こんにちは。
ドラム担当の坂田です。
今年の7月末、満を持して発売したATV×島村楽器コラボレーション電子ドラム”EXS-3SC”。
ATVの電子ドラムも徐々に認知度が上がっており、コストパフォーマンスモデルも非常にクオリティが高く本当にオススメなんですが、
実際はRolandとどう違うのか?や、選択肢としての決め手でもやっとした感情を抱いている方向けに、触って感じたことやあれこれをレビューしていきたいと思います。
電子ドラムを決めるのに困っている方や、買ったはいいけど使い方がよく分からない、という方も読んでいただけると幸いです。
それでは行ってみましょう!
ATV×島村楽器 EXS-3SC
今回は全方位に向けこのドラムの良さを伝える&Rolandとの明確なコンセプトの違い、そしてATVの長所や短所を自分なりの解釈で解説していきます。
目次
「EXS-3」と「EXS-3SC」の違い
「EXS-3」は、EXS-5よりも一回り小さな設置サイズを目的として、各10″ のドラムパッドと12″ or 14″ のシンバルで構成されたコンパクトなモデルです。
①追加クラッシュシンバル1枚とホルダーを標準装備
EXS-3SCは追加12インチシンバルパッドが標準装備になっており、このキットで2クラッシュ、1ライド仕様がすぐに手に入ります。
上位機種であるEXS-5には、シンバルパッドが14インチ×2枚、16インチライド×1枚となっているため、丁度良く間を取ったミドルクラスという位置づけです。
しかし、EXS-5と同じパッド数なので練習環境に大きな影響なく、価格を約3万円抑えるこが出来ます!お得!
②かねこなつきさん監修キット5種が追加されている
何とこちら、専用音源のかねこなつきさん監修おすすめキットが5種プリインストール済み。届いてすぐに演奏を楽しむことが可能です。
どんなサウンドなのかは、コチラの紹介動画で是非聞いてみてください!↓↓
③監修キットに加えサウンドストア13種全てがプリインストール済み
EXS-3に初期状態で入っているキット数は5。
EXSシリーズでは、ATVのサウンドストアという専用のサイトから現在13種の追加音源がダウンロード可能ですが、こちらはまずユーザー登録後、ダウンロードしSDカードにデータを入れ、ロードするというやや面倒な作業が必要です。
こちらのモデルは、現在全部で13種ある追加音源が全てロードされた状態ですぐにお楽しみいただけます!ネット環境も不要!素晴らしい!
Roland・TDシリーズとATV・EXSシリーズの違い
では実際にどのような違いがあるのかを説明していきたいと思います。
今回のEXS-3SCはアコースティックなシェルを持たない為、RolandのVAD(V-Drums Acoustic Design)、ATVのaD5のシリーズを除外した、ミドルクラスの比較をしていきます。
目次へもどる△
①サンプリング音源を採用、リアルなアコースティックドラムを追求したサウンド
なんと言ってもやはり特筆すべき点として、サンプリング音源を採用したところにRolandとの大きな違いがあります。
V-Drumsで採用されている音源はモデリング音源(一部サンプリング音源)と言って、太鼓の音を構成する成分を組み合わせて作られています。音の生成過程の様々な要素をアルゴリズム化することにより、簡単に言うと音を自由にカスタマイズできる機能を持っています。
一方、ATVの音源モジュールは一切カスタマイズ不可能なサンプリング音源を採用しています。各パッド毎の音量や全体の感度調整は出来ますが、音色はそのままの物を使用するしかありません。
しかし、どのキットも非常にクオリティが高く、リアルなアコースティックなサウンドが手に入ります。ATVのサウンドは他の楽器にも埋もれにくく、実際の音量以上に存在感を感じる音源に仕上がっています。さらにATV SOUND STOREから今後追加のキットが配信される可能性もありますので、無限の拡張性を秘めています。
②ハイハットに非接触式のセンサーを採用。フットコントロールでの精度がUP
RolandのTDシリーズ含め、ほぼ全ての電子ドラムでは接触式のセンサーを採用しています。しかし接触式はどうしても検出速度に限界がありました。
そこで、光による非接触式センサーを採用。高精度なセンシングが可能となり、今までにないレスポンスと細かなコントロールが可能となりました。
この白い部分の距離によりオープン/クローズのコントロールが可能です。
デメリットを上げるとすれば、このモジュールとは別にセンサー専用に電源が必要であることと、ハイハットボトム側のパッドがやや硬質の樹脂製の為、開閉時の音がやや気になります。
③ドラムパッドにマルチセンサー採用。パッドのセンターでのダイナミクスが安定
スネアドラム、タムには3点マルチセンサーを採用しているため、ヘッド全体で均等なセンシングが可能です。Rolandのメッシュパッドはエッジ部にセンサーが付いています(PD-140DSは除く)。センターにセンサーのあるパッドは、中央部分だけ音が大きくなりすぎる問題があったため、それが見事に解消されています。
④その他の違い
シンバルパッドがシリコンラバー製
EXS-3SCに採用されているシンバルパッドは全てシリコンラバー製。肌触りが良く、傷付きにくく手入れも楽です。更にRolandのシンバルパッドは約120度しかセンサー範囲がないのに対し、360度どこを叩いてもOKなのも強みです。
バスドラムがこのクラスでメッシュタイプ
Rolandのミドルクラスで多く採用されているキックパッドは布製のパッドですが、こちらはメッシュヘッドが採用され、よりリアルで安定感のあるアクションがお楽しみ頂けます。
まとめ、注意事項
EXS-3SCの特長などはなんとなく把握できたと思いますが、買ってそのまま使用するだけでは若干扱いにくさがありますので、最後に購入後、快適に使用いただけるように少しだけ機能の説明をします!
