世界中からモジュラーシンセのメーカーが集まり、新作の発表、機種展示、開発者のデモやレクチャー、ワークショップが行われるモジュラーシンセサイザーの国際見本市「東京モジュラーフェスティバル(TOKYO FESTIVAL OF MODULAR)」(以降 TFoM 2016)に行ってきました。さっそく会場の模様をレポートいたします。
最終日となる日曜日、会場は東京渋谷にある「Red Bull Studio Tokyo」
ここには何度かイベントでおじゃましておりますが、青山に近い絶好のロケーションに佇むユニークな外観の建物です。しかしこのビルの5階ホールで超マニアックなイベントが開催されているとは誰も想像できないでしょう。
エレベーター降り、会場に入るとそこは日常とかけ離れた異質な空間が!
まだ早い時間とはいえラウンジ内はすでに熱気がみなぎっております。半分以上は海外の方のようですが、おそらく夕方以降は大変な人混みになりそうな気配。
入り口左にはデジランドフェスティバルでもお世話になった「シンセ監督」大須賀淳氏の「スタジオねこやなぎ」さんのブースが。
プロペラを回したり、ランプをつけたり、昔の黒電話を鳴らすといった遊び心の溢れるユニークなハンドメイドのモジュールが勢揃い。これらを使ってキッズ向けの楽しいワークショップも開催されているそうです。
こちらは日本のClock Face Modularさんのブースにあったユーロラック・モジュラー群。壮観ですね。
Mutable Instruments、Tiptop Audio、The Harvestman、WMD、4ms、Make Noise、Malekko Heavy Industry、Steady State Fate、Sputnik Modular、Toppobrilloといったレアなメーカーも勢揃い。
こちらは国産メーカーのHikari Instrumentsさん
おなじみ福産起業さん。あいかわらず壁になってます。
こちらアメリカの 4ms Company さんは、ポリリズム・クロック・モジュレーター、カオスジェネレーターといったユニークなモジュールを開発しているメーカーです。
MIDIインターフェースや、ネットワーク関連機器を手がけるベルギーのAlyseumさん。ユーロラックのマトリックスボードなども展示していました。
こちらラトビアのErica Synthsさん。軍事技術として使われた(?)パーツなども含まれているそう。モジュラーのパッチングを保存できるMatrix Mixer、Graphicシリーズなど展示。
オランダのシンセメーカーGinko Syntheseさん。ライブパフォーマンスに特化したモジュールを作っているそうです。
フランスのTouellskouarnさん。色合いがいいですね。右下のボックスは、ゲルマニウムトランジスタを使った発振系ファズ。
スペインのデベロッパーBefacoさん。期間中モジュラーシンセ組み立てワークショップを別会場で開催しているそうで、1日の参加で1台のキットを完成までサポートしてくれるとのことです。必須技術は「興味と忍耐力」だそうです。
おなじみRolandさん。SYSTEM-500シリーズ、AIRA Modular Effect、System-1mなどを展示。A-01KでSYSTEM-500シリーズを鳴らせるセッティングになってました。
スウェーデン生まれのElektronさん。Octatrack、Analog Rytm、Analog Fourなどを展示販売中。TFoM会場では実際に購入もできるのです。
KorgさんはKID取り扱いのArturia、Moog や自社のVolcaシリーズ、minilogueなどを中心に展開。残念ながらフランスArturia社のMatrixBruteの展示は中止とのこと。完動品が間に合わなかった模様です。MiniBruteが代打展示。MoogのMother-32は売れすぎて生産が間に合っていなかったそう。
Kickstarter成功で話題になったカナダのKilpatrick Audioさんの2ボイスシンセ「PHENOL」。バナナプラグでのパッチングが特徴です。
こちらはシーケンサー&パフォーマンスシステム「CARBON」。パターンベースのシーケンサーらしいです。懐かしいRolandの音源モジュール「JV-880」が見えますね。
大阪のREONさん。Moog System-15の復刻版や、Driftboxシリーズを展示。代表の荒川氏も会場で熱心に説明されていました。
会場の注目を集めていた懐かしいYAMAHA QX-3(シーケンサー)。これでバッハの曲をDriftboxを使って鳴らしていました。予測不能に暴れる過激な音だけでなく「こんなこともできるんだ」と思って欲しかったそうです。
MI7 Japan さんは、NAMM SHOWでも話題になった次世代のMIDIキーボードROLI「Seaboard RISE」を始め同社の取り扱い製品を展示していました。
ROLIの感圧式鍵盤は5種類のコントロール信号を送信できます。USB接続、Bluetoothで使用可能です。音源部はiPadアプリやパソコンのソフトシンセ。3日位練習したらなんとか弾きこなせるようになるかも・・
隣はTom OberheimのSEMシリーズとTwo Voice Pro Synthesizer。
ユーロラックモジュールとも連携可能なソフトウエア・モジュラーシンセであるSoftubeの 「Modular」。Doepfer社など製品をモデリングしたモジュールを収録しています。
急遽参加となった Media Integrationさんは、Teenage EngineerngのOP-1、POシリーズ、USB/MIDI-CV/GateインターフェースOplab、REONのDriftbox、FXpansion Strobe 2などを展示。
Driftbox詰め合わせセット?
国産メーカーのX-Fade Modularさんブース
■その他
会場にあった謎のモジュール。ロシア語ですか?
JIM O’ROURKEさんとHITOMIさんによる箏とシンセによるミニコンサートで使われた機材。ストンプボックスが大活躍していました。
★
それにしてもこんなにモジュラーシンセメーカーが世界中に存在しているとは驚きですね。
それぞれに個別の機能をもった装置(モジュール)を、パッチングケーブルで自由につなぎ合わせることによって無限の表現が行えるのがこのモジュラーシンセの魅力だと思います。そして鍵盤を弾いて演奏するのではなく、ノブやスライダーを回して音楽を生み出せるのでどんな人でもすぐに楽しめることができると思います。
皆さんもぜひ一度モジュラーシンセで遊んでみてください!それでは(サカウエ)