音楽ライブ、イベント、セミナー、トークショーなど様々な用途で活躍するワイヤレスマイク。以前は導入に高額な費用と専門知識が必要でしたが、昨今では低価格で簡単に使える製品が増えています。今回は2021年に発売されたSENNHEISERのワイヤレスマイク XSW 1-825をレビューしていきます。
【製品記事】
Sennheiser XS Wireless 1 | 手軽に使えるアナログワイヤレスシステム
SENNHEISER XSW 1-825とは
送受信機がセットになっている
SENNHEISER XSW 1-825は免許不要・簡単セットアップが特徴であるSENNHEISER XS Wireless 1シリーズのハンドヘルドタイプです。パッケージにはe 825マイクカプセルを搭載したハンドヘルド送信機と、据え置き型の受信機、マイクホルダー、ACアダプター、単三乾電池2本が同梱されています。
XSW 1-825のパッケージ内容
また、パッケージ自体に取っ手がついており、保管・運搬用のケースとして使えるようになっています。
免許不要で簡単にセットアップ可能
XSW 1-825は免許不要B型のワイヤレスシステムです。受信機にはアンテナが内蔵されており、ボタン1つで安全なチャンネルを割り出すスキャン機能が搭載されています。使用する周波数は自動設定されるため、難しい操作など不要で初心者でも簡単に取り扱うことができます。
受信機のアンテナは内蔵されています
最大7台まで同時使用が可能
XSW 1-825は最大で7台セットまで同時に使用可能で、アイドルグループのステージや多数のゲストが登壇するトークセッションにも対応できます。複数台使用する際もオートセットアップ機能で空いている周波数が自動選択されるため、難しい操作は必要ありません。
※同時使用に際しては送信機同士の距離を20cm以上離す必要があります。
e 825のマイクカプセルを採用
送信機であるハンドヘルドマイクのカプセルには、人気のダイナミックマイクであるevolutionシリーズe 825(カーディオイド型)のカプセルを採用しており、安価ながらも定評あるSENNHEISERの音質をしっかり引き継いでいます。また、送信機の電源は単三乾電池を採用しており、アルカリ単三乾電池2本で約10時間の長時間駆動を実現しています。
送信機を開けると乾電池が入っている
送信機はマイク本体の下部がアンテナとなっており、プロのステージでもよく見るSENNHEISER上位モデルのワイヤレスマイクと同じデザインが採用されています。
プロのワイヤレスマイクと同じ意匠のデザインになっている
また、マイク本体にディスプレイが内蔵されており、使用中のチャンネルや電池残量が目視できるようになっています。さらにミュートスイッチと4段階の音量調整用スイッチも搭載されているため、マイク本体だけでマイクのON/OFFや細かい音量調整ができるようになっています。
XSW 1-825をリハーサルで実際に使ってみた
ここからはXSW 1-825の具体的な使用感を紹介していきます。実際にリハーサルスタジオ(17畳)でバンドの練習に使用してみました。
リハーサルスタジオで使ってみた
まず、素晴らしい点は本体が非常に軽いことです。マイク型の送信機だけでなく、据え置き型の受信機もわずか340gなので、カバンに入れて楽々携帯できます。サイズも小さいので、ショルダーバッグなどに収まるのも良いですね。
ちなみにパッケージに取っ手がついているので、パッケージごと運搬用ケースとして携帯することもできます。
セットアップは知識不要で非常に簡単
続いて、XSW 1-825のセットアップです。ミキサーと受信機をケーブルで接続し、ACアダプターを繋いだら電源を入れます。受信機が立ち上がったら、本体ボタンを操作し、プリセットバンクとチャンネルを決定します。
ボタンが少ないので迷うことはない
SET・SCANボタンを長押しすると周波数スキャンが行われ、使用可能なチャンネルが点滅表示されるので確定します。複数台のマイクを同時利用する際も周波数スキャンを活用すると、空いているチャンネルを自動で割り振ってくれるので便利です。
プリセットバンクとチャンネルの設定が済んだら、マイク(送信機)の電源を入れ、マイク底面のSYNCボタンを長押しながら受信機のSYNCボタンを押すと送受信機のワイヤレス接続が完了します。
送受信機のSYNCボタンを使って接続を行う
文章で書くと、それなりの手順があるように感じますが、実際にやってみると1分もかからずに設定完了します。設定手順をイラスト化したクイックガイドも同梱されているので、迷わずにセットアップは完了できます。
なお、送信機・受信機ともに一度設定してしまえば設定内容が保存されます。2回目からは電源を入れるだけで自動接続されるようになるので、事前に設定を済ませておくと良いでしょう。XSW 1-825は手順通りにボタンを押すだけで設定できるため、音響機器の取扱に慣れていない方でも問題なく使うことができますね。
安定したワイヤレス通信
XSW 1-825の受信機はアンテナ内蔵タイプなのでアンテナ取付不要で設置も楽です。アンテナ内蔵でも通信状態は良好で、受信機をスタジオ内の様々な場所に移動させてみましたが、通信は安定していました。
3時間のリハーサルでマイクで通信が途切れることは一度もなく、エントリーモデルながらも素晴らしいパフォーマンスでした。送信機・受信機ともに電池残量表示があり、長時間のリハーサル・イベントでも使いやすい点も良いですね。
また、送信機・受信機ともに音量調整できる機能が搭載されています。送信機は4段階、受信機は10段階で調整できるので、その場で音量を調整することができます。調整方法も簡単なので、音響担当不在の小規模イベントにも導入しやすくなっています。
なお、受信機の出力はXLRバランス出力、TSアンバランス出力に対応しているため、業務用の本格的なコンソールから簡易なPAまで、1台で様々な機器に接続して使用することができます。
受信機背面の端子
SENNHEISERらしさのある優れた音質
XSW 1-825は定評のあるダイナミックマイク e 825のマイクカプセルが採用されています。伝送可能な音の高さは80〜14,000 Hzとなっており、中高音域の抜けが良く、ダイナミックマイクらしいパワーのあるサウンドです。
バンドボーカル用途でテスト利用しましたが、ワイヤレスでも音質の良さは損なわれず、楽器の演奏音に埋もれることなく、ボーカルの存在感をしっかり表現してくれました。SENNHEISERらしい高音域の抜けの良さはボーカルだけでなく、スピーチでも使い勝手が良さそうです。
指向性は正面の音を中心に拾うカーディオイドが採用されており、大音量のバンドサウンドの中でも、ハウリングすることなく、十分な音量を確保することができました。また、マイク本体にはミュートスイッチがついており、未使用時にはサッとミュートに切り替えることもできます。
マイク上にミュートスイッチがある
ミュートスイッチの位置的に誤操作しないか心配しましたが、しっかりと引っかけないと変更できないようになっており、誤ってミュートすることはありませんでした。重量も軽く、滑りにくい材質でハンドマイクとしての持ちやすさも良好です。マイクのルックスもプロアーティストが使う上位モデルと変わらないため、動画配信や写真での見栄えが良い点も嬉しいところです。
XSW 1-825を実際に使ってみて、非常にわかりやすい設定手順と有線と比べても遜色ない音質・安定度に感動しました。最大で7台までの同時使用が可能なため、アイドルグループやボーカルユニットのライブからトークセッションまで幅広い用途で利用することができます。無線や音響知識がない方でも、複数台のワイヤレスマイクを同時に運用できる手軽さはイベントの自由度を大きく広げてくれる可能性を感じました。
発売日
2021年8月19日(木)
販売価格
XSW 1-825
¥39,600(税込)
JANコード:4044155252101