【MyDRUMS特派員が行く!】一切の妥協なし!Pearl台湾工場で目撃した「コンマ数ミリ」に命をかける職人たちの情熱

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【MyDRUMS特派員が行く!】一切の妥協なし!Pearl台湾工場で目撃した「コンマ数ミリ」に命をかける職人たちの情熱

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去る2026年4月、札幌パルコ店トリヅカと、名古屋パルコ店ハナワが、MyDRUMS特派員として台湾のドラム工場を見学する貴重な機会をいただきました。

伝統を守り伝えながら、革新的な技術でより良いドラムづくりに奮闘する職人たちの魂に触れることができ、大変感慨深い見学となりました。

レポートは全2回(予定)にわたりお届けします。第1回目は、Pearl(パール)工場見学の模様をその熱い想いとともにお伝えいたします。

台湾到着、そして工場へ

台湾を訪れるのは公私ともに初めての特派員トリヅカ。
距離感やスケール感をざっくりイメージしてみますと、台湾本島は日本に置き換えると九州とほぼ同じ広さ(北海道の半分強くらい)で、人口は東京都と神奈川県を合わせたほど。分かったような、分からないような……(笑)。

とにかく空港から車に乗り込み、一路工場へと旅立ちます。高速道路の車窓からは水田が広がり、どこか懐かしいような気分にすらなります。

途中、車に揺られること約2時間。台湾中部の台中市郊外にある「Pearl台湾工場」へ到着しました。周囲は台湾らしく、半導体やディスプレイなどの近代的ファクトリーが立ち並ぶ工業エリアです。

Pearl台湾工場の設立は1973年とのことですので、すでに50年以上の歴史があります。
当時はパーツ類やエントリークラスの製造からスタートし、現在では最高峰の「マスターワークス(Masterworks)」をはじめとした上級グレードも含む、主要なドラム本体の製造を一手に担っています。

エントランスでは、特別仕様のコパーメッキパーツをあしらったマスターワークスのセットがお出迎え。早くもじっと見入ってしまいます。

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いざ!製造工程の見学へ

さっそく製造工程の見学に出発!
ずらりと並んだシェル(胴)を前に、早くも大興奮です。

さて、一般的なドラムをイメージしていただくとしましょう。
ドラムには色が塗ってあったり色々な部品が取り付けてありますが、もともとは木でできた筒のような構造(シェル)になっています。

この筒を成形するには、長く薄い板を4~10枚張り合わせてから、ぐぐっとまるめて端を接着し、筒状にしていくという流れです。

何枚貼り合わせるかはシリーズやサイズで異なり、ドラムのスペックでよく見かける「〇〇PLY(プライ)」という表記は、この薄い板を何枚重ねているかという数値を表しています。

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木材の選定~スカーフカット

こちらには材料工場でサイズごとにカットされた状態の薄い板がストックされています。

ドラムの材料としての品質はすでに厳選されているものの、木目の美しさには個体差があります。そのため、Pearlでは以下のように厳格に選別を行っています。

  • 【Aランク】 木目などの見栄えが美しいため、ドラムの「外側(一番目立つ層)」に使用
  • 【Bランク】 見た目は標準的なため、ドラムの「内側(内部)」に使用
  • 【Cランク】 品質は問題ないものの、部分的にシミや節が見えるため、「中間の層(重ねて接着するので見えなくなる部分)」に使用

と選別します。
画像の手前側の材は、黒く見える箇所があるためCランクに分類されます。

使用する材が決まったら、サイズを合わせるためにカットします。サイズカットの機械はかなり大型です。例えば22インチのバスドラムの場合、平らに伸ばすと1.7mを超える長さの板を使用するため、これほど大きな機械が必要になります。

サイズが決まったらPearl独自の製法「スカーフカット」の加工を行います。
使用する木材は木とは思えない程しなやかに曲がり、折れたりしてしまわないかとハラハラしますが、職人さんは鮮やかな手つきで機械にセットしています。

冒頭に触れましたとおり、ドラムを製造する際は薄い板を丸めて端を接着して丸い筒状に成形するわけですが、その端を接着する部分にほどこされているのがこのPearl独自の「スカーフカット」という加工です。

