Pearlファクトリーツアーレポート ツアー限定オーダーモデルもご紹介!

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Pearlファクトリーツアーレポート ツアー限定オーダーモデルもご紹介!

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は予告なく変更することがあります。

皆さんこんにちは。
MyDRUMS中の人です。

*先月のPearlのXのポスト

先月Xの「【公式】パール楽器製造株式会社」のアカウントでこんなポストがありました。

この度、島村楽器は「国内屈指のディーラー」としてこのファクトリーツアーに参加することになりました。
今回はそのレポートをいたします。

特派員が現地でレポートし、日本国内でMyDRUMS中の人が記事を作成していきます(中の人、行きたかった…)。

また、今回はなんとファクトリーツアーに参加する楽器店のみがオーダー出来る限定モデルが多数あります。
その製作工程風景もお伝えいたします。

それでは参りましょう!

まずは台湾工場に到着!

「Pearl Musical Instrument Co, of Taiwan」
場所はこちらです。

島の西部、台北市から車で2時間くらい走ったところにあります。

1973年設立、ということなので、約50年の歴史があります。

正面入口

熱烈に歓迎されました。


入ってすぐのところに鎮座するのはPearlのフラッグシップ・ドラムセット「MASTERWORKS」

いざ、工場内部へ!

まずはシェルの製作。

こちらでシェルの成型をします。

入荷した合板材をA,B,Cのランクに選定します。
その際にシミや節の有無を入念にチェック。
例えばシミ、節などのマイナス点が少ない見た目も綺麗なAランクの材はPlyの1番外側に使用、Bランク以下はPly内部に使用したりするそうです。
材をランクごとに分け、カットの工程に。
材ごとのカットが終わったらスカーフカットの工程に。

スカーフカットの様子。


Pearl楽器独自のスカーフカット。

次に窯に入れて成型します。

窯に入れる前に接着剤を塗布していきます。
熱を加えると硬化する接着剤を使用します。

こちらが釜です。


サイズによって窯の大きさも異なります。
こちらは6インチシェル成型用の窯です。

こちらはマーチングドラムなどの大型の窯。

シェルの成型にかかる時間は窯に入れて5〜10分ほど。
材によって異なります。
例えば、ポプラなどの柔らかい材は短い時間で終わるそうですが、メイプルなどの固い材は長めの時間だそうです。

内側から圧をかけ貼っていきます。

窯に入れて成型できるシェルの厚さは6mm厚まで。
それ以上の厚さのシェルは、成型してできたシェルの内側に別の機械を使用して材を貼っていきます。

左のシェルはまさに20plyのシェルを成型中。
シェルの上部からはみ出ているのは接着剤です。

こちらは成型が終わりはみ出た接着剤を落としている様子です。

これでシェルの大元が出来上がります。

これはレインフォースメントの貼り付け工程です。

職人さんの手により一枚一枚丁寧に貼り付けられていきます。

続いて成型されたシェルをカットしていきます。
先程成型されたシェルは多少大きめに作られているため、正規の大きさにカットする必要があるのです。

カットはこちらの機械であっという間に。

カットされた様子。

カット工程の近くで行われていたのはフープへのR加工。

R加工後はご覧の通り、滑らかに。
見慣れたRになりました。

こちらではシェルへエッジ加工をしていきます。
私たちが見学していた際は45度のエッジへ加工している最中でした。

こちらの機械では45度の他60度など5タイプのエッジ加工が可能とのこと。
刃のサンプルとエッジサンプルが非常にわかりやすいです。

シェルの表面を研磨していきます。

こちらではバスドラムのエッジを加工していきます。

工場内は魅力的な材が盛り沢山。


ここで単板の成型を見ることが出来ましたが、残念ながら撮影はNG。

前日に1日水に漬けた単板材を高周波のかかる特殊な機械(電子レンジが近いとのこと)に数分入れ、内部から水分を煮沸させます。
柔らかくなった材を2人がかりで枠に巻きつけるように丸く成型していきます。
成型できたら接合部を金具で留め、1ヶ月ほど保管。
この保管の際に5〜10%の確率で割れてしまうそうで、修正出来なかった場合は廃棄だそう…。
かなり力がいる作業ですが、職人さんは”慣れた”と笑いながら話していました。

ここでちょっと寄り道…


アッシュ材の浮造り加工の様子。

うづくり(浮造り)”仕上げとは…
板表目の夏目という柔らかい部分をブラシで磨き、冬目と呼ばれる木目の硬い部分を浮き立たせるようにした方法です。
わかりやすくいうと木の表面をこすり年輪を浮き上がらせることで木目自体の立体感を出す仕上げ。
全国各地の神社、寺、古建築などの社殿の濡れ縁、板張り、玄関口、敷台(しきだい)、庭に面した広椽板などでよく見られ、経時変化によりその味わいが増していきます。

