近頃ますます人気となっているのが完全ワイヤレス(トゥルーワイヤレス、左右独立型とも)イヤホン7機種をチェックしてみました。機能や価格など、ご自分にあったイヤホン選びの参考にどうぞ。
完全ワイヤレスイヤホンとは?そのメリット・デメリットは?
完全ワイヤレスイヤホンとは、写真のようにワイヤレスでかつ左右のピースが分離している、耳栓のような形状のイヤホンのことです。
iPhone7以降はイヤホンジャックも廃止されたこともあり、最近はトゥルーワイヤレス型は各メーカーから多くの機種が発売されています。
完全ワイヤレスの一番の魅力はなんといっても「ケーブルレスならではの開放感」といえるでしょう。しかし反面「落としたらどうしよう?」「ちょっとお高いんじゃないの?」「音切れはないの?」といった疑問を持たれる方もいるかと思います。
確かにワイヤードタイプと比較すると若干高価で、紛失の心配も無いわけではありません。しかしそれらを考慮してもケーブルレスによる開放感はやはり魅力です。それではまずは完全ワイヤレスイヤホン選びのポイントから。
トゥルーワイヤレスイヤホン選びのポイント
多くの機種から自分にあったものを選ぶポイントですが、スペック的には以下の様になると思います。
- 価格
- 再生時間
- 充電時間
- 重量
- 装着感
- 対応プロファイル(機能に関係)
- 対応コーデック(音質に関係)
- Bluetoothバージョン(通信の安定性に関係)
再生時間、充電時間、重量、装着感に関しては比較的わかりやすいと思います。どこでどんな使い方をするのかで求めるスペックが変わってくるわけで、たとえば使用するシチュエーションが通勤通学時、長時間のフライト、フィットネス・・で再生時間や装着感は重要になってきます。フィットネスということであれば防水仕様も気になるところですね。
なお今回紹介する製品はすべて収納ケースが充電器の機能を持っており、イヤピースへの複数回の充電が可能となっています。※本記事で表示している時間は最大時間で、環境条件によって実際にはそれよりも短くなる場合がありますのであくまで参考としてください。
ケースに収納することで充電される
下から3つの項目、プロファイル、コーデック、Bluetoothバージョンに関しては、普段あまり聴き馴染みがないかもしれません。しかしこれらのスペックは、音質や通信の安定性などと密接な関係にあるので、どんなものかざっくり知っておくとよいでしょう。では順に説明していきます(知っている人は読み飛ばしていただいて結構です)
プロファイル
Bluetoothにはさまざまな機能を持つ機器との接続を行うことができるので、機能ごとに通信ルール=「プロファイル」が決められています。接続のためには機器同士が同じプロファイルに対応している必要があります。
プロファイルの一例
- HSP(Headset Profile):ヘッドセットと通信する
- HFP(Hands-Free Profile):ハンズフリー通話をする
- A2DP (Advanced Audio Distribution Profile):ステレオ音声をレシーバー付きヘッドフォン(イヤホン)に伝送。
- GATT (Generic Attribute Profile):BLEで通信をする場合の基本プロファイル。他と組み合わせて使用される
たとえばハンズフリーで電話できたりするためには「HFP」が、Bluetooth機器同士で音声を伝送する場合は「A2DP」プロファイルが必要となります。
コーデック
Bluetooth機器同士で音声を伝送する場合は、前述の「A2DP」プロファイルが必要となり、その際には音声を圧縮する必要が生じます。コーデックはその際にデータのやり取りを行う際の音声圧縮の方式のことです。対応するコーデックによって「音質」に差が出ると思ってください。
主なコーデック(下に行くほど高音質)
- SBC
- A2DPの標準コーデック。遅延や音質劣化が欠点だが利用可能な製品が多い。
- AAC
- 主にiPhone、iPad等 高音質・低遅延
- apt-X(aptX):アプトエックス
- 主にAndroid端末 高音質・低遅延(48kHz/16bit)
- aptX HD
- aptXの拡張。ハイレゾ相当(48kHz/24bit)の高音質伝送が可能。
- HWA
- High-Res Wireless Audio ファーウエイ社が開発(96kHz/24bit)
- LDAC
- ソニーが開発。ハイレゾにも対応(96kHz/24bit)
