未来のドラムペダルがやってきた!?

札幌パルコ店のトリヅカです。
だいぶ回を重ねた徹底検証ペダル編。
2016年発表の新製品のハイライトともいうべき以下の記事を書き上げ、すっかり抜け殻のように(笑)なっていたトリヅカでございます。
しかし!ドラム機材界の進歩は休むことを知りません。ここでまたビッグな新製品の検証をする機会に恵まれました。
DWの新シリーズ「DW-MCD」

一昨年発売となったDW(Drum Workshop)初のダイレクトドライブペダル「DW-MDD」は、革新的なルックスと構造で、たいへん話題となりました。
DW-MDDは、DWのアメリカ国内の専門工程で、航空機で使用されるほど上質のアルミを正確に機械加工して製造されているペダルです。従来のペダルとは素材や製法が全く違う、全く新しいシリーズです。
そしてこのダイレクトドライブモデルのバリエーションモデルとして発表されたのが、今回ご紹介する「DW-MCD」(Machined Chain Drive)です。
特徴、開発コンセプト

DW-MCD は、ダイレクトドライブのDW-MDDを基にしてチェーンドライブを採用した、デザインや構造を共通とするペダルです。
そのなかで一番大きな変更点は、「ギアシフト・スタイルのレバーを取り入れたカム」です。ペダルの踏み心地を大きく左右するカム形状が、レバー操作で簡単に可変できます。
シングルペダル DW-MCD

型名:DW-MCD
メーカー希望小売価格(予定)¥94,000(税抜)¥101,520(税込)
販売価格:¥75,200(税抜)¥81,216(税込)
専用キャリングケース付属2016年夏~秋 発売予定 発売中
(発売時期、価格等、変動の可能性があります。確定次第こちらの記事にて発表させていただきます。)
各部をチェック!

一番の特徴である可変式のカム。小さなレバーは指一本で操作でき、段階的にカム形状が可変できます。


カチ、カチ、カチ、と小気味良い音と共に可変します。

スプリングテンション調整もチューニングキーで行います。

ビーターヘッドもユニークな形状

脱着式のウェイトとビーターヘッド。ウェイトは最大4個、ねじ込み式のビーターヘッドはフェルトのフラットとカーブあり、そしてプラスティックの計3個付属しています。

特徴的な外観の穴あきのフットボードとヒール部。

ヒール浮きを防ぐタイプのフープクランプは現行の9000、5000と共通です。

ケースも立派です!肩掛けストラップ付き。
ペダルの進化はどこまで続くのか!?

- ガタつきや遊びが全く無く、とにかくしっかりした作りが実感できるペダル。現行のDW5000シリーズペダルに通じるようなしっかりした踏み込み感があり、足に込めた力が全く無駄無くビーターに伝わっているよう感じられる。
- 画期的な可変式カム調整。簡単に調節でき、実際のアクションもとてもわかりやすく変化する。そのため、プレイスタイルに合せるのはもちろん、例えばライブ中などに曲によって変えるという使い方も可能。
- 面で当たるビーター形状からか、輪郭のはっきりした明瞭なサウンドが印象的。音量も十分あり、アタック感と低音感はビーターヘッドのウェイトで調整可能。
- しっかりした踏みごたえと、低音とアタックのバランスがとれたはっきりしたサウンドが特徴。1発に重きを置くプレイも、細かい連打も自由自在。
ツインペダル DW-MCD2


型名:DW-MCD2
メーカー希望小売価格(予定)¥189,000(税抜)¥204,120(税込)
販売価格:¥151,200(税抜)¥163,296(税込)
専用キャリングケース付属2016年夏~秋 発売予定 発売中
(発売時期、価格等、変動の可能性があります。確定次第、こちらの記事にて発表させていただきます。)
各部をチェック!

調整機能はシングルと同一です。右足部のメカメカしさ!

左右を接続しているロッドも新型。
回転する継ぎ手の部分にはベアリングが使用してあるようです。パワーロスを防ぐと共に、経年使用によるガタツキ防止が期待できます。

シンプルな左足部。シングルポストのため、ハイハットスタンドとの干渉も最小限。(左右を分離してシングルペダル×2台としては使用できません)

ツインペダルも立派なケース付属。なんとこちらはリュック型で背負うことも出来ます。
期待を裏切らないツインペダル

- ガタつきや遊びが全く無く、とにかくしっかりした作りが実感できるペダル。現行のDW5000シリーズペダルに通じるようなしっかりした踏み込み感があり、足に込めた力が全く無駄無くビーターに伝わっているよう感じられる。
- 新型のツインペダルロッドの威力によるところが大きい、左足の追従性は見事の一言。左足でもパワーロス無くビーターに力を込めることが出来る感覚はさすが。
- 機能も価格も最高機種であるDW-MCD2。確かに高価なペダルではありますが、この機能と踏み心地が得られるのであれば、十分検討に値する素晴らしいペダルです。
検証後記:ため息すら出る最高峰機種
このMCDペダルは、摩擦を減らし、精度を極限まで高め、力を余すところ無く音に変換するという点を現時点で最高レベルまで高めたらどうなるか、というDWのチャレンジ精神が結実したペダルと言ってよいでしょう。ドラムの歴史にチャレンジし続けてきたDWならではの製品とも言えるでしょう。
見た目からしてその存在感に圧倒されてしまう楽器というのはいろいろありますが、このペダルもそのひとつです。踏んでびっくり、聴いて納得、価格をみてまたびっくり(笑)という、今回の徹底検証はこれまでとは一味もふた味も違うものでした。やはりただものではないペダルです。発売が待たれるところです。
以下、dw サイトより抜粋です。
「我々がMDDペダルを導入したとき、これが次の論理的ステップであるということを、我々は分かっていました。
DWペダルを使用しているアーティストの殆どは9000シリーズのペダルを気に入ります。同時に彼らは DW MFG のデザインと機能にも夢中です。しかしダイレクトドライブの感触は、必ずしも全ての人々に向いていないことを分かっていました。そうしたことから、チェーンタイプの開発は、我々研究開発チームにとって実におもしろく、やりがいのあるプロジェクトでした。」
研究開発のDWディレクター、Rich Sikra氏
この記事を書いた人
札幌パルコ店 鳥塚

テレビで見たドラムに心を奪われてドラムを始め、バンド活動に明け暮れていたある日、何気なく訪れた楽器店で目にしたプロドラマーのドラムイベント(ドラムクリニック)に感銘を受け、楽器店員を志す。現在は札幌パルコ店勤務の傍ら、演奏活動も行う。
これまでに、米国のZildjianや大阪の旧SAKAEといった国内外のドラム/シンバル工場を訪問。長い演奏歴とスタッフ歴で培ったマニアックな知識は、島村楽器随一。
そして今では、世界中のドラマーの定番となったPROTECTIONracketのスネア&ダブルフットペダルケース「TZ3016」「TZ3015」の発案者。
偉大なドラマーを輩出し続ける北海道・札幌で、ドラムコーナーの灯を絶やさぬよう奮闘中。
MyDRUMS内で「トリヅカのマニアックドラム」を連載中!