その前に、騒音について
いくら電子ドラムといえど、騒音や振動は必ず出ます。
中でもバスドラムの下の階への振動はお住まいの環境によっては必要になることがあります。
Rolandより販売されているペダルやキックパッド、HHスタンド等の振動を軽減するノイズイーターが最適です。
詳しくはコチラ
特にATVのシリコンラバーパッドは、柔らかい分、ラバー内部のフープやシンバル内面の金属部分へ衝撃が伝わりやすいです。
正直、パッド自体の打音はATVのほうが若干ですがRolandに比べ大きいように感じます。しっかりと対策し、快適にドラムを叩ける環境を整えましょう。
最適な感度等の設定方法
電子ドラムを叩くうえで、HHスタンドやドラムペダルなどの本体に付属しないハードウェア、更にはプレイヤーの普段のセッティングなど、様々な環境の違いがあるため、
購入後の初期設定ではどうしても叩きづらい、などの問題が発生します。
そこで、簡単ではありますがセットアップについて説明いたします。
HHの開き具合を調整する
SETUP画面のHH Closed Adjustの値を調整することをおすすめします!
必ずやった方がよいです。
HHスタンドのペダルのテンションを調節できる機種はそちらでも構いませんが、HHパッドが若干重たいため、少しづつ値をマイナスしていき、丁度良いところを自分で探しましょう。
ちなみに私は普段からあまりオープンしないので、若干開き気味の-6~-9あたりが丁度良く感じました。
全体の感度を調整する
各パッドの音量調整はすぐにできますが、全体の感度調整も先に済ませておくことをおすすめします。
Total Pad Responseの値を上げることで感度がUPします。
もともと、生ドラムと同じような感度設定になっており、しっかりと叩き込むことで本来のサウンドが出せるような絶妙な感度なのですが・・・
自宅でしっかり叩ける方もそう多くはないはずです(悲しいですが)・・・
弱騒音対策として感度を挙げておくのもアリかもしれません。
セッティングの注意事項
最後に、こちらのEXS-3SCは通常のモデル+シンバル1枚増設された状態です。
そのまま組み立てるとシンバルパッドを後から付け直す羽目になります。(一応説明書が付属しています)
こちらのシンバルマウントが1本付けられていない状態で梱包されています。
一旦フロアタム側のパイプのジョイントを外します
この丸い穴がボルトの隙間から見えるように取り付けてください。
マウントを取り付けて完了です。EXS-3SCを購入した際には必ず組み立てる前に先に取り付けましょう。
おしまいに
ATVのコンセプトは、あくまで「アコースティック」にこだわっており、非常にこだわりを感じる電子ドラムです。
どこを叩いても良いシンバルなどは、アコースティックドラムでは当たり前ですが、それを電子ドラムでも同じ感覚で叩ける、そういう生ドラムの当たり前に近づけた電子ドラムとして今後の商品に期待したいですね。
Rolandは今まで培った電子メーカーとしてのノウハウとドラムの融合として、独自の進化を遂げてきました。
目指す道は違えど、どちらも素晴らしい商品なので、どちらが良い、というのはなかなか難しい問題です。。。
近年は電子ドラムも新商品が続々と登場し混沌を極めています。この記事を見て、皆様の電子ドラム選びのお手伝いになれば幸いです。
ブランド | ATV |
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型名 | EXS-3SC |
定価 | オープン |
販売価格 | (税抜)¥180,000(税込)¥198,000 |
JAN | 4573319110655 |
この記事を書いた人
福岡イムズ店 ドラム担当 坂田
吹奏楽、マーチング等のコンサートパーカッションからラテンパーカッション、ドラムセットのチューニングや奏法、ルーディメンツなど、打楽器に関する事はは全てお任せ下さい!ドラマーの皆様を全力でサポートします!