ビートはやっぱり体で感じるものですよね?

こんにちは、開発のイシイです!
メトロノーム練習って退屈ですよね?自分の出している音とクリック音がちゃんと合っているかを聴きながら練習をするのは誰もが通る道。。いままでは。。。そんな単調な練習をもう少しだけ、感覚できるようになる画期的なアイテムが発売されました。
商品発売時(2016年6月) にツイッターなどで大変な反響を呼んだこの BodyBeat Pulse Solo (以降BodyBeat PS) 。
正確なビートを刻むために、いつもメトロノームにらめっこして練習しているドラマーのみなさんにとってはとても気になるこのアイテム。。今回のレビューではこのバイブクリップ、BodyBeat PS を「ドラマー目線」で検証してみました!
さっそく仕様をチェック
BodyBeat PSはアメリカの Peterson というチューナーのメーカーが開発した「バイブ・クリップ」です。バイブ・クリップとは「音を振動に変えるアイテム」。メトロノーム機能はないので、使用するには別途 電子メトロノームが必要です。

販売価格:¥5,800(税抜)¥6,264(税込)

クリップを開いた状態。

ここが振動します。モーターと思われるものが中に入っていることが推測されます。こちらを体に当てるようにしてクリップを衣服、ベルト、靴などに挟みます。

充電用のポート(左)、振動の強度調整(2段階)(右)
試してみました:プラクティスパッド

まずは、プラクティスパッドを叩いてみました。
これは面白い感覚です。クリック音(メトロノームのカツカツという音) を聴かないで練習するという状態、文字通り「ビートを感じながら練習する」という感覚に近いです。
ちなみにバイブはメトロノームの音量を一定以上にすると反応します。音に強弱がついたクリック音の場合、強弱も再現するようですが、メトロノームの機種によって違いは分かりにくい可能性があります。ここではメトロノームの定番、BOSS の DB30 を使用しましたが、振動の強弱はあまり感じられませんでした。
試してみました:ドラムセット

次に実際にドラムセットを叩いてみました。
これもまた面白い感覚です。まるで「誰かが体を叩いて合図してくれている感覚」。ただドラムは普段から叩く振動を少なからず感じながら演奏するものですよね。BodyBeat PSの振動と叩いている感触を区別するまで、ちょっとだけ慣れが必要です。
ただ、本来曲を練習する時にはクリック音の無機質なカツカツ音は不要なはず。ドラマーは他の楽器と比べると聴き慣れているとはいえ、聴かないで練習ができれば、それに越したことはないですよね。
例えばこんな使い分けができると思います。
- ジャストのタイミングを追及する時はメトロノームの音 (叩いている音とクリック音が一致してクリックの音が聴こえなくなる練習)
- ビートに幅を持たせたトレーニングの時は、BodyBeat PSのバイブ機能
自分のリズム感を鍛える意味でもこれはアリだと思います。
さらに便利な使い方
通常の電子メトロノームであればほぼ対応しているというBodyBeat PS、実は専用のメトロノームアプリを使うとさらにパワーアップ! このアプリを使うとよりはっきりと複雑なビートやアクセントの強弱を感じることができます。(2016年7月時点では iOS版 のみ)

バイブクリップを念頭に作られているこのアプリを使うと振動そのものも大きくなり、強弱もはっきりと出るようになります。音色、拍子、パターンを色々と変えられるのもうれしいですね。
クリップを色々な場所につけてみました
どこに身に着けるのが一番よいのか、テストしてみました。
腕

二の腕につけてみました。片方の手が届きやすい位置なので、調整はしやすいですね。ただ、これはやってみると分かりますが、ドラムはどうしても手を動かす楽器、、演奏を始めると以外と振動が感じにくくなってしまいました。
足

これもアリですね。場所的にもあまり目立たない場所なのもグーです。くるぶしなど骨の硬い部分に当てておくと振動をキャッチしやすいです。ただ、私だけかもしれませんが、「振動がちょっと遠いかな?」と感じたのも事実です。
腰

