こんにちは。熊本パルコ店ドラム担当、坂田です!
前回とても好評だった「穴あきシンバル検証:Zildjian編」、いよいよPart.2です!
2015年に誕生した新生穴あきシンバル PST X

今回は パイステ(Paiste) です!
穴あきシンバル第2弾は、PaisteのNEWモデル「PSTX」シリーズを叩いていきます!
おさらい:穴の空いたシンバル
突然ですが、こんなシンバル見かけたことありません?

数年前まで「エフェクトシンバル」と言えば、チャイナシンバルやスプラッシュシンバルを思い浮かべたのではないでしょうか?ところが近年、サイズや形状が多様化したエフェクトシンバルが各メーカーから出てきました。
その中でも最近よく見かけるのがこちらの「穴あきシンバル」です。「よく見かけるけど、実際どんな音がするの?」という方も結構多いハズ。ということで、前回に続きこの「穴あきシンバル」に迫っていきます~!
まずは普通のシンバルとの比較
クラッシュシンバルと形が似ているこの穴あきシンバル、実際にどんな違いがあるのでしょか?見た目だけではわかりづらいと思いますので、実際に音を比べてみたいと思います。まずは、一般的なクラッシュシンバルの音を聞いてみましょう。
A Zildjian Medium Crash 16

次にチャイナシンバルも聴いてみましょう。
A Zildjian CHINA HIGH 18

一言で表すとクラッシュシンバルは ”シャーン” で、チャイナシンバルは “パシャーン” 。
それぞれ全然音が違う音がしますよね?「クラッシュだと普通変わり映えしないけど、チャイナだと存在感がありすぎる」、、穴あきシンバルはそんな要望に応え、この微妙な中間を攻めるオイシイ~シンバルなんです。
今回の基準
先ほど聴いた A Zildjian Medium Crash 16のピッチ、音量、サスティーン、レスポンスの「0」とします。

穴あきシンバル特集では、「チャイナ感」という項目を増やしました。「チャイナ感」とは少しひずんだ、”シュワ~” とした感じの音のことを言います。最近では「トラッシーな音」とも言いますね。この「チャイナ感」が高いシンバルほどチャイナシンバルに近い、ということになります。
ブランド紹介:PAiSTe(パイステ)

Zildjian、SABIANと並び3大シンバルメーカーと呼ばれているパイステはトーマス・パイステ(Toomas Paiste)によって1901年ロシアで創業されました。そこからエストニア、ポーランド、ドイツと移転を繰り返し、最終的に1957年にスイスに落ち着き現在に至ります。
ジョン・ボーナムやジェフ・ポーカロ、コージー・パウエル、ロジャー・テイラー、イアン・ペイス、テリー・ボジオなど有名アーティ ストが使用したことにより有名になった「2002」シリーズが非常に人気のあるシリーズです。ちなみに2002シリーズは銅(Cusn8) 92% と 錫(スズ) 8% のオリジナル合金で作られたシンバルです。
いわゆる “トルコ系メーカー” と呼ばれるシンバルである Zildjian、SABIAN と比べ、キラキラとした「クリスタルサウンド」と呼ばれる透明度の高いトーンが特徴のシンバルです。
PSTXシリーズ

PSTXシリーズとは表面が珍しくマット仕上げになっており、大きさの違う穴が無数に空いているのが特徴のシリーズです。穴あきシンバルとしては、かなり後発となるこのシリーズですが、どのような音がするのでしょうか。
①『PSTX Swiss Thin Crash 14』

14インチ、Thinウエイト、おまけに穴が空いているとあって、かなり軽量なシンバルです。レイジング(音溝)はあるものの、最後の仕上げでかなり削り取られて溝が浅くなっています。それでは聞いてみましょう!