薄い板を接着する際のつなぎ目を、木材の端が重なり合うように端の方を極限まで斜めに薄くする加工で、
木材の端がくさび状に薄く鋭く仕上げられているのがご覧いただけます。


こうすることで接着面の表面積を広くすることができ、強度を保ち、またつなぎ目が目立たない美しい仕上げが実現します。

ギリギリまで薄く、かつ欠けてしまわないよう、高い技術が求められます。
言葉としては知っておりましたが、実際に目にしたスカーフカットの先端はまるで刃物のようにするどい仕上げになっており、これには驚きました。

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シェル成形へ

さていよいよここからはシェルの成形に移ります。
木材を張り合わせるための接着剤を両面に塗布。この後あの頑丈なドラムになるとは思えないほどしなやかに曲がる薄い板を、専用の機械に通して接着剤を塗っています。

職人さんはいとも簡単に木材を操っているように見えますがこれも熟練のなせる業なのでしょう。

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シェル成形体験

シェル成形の工程はここからが本番!
ここではサイズごとに「窯」とよばれる機械を使用します。

窯は口径ごとに専用のものが必要な為、6インチから30インチを超える大型まで多数の窯があります。
熱と圧力をかけて接着剤を一気に硬化させることで極めて真円度が高く強度も充分なシェルを生み出す、ドラム製造で最も重要な工程です。

なんとこの製造の核となる工程を体験させていただきました。

接着剤を塗布した材を窯に挿し入れます。そーっと差し込んで、最後は工具で叩いて完了!

まさに「見るとやるでは大違い。」
なかなかうまく入っていかず、職人さんに助けていただきました。

ハナワも挑戦。いい感じです。

窯のレバーを押し下げると加熱と成形がはじまります。
さきほど挿し入れた材を内側から挟んで押し付けるように圧力をかけ、同時に高熱で熱していきます。

数分後には見事なシェルが出来上がりました。あの柔らかい板がこのようなシェルになるとは、実際に目にすると感慨深いものがあります。

シェルの端からはみ出た接着剤を削り落とします。
トリヅカ「こ、こうですか?」
職人さん「もっとこう、ぐっと力入れんかい!!」

レインフォースメント(補強材)があるシェルの場合は、シェルを成形したあとに接着します。
シェルの内側に帯状にカットした薄い板を貼り付けるわけですが、サイズをぴったり合わせなくてはならないためとても難しい工程だそうです。

レインフォースメントも専用の窯があります。接着した後に窯で圧着。

成形が完了したシェルはわずかに大きく(深く)つくられているため、ジャストのサイズにカットします。
14”×6.5”のスネアドラムなどは、シェル成形は2台分一気に行い、この工程で半分の深さにカットするそうです。(一度に2台のスネアの分を作るなんて驚きです!)

半分の深さになりました。

続いて、ヘッドと接触する重要なエッジ加工はこの機械で行います。
エッジ角度によって違う刃が用意されていますが、シェルを機械にセットしたらあっというまに完了します。

塗装前の重要な工程である研磨です。
シェルの外側、内側を高速で回転する機械であっというまに仕上げます。かなり大きな音がするので、職人さんの耳には耳栓が見えますね。

研磨の職人さんはこの道何十年のベテランだそうで、Pearlのドラムづくりはこのような熟練の技に支えられているということが良く分かりました。

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塗装の工程

その後は塗装です。
こちらはワイピングといって塗って浸み込ませる方法の着色工程。回転するシェルに均一になるよう塗って浸み込ませるには絶妙な力加減が求められます。

そしてスプレーガンでの塗装。右手でガンを持ち、左手でシェルを載せた台を回転させます。
シェルを載せた台をゆっくり回転させながらスプレーガンで塗装をする様子はまさに神業。みるみるうちに美しい色に仕上がっていきます。

そしてなんと塗装の工程(下塗り)も体験させていただきました。
よく、ドラムは手足バラバラに動いて凄いですね、と言われますが、(実際にはバラバラではありませんが…笑)この塗装の工程こそまさに左右の手をバラバラに動かさなくてはなりません。

右手でシュ~と塗料を吹き付けながら、左手でシェルを回転させていきます。
ムラにならないよう、塗り過ぎないよう…む、難しい…

冷や汗をかきながらなんとか完了しました。今回は下塗りですのでもちろん完成品には影響ございませんのでご安心ください。
ハナワはここでも持ち前の器用さで、いい感じに仕上げています。

