スキャロップって?
リペア総合案内サイトをご覧の皆様こんにちは。
今回は以前に依頼紹介をしたスキャロップ加工について少し掘り下げてみようと思います。
そもそもスキャロップ加工ってなに?
簡単に説明するとフレットとフレットの間(指板部分)にえぐれ加工(スキャロップ加工)を行い弦と指板の距離を稼ぐ加工。この加工を施されたものをスキャロップド指板といいます。
スキャロップド指板のメリットとデメリット
メリットとして挙げられるのは軽いタッチで弦を押さえることが出来るので早弾きなどがしやすくなる。その他にも弦を押さえた際に指の腹が指板に当たらないのでチョーキングやビブラートが容易になるなどなど。演奏面での効果を期待できる加工です。
デメリットの主な例としては弦と指板との距離が離れるので弦をより押さえ込められ、そのために音がシャープしてしまうことがある。弾きこなすには慣れが必要ともいえる。
スキャロップド指板の加工例。
一口にスキャロップ加工といってもパターンがありますが今回はメジャーな加工をご紹介します。
①イングウェイタイプ
スキャロップド指板といえばと連想される形状がこの形ではないでしょうか。深さの中心がフレット間の中心に来ており1弦側から6弦側まで深さが一定でU字形状にえぐったタイプ。
②リッチー・ブラックモアタイプ
6弦側は浅く1弦側を深くえぐり、深さの中心を押さえるフレット寄りにした“への字型”形状。また入フレットに向かうにつれてイングウェイタイプ同様U字形状に移行していくタイプ。
③イングウェイ+リッチーのハイブリッドタイプ
名称があるかは不明ですが深さの中心をリッチータイプ同様に押さえるフレット寄りにし、深さをイングウェイタイプ同様一定の深さでフレット間全体をへの字に加工したタイプ。
前回ご紹介したスキャロップ加工を例に実際の加工風景をご紹介していきましょう。
①スキャロップの形状を書き込む。
技術者によっては必要ない工程かもしれませんが丁寧がモットーの長谷川は手間を惜しまずしっかり完成形のイメージを書き込みます。
②指板エッジを完成形まで加工をする。
今回のケースは6弦側へは加工は行いませんので1弦側のみ完成形の深さまで加工します 。
③全体を加工
小刀とノミを使用して加工を行い仕上げに塗装の下地を整えるために紙やすりで表面と傷を整えます。
④指板の再塗装
今回は塗装指板ですので塗装を行い完成です。薄っすらですがスキャロップの形状に沿って光が反射しているのがわかるでしょうか
⑤仕上げ(すり合わせ~組み込み)
最後にすり合わせを行いフレットを磨き上げ、組み込み、セットアップを行い完成となります。
如何でしたか?今回ここでご紹介している形はあくまでも一例なのでプレイヤーの数だけ種類があると思います。また人によってはハイフレットメイン(よくある例としては12フレット以降だけ)に加工を行うようなものもあります。
この記事を読んで少しでも興味を持った方、自分の演奏スタイルに合ったのが何かわからないと思ったそこのあなた。ギターリペア工房ではお客様の演奏環境、憧れの音楽などをお聞きして自分だけのスキャロップを探すお手伝いをいたします。お気軽にお近くの島村楽器までお問合せいただき長谷川までお問合せください。
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