あらためて言うまでもありませんが、音楽制作でのサウンドモニタリング環境というのは非常に大事ですね。いくら高価なプラグインや機器を揃えても、最終的なマスタリングが適正でないと元も子もありません。スピーカーの設置や部屋の調音など良い音でモニターするためにみなさんも色々と工夫していることと思います。本来であればクセのないフラットな環境でのモニタリングが理想ですが、住宅事情やコスト的にも理想の環境を手に入れるのはなかなか難しいですね。
しかし、それを実現してくれるのが今回紹介する「Sonarworks Reference 4」というDAWのプラグインでも動作する魔法のソフトウエア!
「Sonarworks Reference 4」は15分ほどの測定で、最適なモニター・スピーカーやヘッドホンによるリスニング環境へ補正してくれる夢のようなサウンドキャリブレーション(補正)ソフトウエア。これを使うことにより「自宅でミキシングした完パケをスタジオで聞いたらまったく意図しない音で鳴ってしまった」「ヘッドホンでミキシングしたら偏ったサウンドになってしまった・・」という音楽制作あるあるから開放されるわけです。
今回は来日中のSonarworks社(ラトビア)のHead of Business Development(事業開発部長)Gints Mednis 氏に「Reference 4」の実演と説明をしていただきましたのでご紹介いたします。
Sonarworks 事業開発部長 Gints Mednis氏
北ヨーロッパにある人口200万のラトビアは、ソビエト時代は軍事関係の音響技術研究が盛んな地域で、そんな歴史的背景もあり、独立後の現在もオーディオ関連企業が多いそうです。Sonarworks社は設立2年のまだ若い企業ですが、同社の開発したソフトウエアはすでに2万5千ものスタジオにインストールされているとのこと。
サウンドキャリブレーションとは?
音楽制作において周波数特性フラットでくせのないリスニング環境はとても大事です。Sonarworks Reference 4は、専用の測定用マイクを使用して、対象となるリスニング環境を測定し、それを目的となる環境に補正してくれる仕組みとなっています。イメージとしては下図のように周波数特性や位相をフラットに補正する仕組みです。
イメージ
ただしここが奥の深いところですが、フラットな環境が必ずしも音楽的に素晴らしいとはいえません。世界中の著名なスタジオのサウンドがすべて同じでないのと同様、理想のサウンドというのはひとつではありません。Sonarworks Reference 4は自分の音楽制作環境の特性を測定し「プロファイル」を作成、そして目標となる理想のリファレンスサウンドに補正してくれる仕組みになっています。
ここで重要なのは、Reference 4は部屋そのものの音響特性を変えるわけではなく(それができたらプロのスタジオいらないですね)、あくまでリスニングに最適なポジションである「スイートスポット」における特性を補正するということ。
L.A.やロンドンにある著名なスタジオの音場特性をキャプチャーしてプロファイリングしておけば、自宅の音場特性をそれに近いものに補正して音楽制作ができる(かも)ということになりますね。これは確かに夢のよう。それでは実際にどんな方法でそれを実現できるのか紹介しましょう。
測定開始
今回測定に使用したのはとある撮影ルーム。お世辞にも音楽を聞くのに適した環境とは言えませんん。しかしあえて突貫でセッティングしたこの環境がどう変わるのか試してみることにしました。
まずは専用ソフトを使用してこの部屋の周波数特性を測定します。今回はSonarworks測定ソフトウェア用に個別にキャリブレート済みの専用の測定マイクを使用しました。
同じ価格帯(1万前後)であればこのマイクを使用しなくとも測定はできるとのことですが、個別にキャリブレート済みの専用マイクを使用するのが楽ですね。ちなみにこの専用マイクはシリアルナンバーを入力することで個別のプロファイルがダウンロードできるしくみになっています。
測定方法はとても簡単。マイクをオーディオ・インターフェイスに接続して、測定ソフト「Reference 4 Measure.app」を立ち上げます。
その後は、ソフトのガイドに従ってマイクを測定位置に移動していけばオーケー。測定中は警告音のようなサウンドや、低域から高域までスイープする音が流れて一瞬焦りますが、これで周波数特性を測定していきます(30箇所前後)。15分~20分くらいで測定は完了します。
その様子は動画を御覧ください。
完成したプロファイルはこんな感じです。
予想はしていたものの、ずいぶんとひどいクセのある部屋鳴りですね。
こうして自分のリスニング環境をプロファイリングした後は、DAWを起動して Reference 4プラグインをマスタートラックに立ち上げれば、ゼロレイテンシーで最適なリファレンス環境に補正することができます。なお各種設定で単にフラットにするだけでなく、ベースをブーストしたり目的とするターゲットのプロファイルに近づけたりと様々なカスタマイズが可能になっています。
劇的な変化が!
さっそくON、OFFで聴き比べてみるとそのあまりの違いに愕然!さすがに部屋の鳴りそのものは変わるわけではありませんが、スイートスポットのリスニング環境は劇的に変化が生じました。さらにヘッドホンでも試してみるとその違いは歴然!
