなかったり、など様々な場所に「固着」が発生していて演奏前のオイル注油などもままならない状態です。

が、しかし!!!この状態を直すのが我々リペアマンの仕事!ここまで来るとかなりやりがいがあります!

状態確認と原因を考える

修理の前にまずは状態確認を行います。
どのような状態で、どのような不調が出ていて、原因は何か。
凹みが動きの邪魔をしているようであれば凹みを直す必要がありますが、今回は凹みが関連している場所はなさそうです。

今回の固着が発生している原因は主に「汚れ」と「オイル・グリス不足」でした。
古いオイルやグリス類が蓄積した「汚れ」と「緑青」が動きの邪魔をしていたり、オイル・グリスが不足し金属のサビが発生していました。
これらを楽器になるべくストレスがかからないように固着修正(固着外し)を行います。

処置を開始!

オイルを注して滑りが良くなって動き始める抜差し管やピストンもありましたが、一筋縄ではいかない場所もありました。
その箇所はオイルを注し、熱を加えて潤滑するように促してみたり、少しずつ衝撃を与えながらそれぞれが抜けるまで処置を行います。
全ての抜差し管やピストンの動作が確保できたその後、管内洗浄や抜差し管のサビ落とし、ピストン調整、消耗パーツの交換を行い、仕上げに向かいます。

⇓ウォーターキイコルクの劣化

ちょっと様子がおかしい・・・

固着外しを進めていましたが、第一抜差し管の様子がおかしいです。
何がおかしいかというと何かに引っかかって動けない様子・・・。

よく見ると下にある管と接触し、抜けない状態でした。

この状態だと抜差し管が抜けないだけでなく、使用に支障があるのでこの症状も処置していきます。
管を曲げるのには限度があるため、半田分解で対応していく事にしました。
管楽器の多くは半田付けで溶接されています。
なので余計な溶接は外さないよう、できるだけ少ない箇所の半田処置で済むようにどこを分解していくか考えます。

いざ加熱!!!

場所を決めたら、処置していきます。
今回はこの箇所のこの棒(赤い□)の長さが伸びると信じてここ(➾)を熱して半田が動いてくれるか試していきます

高温で熱していき、約1mm程伸びてくれました!

このままでは強度的に心配なので新しい半田を継ぎ足して完了としました。

たかが1mmかと思うかもしれませんが、されど1mmです。
抜差し管がスムーズに動かすこともできそうな隙間が生まれました!

ようやく管内洗浄へ

フレキシブルクリーナーや歯ブラシ等を使用して汚れを落としていきます。
オイル、グリス類、緑青(ろくしょう)、そこに加えて人の口から出てくる水蒸気などが合わさった、ヘドロ状のような汚れが溜まっていました。
これらも全て取り除き、衛生的にも改善をしていきます。

調整完了のはずが・・・後半へ

水洗い後、ピストン調整や抜差し管のサビ落とし、消耗パーツの交換をし、吹奏検査も完了し、楽器の拭き上げを隅々まで進めていたところ・・・

なんと亀裂が!!!光を通して再度確認してみると光が漏れているのが確認できます。

なんとか音はでるものの、このままだとさらに亀裂が広がっていき、音が出なくなってしまうかもしれません。この個体は古めのものなので替えの新しいパーツの入手が困難です。ということは今あるものを活かす方法を考えていきます。

このパターン・・・そう、穴を塞ぐパターンです。

ということで次回は≪亀裂≫をふさいでいきます!!!

NEXT⇒ユーフォニウムにもパッチ作成【後編】

記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。

この記事を書いたスタッフ

Wind&Repair富田

最後に楽器の調整を行ったのはいつですか?原因は調整崩れかもしれません。演奏する時にベストな状態で思い切り楽しんでいただけるよう全力でサポートします!

Wind&Repairの店舗情報

このスタッフの記事をみる

おすすめ情報