【管楽器メンテナンス塾】#8 管楽器あるある~久しぶりにケースを開けたら…サックス編~

花粉の時期ですね~。
楽器にもこの時期ならではな修理があります。
8回目の今回は、そんなこの時期によくある『管楽器あるある~久しぶりにケースを開けたら…サックス編~』です!
刺激の強い内容は文章のみでご覧ください。

春は久しぶりに楽器ケースを開ける人が多い!?

吹奏楽部に入部して、ご家族が使っていた楽器を押入れから取り出してきたり。
会社を引退して時間が出来たので、以前やっていた楽器に再チャレンジしたり。
引っ越しで謎の楽器が発掘されたり。

とにかく、人・物の変化が多い春は楽器に触れる人も多い時期です。
そんな、久しぶりに楽器ケースを開けてみたらこうなってました!
と言う時に、どうしたら良いか勉強してみましょう。

楽器別!久々に開けたときのトラブルパターン

良く起こるのは4種類です。

  • カビ
  • 虫食い
  • 錆と変色
  • 謎の物体

はい。すでに不穏な文字がありますね!

カビ

はい。頭からドーンときました。
長く開けていない空間で、湿気が溜まるとカビが生えます。
金属とか、関係ないんですね。
カビとホコリの見分け方は、臭いと風を当てて飛ぶかどうか。
よーく見れば見た目でも分かりますが、あんまり見たくないですよね。

ケースを開けてみて、まずカビの臭いがするかどうか気にして下さい。
あまり嗅ぎ過ぎて、カビを吸わないように注意しましょう。
タンポの表面に白くてフワフワしたものが生えていたら、カビです。
パウダーペーパーを付けた時よりも、もっとフワフワしたものが生えます。

■カビの対処法

お風呂のカビ掃除のCMでカビの根は深い!と言っていますが、
それは残念ながら楽器でも同じです。
一番ベストな方法は、タンポを全て交換し楽器全体をクリーニングする事。
もちろん、ケースも天日干し又は買替です。

カビが生えてしまわないよう、保管場所と保管期間には十分ご注意ください。

虫食い

サックスのどこを食べるんだ!?と思われるかもしれません。
実はサックスには、フェルトも沢山使われています。
虫はこのフェルトが大好きです。
フェルトが不自然に欠けている時は虫食いの可能性があります。

■虫食いの対処法

虫食いかも!?と思ったら、まず楽器をケースから出して風通しの良い所に置いてください。
その間、ケースの中の細かなゴミを掃除し、楽器本体同様にします。
1日程後、技術者に相談しましょう!

虫が残っている状態で演奏することはあまり気分良くないと思いますので、
技術者に楽器の調整をご依頼されることをおすすめします。

錆・変色

■錆

錆とは、金属が腐食していること。釘が錆びて赤っぽくなっているのが錆びですね。
管楽器は真鍮という銅と亜鉛の合金で出来ているのが一般的です。
サックスの明るい金色が真鍮色で、表面にラッカーと言う塗装を塗りツルツル・ピカピカにしています。
ラッカーがかかっている所は腐食しにくいのですが、それでも腐食により錆が出てしまうことがあります。
それが下の写真です。

透明でパリパリしたもの(ラッカー)の下に赤茶色や黒いシミが出来るのも、腐食による錆です。

その他に、元々ラッカーがかかっていない場所で錆が発生することがあります。
それが、下の写真の場所。
タンポが触れている場所はラッカーがかかっていないことが多いです。
なので、気が付くとタンポに青緑色の輪っかが出来ています。

銅が入っている金属の錆は、このような緑青色をしています。
この錆が溜まり過ぎると、タンポに隙間が出来てしまうのでお気をつけて!

■錆の取り方

ラッカーが剥がれて赤茶色や黒いシミが出来てしまった場合は、無理に落とさないようにしましょう。
錆を完全に落とすには削る必要があり、削るという事は金属が薄くなり弱くなってしまいます。

たくさん練習している人ほどラッカーが取れやすいので、練習の証と思って頂けたら幸いです。

タンポの青緑の錆は、赤ちゃん用の小さな綿棒で優しく優しく拭ってください。
写真の様にキーを外す必要はありません!
パッドライフなど、べた付き・汚れ落としの効果のあるアイテムを使用すると落ちやすくなります。
落ちないからと言って、無理しないでください。
落ちない時は、それだけ強力な汚れの塊になっている可能性があります。
技術者に相談しましょう!

■変色

ここで言う変色とは、銀の楽器の色が写真の様に変わってしまっていることです。
銀メッキの楽器の人は、ケースに新しいマウスピースを入れていたら、楽器が真っ黒になった経験があるかもしれません。
空気中の硫黄に反応して銀は色が変わるんですね。
(興味のある人は酸化と硫化の違いをググってみよう♪)

■磨き方

サックスは入り組んでいる楽器なので、無理に狭い場所に指を入れるとバネが外れるなどのトラブルが起きます。
そこで役に立つのが、赤ちゃん綿棒!
buzzのシルバークリーナーは磨き剤のしみ込んだ綿を小さくちぎって使うので、
赤ちゃん綿棒の先に巻いて、細かい場所を磨くことも出来ます
タンポに磨き剤を付けないように注意しましょう!

謎の物体

一番よくあるのが、樹脂のマウスピースが白っぽくなるアレです。
唇の甘皮や、体内から出た物質など様々ですが、ある程度は掃除で落とすことが出来ます。

メタルのマウスピースが白っぽくなるのは、腐食の可能性が高いので綺麗にすることは少し難しいです。
専用の機械で磨き、場合によっては再メッキします。
磨く=削るという事なので、少し経などが変わりますのでご注意ください。

■樹脂マウスピースの磨き方

一番マウスピースに負担が少ない方法は、水またはマウスピースクリーナー(非アルコール除菌液)を使用する方法です。
綿棒に沁み込ませ、白くなっている部分を擦ります。
内側も同じ方法でお掃除出来ます。

綿棒では届きにくい場所は、ヘッドの小さい歯ブラシも有効です。
※金管楽器のマウスピースブラシは、樹脂を削る恐れがありますので向きません。

まとめ

長年開けていなかった楽器ケースを開けるときは、何が潜んでいるかわかりません!
風通しの良い明るい場所で開けてみてください。
もし、ひとりで開ける勇気のない方は、ご連絡くださいね……!

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この記事を書いたスタッフ

錦糸町マルイクラシック店神戸

「神戸」と書いて「ゴウド」と読みます。バスクラ吹きです!中低音楽器の修理が集まりやすい特殊体質(?)。今日も笑顔で修理しています!

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