ヘッドホンのプロファイルは、さすがに通常の測定マイクで測定することはできないため、Sonarworks社が測定し作成した代表的な各メーカーの機種のプロファイルが予め用意されています。
定番のスタジオモニターヘッドホンと呼ばれるSONY「MDR-CD900ST」・・・・けっこうクセのある感じですね。
SHURE「SRH1840」のプロファイル。
これらを下記のように補正することができます。
Sonarworks社では、リクエストの多いヘッドホンの機種に関しては、随時プロファイリングを公開していくとのことです。
OSのオーディオ出力にも対応
Reference 4には、DAWを介さずにOSのオーディオ出力を直接キャリブレーション可能な「Systemwide」が含まれています。これを使うことで 、たとえばiTunesやSoundcloud、Spotifyなどのサウンドも最適化してリスニングすることができます。プラグインで使用する場合に比べ若干のレイテンシーが生じるとのことですが、リスニングであれば問題ないでしょう。
★
いかがでしたでしょうか?たとえば自宅の制作ブースであれば、部屋の模様替えや機材の配置等によってリスニング環境は微妙に変わってしまうものです。しかし魔法のツール「Reference 4」があれば常に最適な環境を保つことができますね。どんなに機材に投資しても、出来上がったマスターが不適切なサウンドだとしたらもったいないですよね?お値段もそこそこなのでDTMユーザーにもぜひ使っていただきたい製品だと思います。
なおReference 4の製品ラインナップは、測定マイクのバンドルエディションである「Reference 4 Studio Edition + Mic」、すでにマイクをお持ちの方向けの「Reference 4 Studio Edition」、そしてヘッドホン・キャリブレーションのみの「Reference 4 Headphone Edition」などのバリエーションが用意されています。体験版も用意されているので、ぜひ試してみてはいかがでしょう?
Reference 4 ラインナップ
Reference 4 Headphone Edition Box
- Reference 4ヘッドフォン・キャリブレーション
- アベレージモデルを使用したヘッドフォン・キャリブレーション
- AU/AAX/RTAS/VSTプラグインフォーマット対応
- Systemwide同梱 – OSからの出力もキャリブレート
- ※Reference 4 Headphone Editionにはスピーカー・キャリブレーション機能、測定マイクは含まれません。
販売価格
(税抜)¥12,778 (税込 ¥14,055)
JANコード:4533940076270
Reference 4 Headphone Edition DL(ダウンロード版)
販売価格
(税抜)¥12,778 (税込 ¥14,055)
JANコード:4533940076225
Reference 4 Studio Edition+測定マイク オススメ!
- Reference 4 スピーカー+ヘッドフォン・キャリブレーション
- プロフェッショナルな使用に耐えうる測定用マイクロフォン(XLR接続)
- アベレージモデルを使用したヘッドフォン・キャリブレーション・プラグイン
- スピーカー測定ソフトウェア + キャリブレーション・プラグイン
- AU/AAX/RTAS/VSTプラグインフォーマット対応
- Systemwide収録 – OSからの出力もキャリブレート
- Sonarworks測定ソフトウェア用に個別にキャリブレート済み
販売価格
(税抜)¥39,630 (税込 ¥43,593)
JANコード:4533940076294
Reference 測定用マイク Measurement Microphone (XREF20)
- デモ試用版での利用を前提にした、専用の測定用マイクロフォン
- プロフェッショナルな使用に耐えうる測定用マイクロフォン(XLR接続)
- AU/AAX/RTAS/VSTプラグインフォーマット対応(デモ試用版)
- 21日間ソフトウェアの全機能を利用可能なデモ試用版で測定・キャリブレーションが可能(ダウンロードのみ)
- Sonarworks測定ソフトウェア用に個別にキャリブレート済み
販売価格
(税抜)¥9,074 (税込 ¥9,981)
JANコード:4533940076263
Reference 4 Studio Edition DL
販売価格
(税抜)¥33,149 (税込 ¥36,463)
JANコード:4533940076232
アップグレード版
【関連記事】
話題のスピーカー、ヘッドフォンキャリブレーションソフト【Sonarworks】が凄すぎて感動!
数量限定にて「Sonarworks Reference 4 Studio Edition with Mic」を無償で入手いただけるプロモーション開催中!
概要
対象商品となるEVE Audioのスピーカー1ペアまたはTSシリーズ1台のご購入にて「Reference 4 Studio Edition + Mic」を1セットご提供します。
期間
2018年8月20日(月)~ 予定数に達し次第終了
対象商品
- SC204
- SC205
- SC207
- SC208
- SC305
- SC307
- SC407
- SC408
- TS107
- TS108
- TS110
- TS112
SC204
(税抜)¥35,000 (税込 ¥38,500) ※1本の価格
JANコード:4533940043821
SC205
(税抜)¥46,250 (税込 ¥50,875) ※1本の価格
JANコード:4533940043838
SC207
(税抜)¥86,000 (税込 ¥94,600) ※1本の価格
JANコード:4533940043845
SC208
(税抜)¥122,000 (税込 ¥134,200) ※1本の価格
JANコード:4533940047904
SC305
(税抜)¥105,000 (税込 ¥115,500) ※1本の価格
JANコード:4533940047911
SC307
(税抜)¥150,000 (税込 ¥165,000) ※1本の価格
JANコード:4533940043852
SC407
(税抜)¥348,000 (税込 ¥382,800) ※1本の価格
JANコード:4533940047928
SC408
(税抜)¥522,000 (税込 ¥574,200) ※1本の価格
JANコード:4533940047935
TS107
(税抜)¥70,000 (税込 ¥77,000) ※1本の価格
JANコード:4533940047942
TS108
(税抜)¥104,000 (税込 ¥114,400) ※1本の価格
JANコード:4533940047959
TS110
(税抜)¥139,000 (税込 ¥152,900) ※1本の価格
JANコード:4533940047966
TS112
(税抜)¥174,000 (税込 ¥191,400) ※1本の価格
JANコード:4533940047973
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