表面をこちらの機械で研磨していくことで、杢目がより際立つようになります。

奥のブラシのようなもので研磨します。

研磨後。
より杢目がハッキリし、表面は滑らかに。

元の工程に戻ります

シェルの研磨は職人さんの絶妙な加減で。
写真は機械で行っていますが、最後は職人さん自らヤスリで仕上げていました。

塗装の様子です。
厚すぎず、薄すぎず、職人さんの絶妙な加減で塗装が行われています。

こちらは中塗りの様子。
スプレーで塗装した後は温度管理された部屋で一昼夜乾燥さそます。
乾燥後は研磨し再度スプレーで塗装。
この工程を4回ほど繰り返し行うことでより杢目が美しく仕上がるとのこと。
この中塗りの工程が終わったら最終塗装のクリアをふき、乾燥後に職人さんの手により研磨の後、バフがけの機械にかけます。
バフがけで終わりではなく、最後は職人さんの細やかな磨きにより仕上がります。
バフがけ後のスネアとバフがけ後に職人さんの手で磨かれたシェルを触って比較してみましたが、手触りが全く違うことに感動しました。

スパークルの塗装工程です。

スパークルの塗装工程は専用のブースで行われています。
こちらのシェルの下地が黄色なのはこれからふくスパークルをより目立たせるためです。

このような形で贅沢に振りかけていきます。
ちなみにスパークルブースまでに続く通路は至るところにスパークルが落ちていました。

塗装にかかる工程は3〜4週間ほど。
ちなみにフェードカラーは塗装工程が多く大変とのこと。

シェルに下地をふいていきます。

こちらはスネアベッドを整形している様子。

加工は機械によるものですが、チェックは職人さんによる目視。

ちょっと戻って穴あけ加工の様子です。

スネアベッドの整形後はシェルの最終チェック。
25年目のベテラン女性スタッフによる厳しい検品が行われていました。

こちらはPCにデータを入力し、全自動で行われます。

さきほどのCNCとこちらの機械をシェルによって使い分けていました。

ちなみにMASTERWORKSの穴あけ、エッジの仕上げは専任スタッフによる全くの別工程。
こちらはMASTERWORKSのエッジ仕上げの様子。

エッジ仕上げ。

職人さんの腕が光ります。

マスターワークスのカラーサンプル。

見慣れたヘッドデザインがたくさん。
こちらはUVプリンタを使用してデザインを印刷していましたが、残念ながら撮影はNG。
もちろん木材用のUVプリンタもありシェルへのUV印刷も可能とのこと。
ちなみに私が大好きなshuji さんのファイヤーパターンは職人さんの手により塗装されたものとのことでした!

撮影はできませんでしたがここでスワール塗装のお話しを。
なんとこちらの工程を担当している職人さんはたった1人。
職人技に特派員の一人でMyDRUMS記事執筆でもお馴染み「ヒョードー」は感動しておりました。
詳しいお話はお店でのお楽しみに。
またこの後カーボンプライの工程を見学。
こちらも職人さんの手による人力作業でした。
すごい…。

見慣れたパーツ達が。
このように資材の組み立てやパーツが仕上げられていました。

マーチングドラム用のスタンド

エッジへのロウ仕上げを待つシェル達。

エッジへのロウ仕上げももちろん職人さんによる手作業

ロウ仕上げの後、エアベントホール、バッジを取り付け。
いよいよ大詰めです。

ひとつひとつ丁寧に組み上げられていきます。

ついに完成!

パッキングされあとはダンボールに詰められるのみ。

MASTERWORKSだけは別工程で組み上げられています。
MASTERWORKSの組み上げを行なっているのはこちらの方のみ。
まさに巨匠、プロの技。

天馬と書かれた右の小さな箱の中には我々楽器店員が見慣れたダンボールの留め具が入っていました。

最後に驚きの光景が…。

なんとこちらの梱包資材は工場内で作られていました。

ついに島村楽器オーダーモデル達とご対面!

ドラムショーおよび全国のお店で皆さんをお待ちしてます!
詳細はDRUMS SHOW 2024特設ページへ こちらも随時更新いたします)

何やらヒョードーがカメラに向かってしゃべっていますが、こちらは乞うご期待!

まとめです

今回のファクトリーツアーで見学させていただいた工程は驚きと感動の連続でした。
長い時間と熟練の職人達の手を経て作り出される極上ののサウンド。
ここでは語り尽くせないので是非お店にお越しください。
Pearl楽器さん、最高の経験をありがとうございました!

Pearl Drums Premium Dealerの盾をいただきました。
しかも今日見てきたスネア達と同じ工程で作り上げられたもの。
届き次第、ヒョードーが勤務する大宮店に展示させていただく予定です。

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大宮店 ヒョードー

YOSHIKIさんに憧れドラムを始め、すっかり沼にはまって早15年。洋楽、邦楽問わずいろいろ聞きます。
高橋幸宏さんのような正確なビートも大好きです。
大学時代にぼろぼろのLM402をレストアしたりなどなど、気づいたら楽器屋さんに。
現在はPearl SY1455「神鳴」とLudwig LM400のビンテージの2台持ち。
趣味は釣り。

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