お久しぶりです。梅田ロフト店スタッフの南です。
今回は、去年のSound&Recordingで特集されていてとても気になっていたヘッドフォンの特集をしたいと思います。
TAGO STUDIO T3-01
こちらの見た目がなんともオシャレでカッコいいヘッドフォン。密閉型で非常にナチュラルな音が聴けるとの事です。
コチラのヘッドフォンは、音楽プロデューサー多胡邦夫氏が同じ高崎市のヘッドホン/イヤホンのODMメーカーTOKUMIと共同開発した理想を追求したヘッドフォンです。
レコーディングエンジニアやアーティストが作った音を忠実に再現するため、目指したのは究極のナチュラルサウンド。さらに、長時間の使用に耐える強度。使用者の負担を軽くする装着性。消耗パーツを交換可能にすることにより実現した永続性を実現。デザインや設計、素材のひとつひとつにまでこだわり抜くことで、サウンドクリエイター達の妥協のない要求に応えました。
多胡邦夫氏プロフィール
Kunio Tago
作曲家・音楽プロデューサー / TAGO STUDIO TAKASAKI運営責任者
群馬県高崎市出身・在住。1973年9月4日生まれ。アメリカンロックに強く影響され、学生時代よりバンド活動を始める。群馬県で音楽を志す者の中では知らない者がいないと言われるほど、各コンテストを総ナメにし、更なるステップとして上京する。その後、本人の魂がこもった熱いデモテープが数社のレコードメーカーの耳に止まり、ソロアーティストとしての修行をする傍ら、浜崎あゆみ、hitomi、Every Little Thing、柴咲コウ、AKB48等へ楽曲提供を行い数多くのヒットを飛ばす。2008年には、プロデュースする木山裕策とともに名曲「home」でNHK紅白歌合戦出場を果たす。全国初の試みとなる群馬県高崎市のプロ専用レコーディングスタジオ「TAGO STUDIO TAKASAKI」の運営責任者として設置、運営に直接携わり、新たな才能の発掘、育成を行うとともに「高崎サウンド」の創造に尽力している。
【T3-01】ができるまで
『本当に仕事に使える、”信頼できる“フラットなヘッドホン』
スタジオ作業、レコーディングをしている中で、とにかくフラットで解像度の高いものを探していたという多胡氏。
数多くのヘッドホンを試聴したそうですが、それでもなかなかフラットなサウンドに巡り合えず、
曰く、『密閉型でフラットなヘッドホンはほぼ無いに等しい』ような状況だったそうです。
TAGO STUDIOのコンセプトも本当にナチュラルな生楽器の音を閉じ込める文化を残したいという思いから、『ヘッドフォンもそういったものが作れないか』と考えたのが始まりでした。
サウンドの特徴
1:『原音に忠実』とはどういうことか。
私もヘッドフォンのレビューをしているときに考えてしまうこの言葉、説明する時に苦労する部分でもあります。多胡氏の考える原音とは『生楽器』。その生楽器が目の前で鳴っている、そのリアリティを追求しているとの事。そう考えるとたくさんあるメーカーにはそれぞれの求める『原音に忠実』なサウンドがあるということなんですね。
2:低域の質感
「密閉型のヘッドフォンだと、オープンと違い音量を上げていくとどうしてもボワついてしまう」
開発の中で特に課題となった部分だそうです。どうしても密閉型できちんと低音を上げようとすると途中でボワついてしまうポイントがあるとの事。確かに音を密閉しているのだからある程度音量が上がってしまうと音が飽和状態になってしまうのはしょうがないのかもしれません。
T3-01は音の分離を良くして「見える低音」を作っていくことによって、そこまで音量を上げなくても「しっかりここに低音が存在する」ようにしたらうまくコントロールできるのではないかというアイデアを元にTOKUMIさんがかなりの試行錯誤を繰り返したそうです。
3:iPhoneで鳴らしても良いバランスで聴こえるように
今や時代はiPhoneやPCで音楽を聴く時代になりました。音楽を作っている時はiPhoneで聴いても感動できるように意識しているという多胡氏。必ずiPhoneでもサウンドのチェックをしているそうです。
