ディクソンの新コンセプトペダルを検証
札幌パルコ店のトリヅカです。
ペダル徹底検証も6回目となりました。今回は「Dixon」(ディクソン)をとりあげます。これまでとりあげたブランドに比較するとまだまだ知られていないブランドですが、ぜひご紹介したいと思い、今回とりあげました。
ベーシックでお求めやすいシリーズだけでなく、たいへんユニークな新製品もラインナップされ、今後要注目であること間違いなしです。
ディクソンについて
世界的に見てもドラムの製造が盛んな台湾に主な工場を構えるディクソン。歴史は意外に古く、1979年からドラム関連製品を製造しています。
日本国内ではハードウェアの印象が強いですが、特にアメリカではドラム本体も人気が急上昇しており、グレッグ・ビソネット(元デイヴィッドリーロス・バンド、現リンゴスター・オールスターバンド他)ジョン・ブラックウェル Jr. (元プリンス ニューパワージェネレーション、宇多田ヒカルさんサポート)トニー・ピア(ドゥービーブラザースのサポート)ら、超一流ドラマーの使用も増えてきている、要注目のブランドです。
Dixon Drums Official Website (公式サイト・英語)
シングルチェーンペダル PP9380
まずは当店でも人気があるお手軽モデルからご紹介します。
調整のしやすいシンプル構造のドラムペダルです。凹凸のはっきりしたフットプレートデザインのおかげで「足の力をしっかり受け止める」、そして「パワーをビーターに伝えきる」という本来のドラムペダルのある形を大切にしたペダルです。
真円カム、シングルチェーンでアンダープレート付き仕様。調節機能も最小限で、はじめてのペダルとしても安心です。
基本を押さえたシンプルなモデル
- 軽い踏み込みと素直な戻り感でとにかく扱いやすいペダル。短めのスプリングは程よく効いて、心地よい軽さの踏み込み。
- フットボードのデザインの刻印が深めでしっかり踏み込むことができる。スニーカー等と相性がよい。(裸足、靴下の方は好みが分かれるかもしれない)
- 他モデルと比べると若干コンパクトな音像の印象はあるが、それでも音量も十分出て、低音やアタックもどちらかが突出しない、まとまりのよいサウンド。
- 角度調整はチューニングキーだけで簡単に調節可能。ビーターの傾きとフットボード角度は連動してしまうものの、簡単に調節できる点はとても良い。
- 初心者の方のはじめてのペダルにはもちろん、電子ドラムでの自宅練習用や、軽快なペダルを探している上級者の方にも十分おすすめできるモデル。
新製品「プレジションコイルペダル」PP-PCP
今年2016年のNAMMショウで本格的に発表され、大きな話題となりました。満を持していよいよ発売になります。
型名:PP-PCP
販売価格:(税抜)¥26,900 (税込 ¥29,052)
専用キャリングケース付属
2016年夏 発売予定
(赤い矢印はガイド用のシールです。取り外し可能です。)
細部を見てみましょう
メカっぽいデザイン、シンプルなカラーリングにイメージカラーの青パーツが映え、魅力的なルックスです。
しかし、ペダル全体を眺めてみると、一般的なペダルにあるはずのものがあるべき場所にありません。何かが足りない…。
そうです。スプリングが見当たりません。
その代わりに、円筒形の部品が存在感たっぷりに鎮座。
隙間から覗き込んでみると、太めの針金のようなものが、、これがスプリングの先端のようです。
なんと、この円筒形の部品の中に横向きにスプリングがあるのです。しかし、従来のペダルとは全く違う方法で駆動する構造になっています。ディクソン公式の動画のなかに、内部の図がありました。
太いスプリングが1本内蔵されており、踏み込むことでスプリングに横方向への力がかかる構造です。
構造についての動画はこちら
このペダルの構造がたいへんわかりやすいCGの動画です。必見!
細部を紹介
ビーター角度とフットボード角度は独立して調節可能。目盛りもあるので調節しやすいですね。
ビーターにはメモリーロックとウェイトが標準装備。
真円カム採用。
凹凸のないフットボード。ほどよくざらつきがある仕上げで、しっかり踏み込むにもスライドにも対応。
ダブルチェーン。青色のパーツが映えます。
ビーターはフェルト面と金属面を使用可能。可動式のビーターヘッド。
調整、補修に便利なツールを収納。
驚きの戻り感 ペダルの歴史の大きな1ページ
- 従来のペダルは踏み込んでいくと徐々にテンションが強くなるような感覚があるが、このペダルは踏み込み初めからヒットの瞬間までほぼ同じようなテンションに感じられ、スムーズに踏み込むことができる。
- 踏み込み始めからヒットの瞬間、戻りまでずっと同じテンションがかかるかのような感触。まるでボールをドリブルしているような感覚で連打が可能。
- ほどよく迫力がある低音感。小さめのビーターヘッドであるが、十分音量は出せる。ビーターの金属面(アルミ?)でも嫌みのないアタックで使いやすい。
- 他メーカーのビーターとも互換性あり。戻りの強さがあることから、軽めのビーターと相性が良い印象。また、付属のビーターウェイトはかなり重めなので、コントロールを重視する場合は外して使用するのも良い。
- 戻りの早さ、強さがあるためオープン奏法はたいへん容易。逆にクローズ奏法は慣れが必要かもしれない。オープン奏法の習得にも良いペダル。
- ドラム機材の歴史の大きな1ページとなるといっても過言ではないペダル。フットワーク探求に余念のないドラマーさんはぜひ試してみて欲しい、驚き感触のペダルです。
ペダル検証ディクソン編おしまいに
「9380」は、改めてシンプルなモデルの良さを実感しました。これまで紹介してきた現代の最上級機種は、サウンドも重厚で調節機能も盛りだくさんで、それは機材の進化を感じることができてとてもよいのですが、20年位前の上級機種はこのくらいのシンプルさと軽快さだったのを思い出しました。原点に立ち返るような新鮮な気持ちになることができました。
また、もうひとつの「プレジションコイルペダル」ですが、いままでにない感触にただただ驚きでした。楽器が進化がすることで、奏法や、音楽も進化していくのかもしれないと、ドラムの未来を垣間見た思いです。
ペダル検証、まだまだ続きます!
札幌パルコ店 ドラム担当 鳥塚
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ドラム情報アカウント、@tomtom_toriduka の中の人です。