ここで大事なのは送信側(スマホや音楽プレーヤーなど)と受信側(イヤホン)が同じコーデックに対応していることです。そうでないと高音質・低遅延の恩恵をうけることができません。たとえば送信側がAACで、受信側がapt-X(AAC非対応)の場合は、コーデックには遅いSBCが使われることになります。
Bluetoothのバージョン
Bluetooth(無線通信の規格の一種)には多くのバージョンがあり、現在(2018/9月時点)では5が最新です。バージョン間の違いは主に通信速度や電力消費量といったものになります。通信速度が遅いと動画サイトの閲覧等で絵と音がズレたりしてしまうわけですが、4.0以上であればまず問題ないと思います(周囲の環境に依存します)。
※コーデック、プロファイル、Bluetoothバージョンに関して詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ペアリング
Bluetoothで無線通信するためには、最初に互いを認証する作業(ペアリング)をおこなわなくてはなりません。たとえば満員電車の中で他人のBluetooth対応音楽プレーヤーと混線してしまったら大変ですね。そのため「一対一」の接続を行うためペアリングが必要になるのです。
iPhoneの例
ペアリング方式は、最初に1回だけパスキー(PINコード)を入力して、2回目以降は自動接続するものや、ほぼ半自動的にペアリングしてくれるモデルもあります。
防塵防水等級(IP)
防塵と防水の強度を示すのは、電子機器の保護等級(防塵・防水性能)を表す「IP」です。防塵性能は0~6の7段階、防水性能は0~8の9段階で表しますが、たとえば防塵レベルが5、防水が2であれば「IP52」と表示されます。防水性能のみの場合は「IPX5」、防塵のみの場合は「IP5X」というように表します。防塵と防水の両方とも最高クラスの場合は「IP68」ということになります(事実上はIP67)。※IP=International Protection
おすすめ7機種をチェック
今回は7機種を実際に試してみました。完全ワイヤレスイヤホン選びの参考になれば幸いです。
- EARIN / M-2
- NAGAOKA / BT808
- B&O / PLAY Beoplay E8
- YEVO / YEVO1
- NUARL / NT01
- Anker / ZOLO Liberty+ / ZOLO Liberty
EARIN / M-2
完全ワイヤレスの先駆けともいえる「EARIN」の一号機から2年あまり経って発売された最新モデル。Blackとシルバーの2色展開。ペアリングも楽々で、特筆すべきは、モーション検出機能による装着前のL/Rの確認が不要な点。どちらが右か左か?といちいち確認する煩わしさから開放されるのは嬉しいですね。
実際に試してみると、デュアルアンテナ設計によりほとんど「ドロップアウト(音切れ)」はなく、快適なサウンド。Bluetooth 4.2に対応した低レイテンシー(遅延)が特徴。M-2は各イヤピースにマイクを2個搭載し、ノイズリダクション機能により、周辺のノイズを自動で下げてくれるので快適な通話も可能です。
またタッチセンサーをイヤピースに搭載し、タップの回数や方法で各種操作が可能。 着信の応答 、音楽の Play/Pause、選曲(前の曲、次の曲)、デジタルアシスタント機能の対応(SIRIなど)が可能となっています。専用アプリを使えばイヤピースの電源ON/OFF、バッテリー残量の認識、音量調整、L/Rバランス調整などが可能となっています。AAC, aptX, SBC対応で、最大再生時間は4 時間。向いている音楽ジャンルはオールラウンドですが特にジャズやクラシックなどがおすすめです。
販売価格
(税込) ¥32,780 (税抜 ¥29,800)
EARIN M-2(シルバー)生産完了 JANコード:7350088600160
EARIN M-2(ブラック)生産完了 JANコード:7350088600177
NAGAOKA / BT808
高音質なダイヤモンドレコード針で世界中のオーディオファンから「音のナガオカ」として評価されている株式会社ナガオカの完全ワイヤレスイヤホンがBT808。Bluetooth4.2、AAC対応、連続音楽再生は最大4時間で、収納ケースで4回の充電が可能です。
今回紹介する機種の中で他に引けを取らないスペックを備えながら、価格は最もお安い¥6,458(税込)。IPX5対応なのでスポーツなどにもおすすめです。ハンズフリー通話にも対応、EARIN M-2に次いで4.5gの軽量設計。コスパの高い完全ワイヤレスイヤホンです。
