お題:「On The Run」(走り回って)/ Pink Floyd
- アルバム: The Dark Side Of The Moon (邦題:狂気)
- シンセ:EMS(Electronic Music Studios) VCS3 & Synthi AKS
シンセサイザー温故知新4回目。EMSのVCS3とSynthi AKSです。
お題のアルバムは、ピンクフロイドの歴史的名盤「The Dark Side Of The Moon」(1973)から「On The Run」。
本アルバムで使用されているシンセは、クレジットではEMS社のVCS3となっているのですが、この曲のメイン・シーケンスは、VCS3のシーケンサー内蔵後継機種「EMS Synthi AKS」を使用していたようです(VCS3も後からダビングで使用したらしいですが)なお、EMS(Electronic Music Studios)社は今でも現役バリバリのイギリスの企業で、ヴィンテージ・シンセもまだ買えるみたいですね・・
A面の3曲目に当たるこの曲は、オープニングから次の「Time」へのインタールード的な曲です。
曲は8ステップのシーケンスを延々繰り返し、フィルター、レゾナンスのツマミををグリグリ回し、LFOモジュレーションをかけたりしているようです。これにホワイトノイズによるハイハット風のサウンド、ギターやシンセ(VCS3)、テープエフェクト等が加えられているようですが、なんとも言えない緊張感が漂う曲でございます。
こちらはVCS3
こっちは シーケンサーとフィルム状キーボード付きのSynthi AKS
VCS3とSynthi AKSの外観の特徴としては、美しいルックス、そしてマトリックス・ボードではないでしょうか。このマトリックス・ボードは、横軸(入力)と縦軸(出力)の交点にピンを挿すことによって、VCO、VCF等のモジュールを自由に接続し、音色を作成する仕組みになっています。そーいえば昔こういう感じのゲームありましたね(古)
さて、今回はこの8ステップのシーケンス・サウンドに挑戦してみました。なお原曲では途中で音程が変化して聞こえる箇所がありますが、これはフィルターの発振音によるもので、シーケンス・フレーズ自体は全く変化していないと思われます。
英語版Wikipediaでは下記メイキング動画のリンクとともに「C3, C2, E♭2, G2, F2, E♭2, F2, B♭2」という記載があります。
これがメイキング・・というか回想ですけど(デヴィッド・ギルモアが触っているのがSynthi AKS)
原曲を耳コピしてみたら「E-G-A-G-D-C-D-E」という感じに聞こえましたので、今回はこのシーケンスを打ち込んで行って見ることにしました。
あいにくVCS3はたまたま手元に無かったので(ウソ)、使用したシンセはRob Papenの「BLUE」。Rob Papenプラグイン専用のスタンドアロンプレイヤー「RP-Dock」で立ち上げています。
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Rob Papenプラグイン専用のスタンドアロンプレイヤー「RP-Dock」を使ってみました
BLUEにはステップシーケンサーが内蔵されていますので、本物と同じく8ステップのシーケンスを作成し、オシレーターを2種使用しました。ホワイトノイズでハイハット、スクエア波でシーケンスフレーズを演奏させています。
フィルターとレゾナンスは、MIDIキーボード側のモジュレーションでもコントロールしております。
・・・非常に良い感じですが、でも少々フィルターの感じが実機とは違い「今風」ですね。そりゃあたりまえか・・・
ということでVCS3のエミュレーション・ソフトシンセを探していたら、なんとドイツの音楽雑誌社「Beat Magazin」がキャンペーンでXils Labの「Xlis 3」というソフトシンセを無料公開(※)しておりました。さっそくダウンロードして試して見ることに。※記事公開時の情報です
Beat Magazin:
http://www.facebook.com/beat.magazin
Xlis 3にはシーケンサーはついていないようなので、DP8で2台のXlis 3を立ち上げ、シーケンスとハイハットパートをを打ち込んで鳴らしてみました。DAWはDP8です。
おー、さすがの雰囲気、良いですね〜・・これ無料ってちょっと気前良すぎ。マトリックス・ボードもしっかり再現されてるしこれハマります^^;
☆
というわけで、今回は少々マニアック路線でお届けして参りましたが、「The Dark Side Of The Moon」に関しては、ロック史上、特筆すべき名盤中の名盤でございますので、コンセプト、音楽性、等々についてはここでわざわざご紹介はいたしませんが、もし万が一聴いたことがないという方は、ぜひこの機会にお聞きいただきたく存じます。
ところでアルバム後半「Any Colour You Like」のエコー処理(実際はアナログテープのループらしいです・・)されたシンセソロは何度聴いても素晴らしいですね・・このトラック作るのには相当手間かかっていると思います。他にもテープ切り貼りで作ったコラージュとか、「Money」の「チーンジャラジャラ」ループとか、サンプラーなんて無い時代によくまあここまで作りこんだものです。
それではまた
これ半音低いですけど・・
※前曲の「Us and Them」からこの「Any Colour You Like」に切り替わる瞬間(CからDm)が、ワタクシはこのアルバムで一番好きな箇所です。
なんとiPad アプリでも登場!! iVCS3
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しっかり「On The Run」という音色がプリセットされていますね!