T3-01のポイントとして、『現場で作った素晴らしい音楽を、そのままみんなのところに届けたい』、ここにも多胡氏のこだわりが見えます。
T3-01の特徴(素材、外観)
ドライバーユニット | Φ40 mm |
形式 | 密閉ダイナミック |
出力最大レベル | 100 dB SPL/mW |
周波数特性 | 5Hz ~ 40kHz |
最大入力 | 1000 mW |
インピーダンス | 70Ω |
質量 | 約321g(ケーブル含まず) |
プラグ | Φ3.5 mm 金メッキステレオミニプラグ |
ケーブル | 1.8 m(Y型、着脱式) |
付属品 | ヘッドホンケーブル
Φ6.3標準プラグアダプター キャリングケース |
イヤーパッド
スエード素材
装着してみるとわかるのですが、このイヤーパッド、すごく柔らかいです。ふわっとしていて耳をやさしく包むような感じと言いますか。
イヤーパッドの生地でもかなり音が変わるそうで、合皮だと密閉性が上がって低音がブーストされ、疑似的な低音になってしまうそうです。
ハウジング
こちらは国産の楓を使った木目調になっています。いろいろな木材を検証した結果楓が一番しっくりくる音になったとの事。
確かに楽器でもよく使用される木材なので生楽器をフューチャーするなら金属よりも木材のほうがしっくり来ますね。
新素材『シルクプロテイン』
群馬県繊維工業試験場との共同研究で完成されたこちらの素材。ヘッドホンの振動版にシルクコーティングすることで高域が伸びるようになり、金属までいかないくらいの固さのある音になるそうです。
このシルクプロテインで振動版を作るという技術はたぶん初めてのことだそうです。
スタッフレビュー
装着してみると非常に軽いのがわかります。SHURE SRH1540が感覚的に近いです。(あちらもイヤーパッドはスエード素材ですし)私頭が少し大きめなのでイヤーパッドの位置を最大まで下げるのですが滑らかに動くのですぐに自分の耳に合わせられます。
私が聴いた第一印象は『とても柔らかいサウンド』といったイメージです。以前Focal Listen Professionalのレビューをしましたがあちらはかなりクリアで固いサウンドの印象を受けました。
T3-01は各帯域のサウンドがバランス良くなっていて、ちょうどいい感じに抑えられています。確かにこれを聴いた後ほかのヘッドフォンで再生してみると一部帯域が盛り上がったようなサウンドに聴こえてきます。メーカーによって求めるフラットなサウンドって違うんだなと改めて納得しました。ボーカリストがレコーディングのモニターでこのT3-01を購入されるケースも増えているそうなのでSONY CD900STからグレードアップするならこちらのヘッドフォンを候補に入れてみてはどうでしょうか。
生楽器に向いているというのはまさにその通りで非常に生生しい楽器の音が聴こえてきます!バンドサウンドをミックスしたいという方にはほんとにオススメです。
多胡氏が求めている『フラット』な特性。それを踏まえた上で聴いてみると納得して頂けると思います。私も凄く勉強になりました。
こちらのT3-01、出荷台数が非常に少ないため、完売すると1~2か月は入ってきません。組みあがっても微妙に個体差がでてしまうため多胡氏自ら1台1台品質チェックも行い、出荷されるためお求めの際はご注意ください。
スピーカーで音出しが出来ない環境に身を置いている方にこそ、モニターヘッドフォンはこだわって欲しいと思います。編曲、ミックス、レコーディング等幅広く使えるこのT3-01は購入の価値アリです!梅田ロフト店では現在展示もしておりますのでじっくりとサウンドを聴く事ができます。
TAGO STUDIO T3-01
梅田ロフト店販売価格 (税込) ¥59,400 (税抜 ¥54,000)
JANコード:2370000361738
梅田ロフト店デジタル担当 南(みなみ)
現役ボカロPとしても活動している南です。ボカロ、作曲に関することならお任せ下さい。
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