販売価格
(税込) ¥6,578 (税抜 ¥5,980)
BT808 BK(ブラック)生産完了 JANコード:4967736080002
BT808 WH(ホワイト)生産完了 JANコード:4967736080019
B&O / PLAY Beoplay E8
今回紹介する7機種の中では最も高額になりますが、さすが抜群のつけ心地なのがB&O PLAY ( バングアンドオルフセン )の「Beoplay E8」。5.7mm ダイナミックドライバーを搭載。若干硬めのサウンドの印象ですが、低域、中域、広域のバランスがとても良いです。Bluetooth4.2、AACに対応。テスト時には音切れも全く起きませんでした。
専用アプリを使用すれば、設定や製品のカスタマイズ、イコライザーの調整が容易に行えます。JAZZやクラシック好きにもおすすめできる製品です。
製品詳細はこちら
販売価格
生産完了 Beoplay E8 BK(ブラック)
(税込) ¥33,509 (税抜 ¥30,463)⇒価格改定2019年10月10日~ (税込) ¥28,006 (税抜 ¥25,460)
JANコード:5705260068115
生産完了 Beoplay E8 CS(チャコールサンド)
(税込) ¥33,509 (税抜 ¥30,463)⇒価格改定2019年10月10日~ (税込) ¥28,006 (税抜 ¥25,460)
JANコード:5705260065060
YEVO / YEVO1
スウェーデンのYEVO(イーヴォ)社の YEVO1は北欧らしいシックなデザイン。コーデックがSBCのみというのが残念ですが、knowles製 BAドライバーを搭載し、分離度が良くクセのないサウンド。欲を言えば重低音の迫力がもう少々欲しい気もしますがこれは専用アプリである程度調整可能です。なおタッチコントロールが非常に多機能で、再生停止、音量調整、曲送り曲戻し、通話、Siriや Google アシスタントなどタップで調整することが可能です。
スイッチは付いておらずタップしてコントロールします
周辺の音を取り入れて聞くオーディオトランスペアレンシーモードを搭載。3つの無指向性マイクを内蔵しており、通話用マイクと、通話中は残り2つのマイクが作動し、余分なノイズを排除したクリアな通話ができます。充電は5回までイヤホンを充電可能(再生時間は4時間×5回+4=24時間)Bluetoothは4.1対応。
販売価格
(税込) ¥30,393 (税抜 ¥27,630)
生産完了 YEVO1 IVWH(アイボリーホワイト)JANコード:0813895027836
YEVO1 JTBK 生産完了(ジェットブラック)JANコード:0813895027942
NUARL / NT01
Bluetooth 5 、AACに対応した解像度が高いクリアなサウンドが特徴。5時間の再生が可能(収納ケースとの組み合わせで最大12時間)ノズルの先端に取り付けて耳穴の周囲を塞ぐ「フィッティングタイプ」と、ノズルの奥側に取り付けてより深く耳に入り遮音性を高める「プラグインタイプ」の2種類のシリコン製イヤーピースを付属。自分にあったものを選択できます。
市販の完全ワイヤレスイヤホンとして世界で初めてHDSSを採用(2018年3月現在)。購入から1年以内であれば、片側紛失時でももう片側のイヤホンが残っていれば新品と交換(有償)できる紛失サポート付で、万が一の紛失にも安心です。
製品の詳細はこちら
販売価格
生産完了 (税込) ¥16,225 (税抜 ¥14,750)
NT01 MB(マットブラック)JANコード:4560358451856
NT01 BS(ブラックシルバー)JANコード:4560358451863
【後継機種】NUARL NT01B HDSS(R) TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES
販売価格
生産完了 NT01B-MB(マットブラック)/ NT01B-BS(ブラックシルバー)共通
(税込) ¥15,125 (税抜 ¥13,750)
JANコード:NT01B-MB(4560358451948)/ NT01B-BS(4560358451955)
NUARL NT01L TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES
※NT01Bのライトバージョン
販売価格