これがドラマーとしては一番しっくりくるかと思います。ポケットに挟むか、ベルト付近(横/真後ろ) に挟むのがいいと思います。体幹に近い分、しっかりとビートを捉えるができます。腰骨に当たると振動を感じやすいですね。
首

ちょっと変ですよね?でも案外よかったです。「リズムは体の中心で感じる」とよく言いますが、やっぱり本当なんだな、と改めで実感しました。ただ、毎回首根っこをつかまれたネコのような気がしてしまうのが弱点です。
耳

イタイ!そしてクリップの振動そのものが聴こえます。すいません、冗談でした。。
結論
人それぞれリズムを感じやすいポイントは違うかもしれませんが、私は体幹に近い部分、ベルト部分に挟んで、腰の左右、または真後ろがイチバンしっくりきました。疲れたら左右入れ替えてもいいかもしれないですね。
ここでいくつか質問
その1:音と振動の両方はできる?
クリック音を聴きながら、振動を感じることができたら便利ですよね?このようなプラグを使うとできます。(付属しません)

ちょっと例外的な使い方ですが、ステレオミニプラグを分岐させるプラグをメトロノームの出力につなげることにより、「振動を感じながら、音でも確認」することが可能です。まさに「ビートを肌感覚と聴覚の両方で感じる」使い方ですね。(しつこいようですが、あくまでも実験ですので分岐プラグは別途用意する必要があり、クリックの音量は一定以上にする必要があります。)
その2:音楽にも反応する?
色々と試していくうちに変な疑問がわいてきました。「もしかしてこのBodyBeat PS、曲にも反応するのでは?」
さっそくつなげてみました。すると、どうでしょう。なんと音楽に反応し振動しはじめたではないですか!これで曲に合わせて練習できるっ、と言いたいところですが、どうしても音楽の微妙なダイナミクスに反応をするため、一定のビートにはなりませんでした。バスドラ4分打ちの曲でも一定のパターンにはなりませんでした。残念!面白い実験でした。。
Body Beat Pulse Solo 検証:まとめ
- 「ビートは体で感じる、耳は音楽に集中」という本来の演奏感覚を身に着ける上でとても便利なアイテムです。
- 体のどこでビートを感じたいか?自分の好みで調整ができるのもありがたいです。
- 専用アプリを使うとBodyBeat PSがレベルアップします。より強弱がはっきりした「リズム体感アイテム」になります。
- 当然「振動音」はします。バイブ設定を小さくしても、音は発生しますがドラムを叩き始めると気になりません。練習や、音量の大きいステージで使うアイテムとしては最適ですが、レコーディングなどノイズに対してシビアな環境には向いていません。
- クリック音が消えることを目指す、「ジャストのタイミング」を身に着けるような練習方法には向きません。
いかがでしたでしょうか?リズムの感じ方は人それぞれですが、やはり頭で考えてしまっては気持ちがいい演奏はできないですよね?メトロノームのビートを体で感じる、という驚きのコンセプトを持ったBodyBeat PS 、お手頃価格で手持ちのメトロノームがすぐに「体感メトロノーム」に早変わりします。気になる人はぜひ一度お店で試してみてくださいね。
それでは!
仕様
- 寸法:32L × 32W × 76H mm
- 重量:64g
- φ3.5mm ステレオミニプラグ
- ケーブル長:1.2m
- 付属品:充電用USBケーブル、保証書(1年間)
おまけ
シーケンサーなどバッキングトラックと同期させ、バンドメンバー全員がステージでテンポを共有、といった使い方をしたい場合は同じくPeterson社から BodyBeat Sync という優れものが出ています。
BodyBeat Sync はワイヤレスでお互い接続し(一人一台)、ビートを設定したグループ内で同期させることが可能です。(通信範囲 半径68m) (バイブクリップ付属) DAWのMIDIタイムコードとも同期が可能です。同じエリアに複数のグループがあっても干渉はしません。バンドだけでなく、ブラスバンドに最適ですね。