Raimundo Guitar(レイモンド ギター)~スペインの風お届けします~
スペインの風お届けします
みなさんこんにちは。すっかり蒸し暑い季節になりました。
今年の梅雨は、例年より雨の日が多いですね(特に土日の雨が多かった・・・)
本日お届けするブログで、湿度の高いジメッとした空気を少しでも緩和できれば!と念じつつ・・・
6月某日より約一週間ほどスペインに行ってきました。
本日は活字を通してスペインの風が一瞬でも感じられたら幸いです。
島村楽器では入荷前の検品を徹底
「何のためにスペインへ?」
当社で取り扱っているレイモンドギターの出荷前検品のためです。
島村楽器の技術者は、工房でリペアやカスタマイズを行うのは勿論、培った技術を様々な場面で生かす仕事もします。
その一つが「検品」です。
当社では多くのブランドを扱っていますが、オリジナルブランドや当社が代理店となっているブランドについては店頭に並ぶ前に検品をし、当社の基準に合格したものだけがお店に並んでいます。
今回は、スペインで三番目に大きな都市ヴァレンシアからスペインの風をお届けします。
Raimundo(レイモンド)について
1968年、レイモンドギターはスペイン・バレンシアの小さな工房で産声を上げました。
マニュエル・レイモンドが創り出したこのギターは高い技術と美しい仕上げにより、その評判がスペイン国内から広まり現在では海外でも広く愛され、高く評価されています。 レイモンドの工房では、今も25年以上の経験を持つ卓越した技術のマスター・クラフトマン達がスペインの伝統的な手工製方を基本にギターを製作。高度な技術のうえに絶え間ない研究によって生み出した新ブレーシングデザインを組み込み、鋭い音の立ち上がりと広い音域を兼ね備えた、そして現代のシビアなチューニングやプレイアビリティのニーズに応えるバランスに優れたギターを生み出しています。
日本国内においては、島村楽器が2007年よりお届けしているレイモンドブランド製品。スペインと日本の気候の違いなどにも配慮、木材の乾燥段階から楽器の各部設計、細かなデザインや仕上がりにまで、島村楽器とレイモンド社のコレボレーションによって日本向けにローカライズを施した製品をラインナップしております。
Adiós Japón, Hola España!
移動は約16時間。
ヴァレンシアは日本からの直行便が無いため、乗り継ぎをしていきます。
どこかで見た事がありそう?な雰囲気の後ろ姿を追いながら搭乗、私自身は(たぶん)3年ぶり10数回目の渡航です。
今回も経由地はフランスのシャルルドゴール空港。乗り継ぎ時間は驚愕の2時間!
何が驚愕か?
その時間の短さです。
巨大な空港なので、たった2時間で次の便のターミナルに移動できるのかが心配!?
いえいえ、そうではなく、機内預けのスーツケースが一緒に乗り継いでくれない可能性を懸念していました。
私は過去4回、この空港でスーツケースを置き去りにされたことがあります(だいたい1~2日遅れで届きます・・・)
そのため、今回も手荷物の中に二日分の着替えを入れて搭乗しました(笑)
さて、パリの空港でドキドキというよりは、ほぼ諦めに近い感情でヴァレンシア便出発を待つこと約2時間。
この時点で夜21時過ぎですが、外は明るい・・・
そしてさらに約2時間ほど飛行機に乗ってようやくヴァレンシア到着。
さすがに23時を過ぎると真っ暗です。
こちらが、今回の宿泊地。今回はじめて街の中心部にあるホテルに泊まりました(いつもはもう少し郊外でした)
肝心のスーツケースはいかに・・・??
ちゃんと一緒飛の行機に乗っていたようで無事到着しました。
私自身は奇跡だ!と感動して涙が出そうになりましたが・・・
ルシアー駒木「いやいや、普通はそれが当たり前だから。」
え!?ルシアー駒木!?
先ほど後ろ姿でも登場していた今回の同行者が、
私のブログにも何度も登場している国内から海外まで神出鬼没の技術者
ルシアー駒木
さすが神出鬼没!今回はスペインに降臨です。
もう10数年同じ職場で働いている大先輩ですが、一緒に海外出張をするのは意外にも初めて。
色々と学ばせて頂きます。
そして通訳だけなく食事場所のリサーチなどすべてにおいて完璧なシマムラストリングス秋葉原の店長糸山!
このお二人のブログもご参考くださいませ!!
いざレイモンドファクトリーへ!
ヴァレンシア中心部から車で約30分の工業地帯にレイモンドのファクトリーがあります。
Hola!
ファクトリーのみなさんと久しぶりの挨拶を交わして、早速お仕事開始です。
と、その前に・・・
ファクトリーツアーへGO!
レイモンドの製造工程をご紹介します。
写真でファクトリーツアー!