シェルにラグやストレイナー等を取り付ける穴はこの機械で行います。
ドラムの種類やサイズを端末で指定すると…

あとは機械がシェルを回しながら自動で穴を開けてくれます。寸分の違いも無く正確に穴が開いていく様子はずっと見ていたくなります。

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マスターワークスの工程

Pearlのマスターワークスとは、シェル材、プライ数、カラーやパーツ等すべてをオーダーにて作り上げる最高峰カスタムシリーズです。
このマスターワークスはMastersなどの通常シリーズとは別工程となっており、専属の職人さんが作業を担っています。

奥には美しい木目のシェル、手前にはカーボンを巻いたシェルが組み立てを待っています。

シェルへの穴あけも、
手作業でマーキングしてから

手作業で機械を操作し穴あけ

通常シリーズはシェルへの穴あけ後塗装を行いますが、マスターワークスはなんと「塗装後」に穴あけを行います。
これは、穴の断面にも塗料が入り込むことでわずかに穴のサイズや位置が変わることを防ぐためにこのような違いがあります。
塗装による違いなどはコンマ何ミリ以下の世界のはずですが、このような一切の妥協を排した究極のこだわりによってつくり上げられているのがマスターワークスなのです。

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組み立てへ

完成したシェルへパーツを取り付けていました。ここもひとつずつ手作業で行われています。

ラグの組み立ても体験させていただきました。
これはトリヅカは店頭での修理でも行う作業なので慣れたもの、と思いましたが…

職人さんは目にも止まらぬ速さ!

新品のパーツにはごく微妙な個体差があり、その微妙な差を指先で感じ取りながら瞬時に組み立てているようで、当然ですが「職人さんは凄すぎる!」と一同ひれ伏しました。

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工場見学名物・ランチのご紹介

Pearl工場見学名物のランチ(お弁当)
工場の職人さん達がお食事をされている場所の一角をお借りしていただきます!

骨付きの豚肉を揚げたものがご飯の上に載っており、スパイシーで甘辛い味付けでご飯が進みます!
そういえば移動中の車窓から水田が多く見えましたが、お米も美味しい!
ちなみに台湾ではお弁当は「便當(ビエンダン)」と呼ばれ、日本語の弁当が語源となっていると言われています。

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Pearlファクトリーツアー ダイジェスト動画

工場見学の様子を動画にまとめましたのでこちらもどうぞご覧ください。
工場内部は撮影NGの工程や場所も多いため、ドラムづくりの全てをご紹介できない点はなにとぞご了承ください。

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おしまいに

普段触れているPearlのドラムが実際に製造されている場面を見学させていただき、その高い技術と、そしてその技術を守って良い楽器を作っていこうという職人さんたちの情熱に触れることが出来たように思い、たいへん感慨深い工場見学でした。

お店や、リハーサルスタジオ、ライブハウスなどで目にする、また実際に演奏するPearlのドラムすべてに、この工場での職人さんの情熱が注がれていると思うと、お客様へご紹介させていただく際はもちろん、実際に演奏する際も背筋が伸びる思いです。
このような機会をいただいたPearl楽器様、Pearl楽器台湾工場の皆様、ありがとうございました。

札幌パルコ店 鳥塚

テレビで見たドラムに心を奪われてドラムを始め、バンド活動に明け暮れていたある日、何気なく訪れた楽器店で目にしたプロドラマーのドラムイベント(ドラムクリニック)に感銘を受け、楽器店員を志す。現在は札幌パルコ店勤務の傍ら、演奏活動も行う。

これまでに、米国のZildjianや大阪の旧SAKAEといった国内外のドラム/シンバル工場を訪問。長い演奏歴とスタッフ歴で培ったマニアックな知識は、島村楽器随一。

そして今では、世界中のドラマーの定番となったPROTECTIONracketのスネア&ダブルフットペダルケース「TZ3016」「TZ3015」の発案者。

偉大なドラマーを輩出し続ける北海道・札幌で、ドラムコーナーの灯を絶やさぬよう奮闘中。
MyDRUMS内で「トリヅカのマニアックドラム」を連載中!

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