NT01L-NV(ネイビー)/ NT01L-DG(ダークグレー)共通 生産完了
(税込) ¥10,725 (税抜 ¥9,750)JANコード:NT01L-NV(4560358452037)/ NT01L-DG(4560358452013)
Anker / ZOLO Liberty+ / ZOLO Liberty
Liberty+とLibertyの主な違いは、Bluetoothバージョン(v5 / 4.2)やバッテリーの持続時間(48/24時間)、そしてドライバ(6/5.5mm)など。この他にもLiberty+は周囲音取り込み機能や専用アプリでEQ調整などができる点があります。
どちらもクリアな音質でAACコーデックに対応。フィット感もよく、ペアリングは一度設定すれば次回からはケースから取り出すだけで自動接続、充電ケースに戻せば接続を解除してくれます。
Liberty+(左)とLiberty(右)
どっしりとした重低音が特徴でEDMやロックなどの再生にも向いているのではないでしょうか。どちらもIPX5仕様でジムなどでも活躍する、非常にコスパの高い完全ワイヤレスイヤホンだと思います。
販売価格
ZOLO Liberty+ BK(ブラック)
(税込) ¥15,258 (税抜 ¥13,871)
JANコード:4571411187339
ZOLO Liberty BK(ブラック)
(税込) ¥8,148 (税抜 ¥7,408) 価格改定(2019年4月12日~): (税込) ¥7,129 (税抜 ¥6,481)
JANコード:4571411188084
主なスペックをまとめてみました。
比較表
メーカー | EARIN | NAGAOKA | B&O PLAY |
品番 | M-2 | BT808 | Beoplay E8 |
価格(税込) | ¥32,184 | ¥6,458 | ¥32,900 |
周波数特性 | 20 - 20.000 Hz | 20-20000Hz | 20~20.000 Hz |
質量 | 3.6g | 4.5g | 13g |
ドライバー | 6.5 mm | 8mm | 5.7mm |
コーデック | AAC, aptX, SBC | SBC、AAC | SBC、AAC |
Bluetooth Ver. | 4.2 | 4.2 | 4.2 |
フル充電時間 | 約75分 | 最大1時間 | 約2時間 |
再生時間/ケース使用時 | 4 時間/3回充電可能 | 最大4時間/最大4回分充電可 | 最大 4 時間/2 回分 |
ケース重量 | 56g | 43g | 45g |
防水・防滴 | IP52 | IPX5 | (-) |
音切れ | ○ | △ | ○ |
専用アプリ | ○ | ☓ | ○ |
メーカー | YEVO | NUARL | Anker | Anker |
品番 | YEVO1 | NT01 | ZOLO Liberty+ | ZOLO Liberty |
価格(税込) | ¥29,840 | ¥15,930 | ¥16,178 | ¥8,639 |
周波数特性 | 20~20.000Hz | 20~20.000 Hz | 20 Hz 〜 20 kHz | 20 Hz 〜 20 kHz |
質量 | 10g | 10g | 12g | (-) |
ドライバー | knowles製 BAドライバー | 6mm | 6mmグラフェン ダイナミックドライバ | 5.5mm |
コーデック | SBC | SBC、AAC | SBC、AAC | SBC、AAC |
Bluetooth Ver. | 4.1 | 5 | 5 | 4.2 |
フル充電時間 | 1.5時間 | 1.5時間 | (-) | (-) |
再生時間/ケース使用時 | 3-4時間/最大5回 | 約5時間/12時間 | 3.5時間/48時間 | 3.5時間/24時間 |
ケース重量 | 57g | 26g | (-) | (-) |
防水・防滴 | (-) | IPX4 | IPX5 | IPX5 |
音切れ | ○ | ○ | ○ | ○ |
専用アプリ | ○ | ☓ | ○ | ☓ |
(-)欄はデータ非公開
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というわけでおすすめ完全ワイヤレスイヤホン7機種をご紹介いたしましたが、装着感やデザインなどは実際に店舗でご自分の再生プレーヤーをお使いいただき実際にお試しいただくことをおすすめします。
今回紹介した7機種を試せる店舗
写真はイメージです