dB SPL 音の強さを「音圧レベル」で表す
さて色々数字が出てきて大変ですが、もう少し頑張れば「スミマセ〜ン、返しあと3デシ上げてくださ〜い」という禁句の意味がわかるようになるかも・・がんばろー・・
「dB」のdは小文字、Bは大文字です。音圧レベルを扱うのは正しくは「dB SPL」(ディービー・エスピーエル)いう単位ですが、SPLが省略される場合もあります(これが勘違いの元でもありますが)
「dB」は電話を発明したアレキサンダー・グラハム・ベルにちなんだ「B(ベル)」という単位(電話線で送受信する電力を扱う際に使われたのが始まり)に、「十分の一」という意味の「d(デシ)」をくっつけた表記方法です。皆さんも「なんで" デシ "なんて使うの?」と思ったに違いない「デシリットル(dl)」のデシと同じでし・・(1dl=100mlです)
まずこのdBは、「対数(たいすう)」といって「ある数=ある数の何乗である」という表現方法で使用される単位です。さて「対数」といわれても全くピンときませんが、たとえば
ですが、この「10を2乗すると100になります」を逆に「10を何乗すれば100になりますか?・・・そう、2ですね!」と言い換えたのが
・・・と、いきなり驚かせてスミマセン。
さてこの自乗する数字(底数といいます)が「log10」のケースは「常用対数」といいます。10進法と相性よくてよく使うから「常用」です(10を省いて単に「log」と表記される場合もあります)。
すると以下の表現ができるようになります。
- log1010 ⇒ 常用対数で表すと「1」・・101だから
- log10100 ⇒ 常用対数で表すと「2」・・102だから
- log101000⇒ 常用対数で表すと「3」・・103だから
すでに「???」という方も
ということがお分かりいただければけっこうです。
「dB SPL」
そして基準値p0(20μPa)に対するp(μPa)の比を表すのが B(ベル)という単位ですが、これだと使用頻度が高い10倍未満の数字が小数点表示になり使いづらいので、これを10分の一にしたdB(デシベル)を使います。基準音圧p0(20μPa)と対象となる音圧p(※)のレベル表現は
20×log(P/P0) [dB]
と表すことにして、これを「音圧レベル」と呼びます。するとAとBの強さの比は下記のように表現できるわけです。
AとBを比べて
- PがP0の1倍だったら:20×log101 =20×0=0デシベル (10の0乗は1)
- PがP0の10倍だったら:20×log1010=20×1=20デシベル
- PがP0の100倍だったら:20×log10100=20×2=40デシベル
- PがP0の1000倍だったら:20×log101000=20×3=60デシベル
- PがP0の10000倍だったら:20×log1010000=20×4=80デシベル
これで、先ほどの1:100万という音圧のべらぼうに幅の広い差も、この対数を使うことで少ない桁の数字で表現できるようになるわけですね。
なんだかよくわからないけど「対数」ってのは便利な感じがしませんか?ただし対数というのは単純に引き算足し算できません。
重要:40デシベルは20デシベルの2倍ではない!
ということを頭のなかにそっとしまいこんでください。
※騒音の測定等で使用されるdBでは、人間の聴覚特性(後述)を加味した「騒音レベル」が用いられます。
相対単位と絶対単位
「dB」は音圧以外にも電圧、電力等を扱う際にも使われますが、大事なのは「相対単位のdB」と「絶対単位のdB」があるということ。簡単に言うと
- 「AはBより◯dB」というのが相対単位
- 「Aは◯dB」というのが絶対単位
本来デシベルは2つの量の比を表すもので、相対単位なのですが、音圧レベルのように一方を基準となる値に定義することで、絶対単位としても使用することができるわけです。
ここでの音圧レベルの場合は絶対単位「dB SPL」となります。
絶対単位としてdBが使用される例
音の強さのめやす(あくまで「めやす」)
- 120:ジェットエンジン
- 100:ドリル工事
- 90:相当うるさいいやな犬
- 80:電車
- 70:賑やかな事務所
- 60:通常の会話
- 50:割と静かな事務所
- 40:図書館
- 20~30:ヒソヒソうわさ話
- 0:人が聞き取れる限界「20マイクロパスカル(20μPa)」
つまり人が聞き取れる限界「0dB」を基準にこれは何倍?という数値で表しているわけですね。
相対単位としてdBが使用される例(Wikipedia)
倍率(比) | 電圧・電流・音圧 | 電力比 |
---|---|---|
1倍 | 0.00dB | 0.00dB |
2倍 | 6.02dB | 3.01dB |
3倍 | 9.54dB | 4.77dB |
4倍 | 12.04dB | 6.02dB |
5倍 | 13.98dB | 6.99dB |
10倍 | 20.00dB | 10.00dB |
50倍 | 33.98dB | 16.99dB |
100倍 | 40.00dB | 20.00dB |
500倍 | 53.98dB | 26.99dB |
1000倍 | 60.00dB | 30.00dB |
5000倍 | 73.98dB | 36.99dB |
10000倍 | 80.00dB | 40.00dB |
なぜ電圧と電力で数値がちがうのか(倍)?は補足参照
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