実演してくださっているのがレイモンド社のVictor社長。いつも我々を優しくアテンドしてくださるgentlemanです。
まさにスペイン式クラシックギター!と分かる1枚です。
いかがでしょうか。
写真だけですが、少しでも工場の雰囲気を感じて頂けたでしょうか。
島村楽器の検品お見せします
メイン工場隣の完成品保管棟が我々の仕事場です。
すでに今回のオーダー分が上がってきています。
ホワイトエボニーをサイド・バックに利用したエレガットの633E!美しい。
今回のメイン業務スタート
私たちの検査は抜き打ちではなく、全数検査です。
日本から工具を持参し、過去の資料などを手元で確認しながら、一本あたりにしっかり時間をかけます。
とは言っても、滞在は最短の過密日程で来ているため時間は1分たりとも無駄にできず、
また日本と違い勝手の利かない海外では往々にして突発的な事も起きたりするため、
「今この瞬間は何ができるか?」
「次は何をすべきか?」
常に色々な事を考え、この業務に慣れている二人だからこそできる猛烈なスピードで進めます。
とても体力勝負ですが、身体以上に頭を使う仕事、というのが当社の検品の特徴です。
検査で不合格となるギターもあるの?
あります。
例えば下の写真は何が不良か分かりますか?
こちらは矢印で記した辺りに軽度な傷がありました(光を当てないと気付きにくいです)
こちらは〇で囲んだ中に同じく小傷がありますが、もはや写真には写りません(笑)
このように、修理をして欲しい箇所を記したテープを貼って、滞在中に修正してもらい、また検査を繰り返します。
最終的にオーダー数に達するまで検査しますが、今回も予定通りの注文数を購入できました(優秀!!)
もしかてレイモンドって問題が多いの??
違います。
先代のマニュエル氏が作りあげたレイモンドギターの音はとても良質です。
設備が整い、量産が可能となった今もハンドメイドの工程を多く残し、機械では体現できない職人の手先の感覚が随所に現れています。
ハンドメイドな部分も多いからこそ、同じ品番ながら、一本ずつ微妙に異なります。
それは「バラつきがある」のではなく「一本ずつ個性が違う」のです。
そのため、弦高など基準としての数値は取り決めていますが、
実際に私たち技術者が一本ずつ音出し確認をしてその個体にあった微調整を依頼するため、このように修理依頼をかけているわけです(もちろん、その品番の根幹となるキャラクターを崩さない範囲で)
そして、ニュアンスを伝える事が難しい場合は、私たち自身で調整することもあります
ようこそ日本へ!
こうして、ハードな検品に生き残ったギター達が海を越えて日本にやってきます。
良好なパートナーシップ
私たちがレイモンドギターを選んだ理由は、音の良さは勿論、強い信頼関係性が築けると確信したからです。
創業50周年を迎えたレイモンド社にはすでに確立した確かな技術と誇りがあります。
しかし、国民性や文化の違い、季節ごとに変化大きい環境などから、楽器へ求める品質について価値観が異なるのも事実です。
つまり、総じて品質に細かく厳しい私たち日本人の基準を理解し、協力してくれる点が大きいのです。
おそらくスペインの感覚・基準ではきっと「細かすぎる」という部分も多々あるはずですが、
レイモンド社の方々はみなさん真摯かつ誠実に、そして明るく陽気に対応してくれ、
時には私たちのノウハウも学ぼうとする姿勢もあり、今年で12年目になる関係性は年々深まっています。
スペイン出張番外編~おまけのルシアー駒木特集~
スペイン出張の楽しみは、やはり食事です。
地中海の温暖な地域ならではのシーフード料理、近年日本でも増えている「バル」でのタパス料理。
今回市街地の中心部に泊まったこともあり、観光客ではなく地元の人に人気のバル巡りをしました。
ルシアー駒木ブログ後編のラストに登場するアヒージョの写真を角度にこだわりながら撮影するルシアー駒木を撮影(笑)
エスプレッソのモンスターを発見し、夕食後にホテルで仕事予定だったルシ駒大興奮!
飲む前から効果が出てますよ(笑)
Raimundoの音をぜひ体感して欲しい!
そんなルシアー駒木がギタリスト山口和也さんとコラボし、スペシャルゲストにケリー・サイモンさんをお招きして作った渾身の動画があります。
まだご覧になっていない方はぜひとも一度ご覧ください!!
きっとあなたもスペイン製のクラシックギターが欲しくなるはず・・・
Gracias Raimundo, adiós Valencia
いかがでしたでしょうか?スペインの風伝わりましたでしょうか?
暑い夏、スペイン製クラシックギターで心地よい音色を奏でれば暑さも和らぐこと間違いなし!
気になる方はお近くの島村楽器でお待ちしております!
ありがとうレイモンド!また会う日までヴァレンシア!!
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ネック折れなどワケありな事情を抱えた修理を担当している事が多い阿部です。普段は東京勤務ですが、毎月第一週頃に名古屋工房におります!