非常にタイトで歯切れが良く、スプラッシュよりもパンチ力が欲しい!という方には持ってこいの1枚。音もノイズ多めのトラッシーで Zildjian のトラッシュスプラッシュに似た感じです。減衰が早くアタック音の後すぐに消えていきます。
クラッシュシンバル、というよりは使う場面もチャイナと同じような使い方になるんではないでしょうか。刻んで使ったりしても面白いかもしれませんね!
②『PSTX Swiss Thin Crash 16』

つづいて16インチ。このPSTXシリーズは、サイズが大きくなると、そのまま穴のサイズも大きくなっています。穴の位置は相変わらず規則性は無いですが、空いている場所は全く同じ並びになっています。

ちょっとホラーな画像ですみません。笑
それでは聞いてみましょう!

サイズが大きくなったこともあり、こちらはほんのりクラッシュっぽい鳴り方になってきたかな?と言う感じ。
レスポンスは相変わらずとても早く、音量もしっかり出せるので、ここぞ!と言う時に役に立ってくれそうな1枚。薄いシンバルなので表現力も豊かで、叩き方次第ではいろんな音が出てくれそうです。
③『PSTX Swiss Thin Crash 18』

こちらもサイズ違いの18インチ。
穴もかなり大きくなってきました!本当に18インチなのか?と思うくらいに軽いです。Zildjianとは違い、基本的にはサイズが変わっても、カップなどに大きな変化は付けないようです。そのまま大きくなった、という印象。

サイズが大きくなっても、このカラッとしたエフェクト音はしっかりと健在!
個性的なエフェクト音ですが、このサイズなら他のシンバルとの混ざりも良さそう。
どのサイズにも言える事ではありますが、どのサイズでも失われない「チャイナっぽさ」はこのシンバルの大きな特徴では無いでしょうか。
SABIAN、Zildjianには無い、独特な響きが本当に良いです!個性的なシンバルが欲しい、という方にオススメします!
④『PSTX Swiss Medium Crash 18』

基本的なカップの膨らみやテーパーの曲がり方、穴の位置も全く同じで厚みが増してMediumとなったシンバル。Thin Crash 18と見た目は同じです・・笑
これでどのような違いが出るのか気になるところ。

PSTXシリーズで唯一Mediumウエイトでラインナップされている穴あきシンバル。
このシンバルで、本当にビックリした事は、Swiss Thin Crash 18 とほとんど、サウンドキャラクターに変化が無かったという点。シンバルを持ってみると重さが全く違うのですぐに見分けられるのですが、音ではほぼ判別できないほどに似ていました。
あえて言うなら、若干高音成分が多めでキラキラしているのと、クラッシュ時のレスポンスが少し遅くなっています。
シンバルには個体差もあると思いますが、音を決める要素を覆すような、何かがある、そんな気持ちになった1枚です。
どちらかというと、こちらのほうが、より豪快に叩いたほうが気持ちの良い音が出てくれます。
検証後記
前回記事で書かせて頂いた、 Zildjian での検証の時は、どのシンバルも上手くまとまっていてどんな場面でも使えそうだなという印象だったのですが、今回のPaisteのPSTXシリーズは、シートシンバルとしての良さや、キャストシンバルよりも音質で長けている部分を最大限に引き出している素晴らしいシンバルでした。
かなりウエイトは軽く、薄いシンバルばかりだったのですが、何故かピッチは高くなっていたりと、困惑することばかりでした。ノイジーですが小気味良い、そして何より低価格というところも非常に魅力のシンバルです。
Paisteは他社とは一線を画す、独自路線を突き進む感じがたまらなく良いですよね!
この穴あきシンバル、あなたのドラムキットに1つ足すだけでとてもエキゾチックなプレイができるようになるやも知れません。気になった方は是非とも試してみてください!
それでは次回もお楽しみに!
この記事を書いた人
熊本パルコ店 ドラム担当 坂田

吹奏楽、マーチング等のコンサートパーカッションからラテンパーカッション、ドラムセットのチューニングや奏法、ルーディメンツなど、打楽器に関する事はは全てお任せ下さい!ドラマーの皆様を全力でサポートします!
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