電子ピアノにはある法則があります。
それは音が良いほど値段が高い。そしてサイズが大きくなるということ。
大きいほど、音に影響を与える仕組みをより多く搭載できるのでグランドピアノのような音の鳴り方を再現する製品まであるのです。
まるでグランドピアノのような音を奏でる電子ピアノ ヤマハ N3
大きいことにはメリットがあるわけなのですが、住宅環境上、サイズ的に置くのが難しいし、よくよく考えてみればたまにしか音が出せないのでほとんどがヘッドホンになる、という人もいるはずです。
ならいっそのこと、ヘッドホンのサウンドを中心に選ぶのも一つの手ですね。
ヘッドホン聞いた時に優れたピアノ・サウンドで設置しやすいサイズであることがポイントとなります。
というわけで6月に発売される「ローランド FP-30」 を試してみました。
FP-30は電子ピアノでありステージピアノでもある製品です。ステージピアノ??とお思いになるかもしれませんが、この2つの違いは明確な定義はありません。電子ピアノをステージ(ライブ)に特化させたモノをステージピアノと呼ばれます。
ステージピアノと電子ピアノの主な違い (参考)
ステージピアノ | 電子ピアノ |
|
|
上記はあくまで参考です、モデルによってはこれらが当てはまっていないモノもあり、またこれらに含まれなくてもステージピアノと呼ばれることもあります。
「ローランド FP-30」は足を取り外すことができて運ぶことが可能なことからステージピアノともなっていますが、ご自宅の練習ピアノとしても兼用できるようになっています。
FP-30 の優れたポイント その一、省スペースに設置できる
よくテレビを購入する時にありがちなことで、これなら大丈夫かもと思って大きいサイズを選んだら、届いてびっくり。
お店で見たよりもかなり大きく感じる不思議の国のアリス症状は電子ピアノにもいえます。
届いてみたら意外と大きく、設置するのも一苦労なのです。各メーカーの製品を比較してみましょう。
FP-30 | P-115 | SP-280 | F-140R | YDP-143 | |
幅mm | 1,300 | 1,326 | 1,361 | 1,361 | 1,357 |
奥行mm ()は譜面台含む |
284 (324) |
295 (約340) |
380 (約460) |
345 | 422 |
高さmm | 150 | 163 | 169 | 910 | 815 |
重さkg | 14.1 | 11.8 | 19※ | 34.5 | 38.0 |
FP-30は横幅が1,300 mm。奥行きが284 mm なので省スペースに設置することができます。
このサイズは88鍵盤の電子ピアノの中で最も小さく、イスを設置しても十分演奏のスペースが確保できます。
FP-30 の優れたポイント その二、移動が簡単
さきほどのサイズのメリットに加え、スタンドと分離するセパレートタイプは、部屋の模様替えなど電子ピアノをちょっと移動させたい時に便利です。据え置きタイプの大きいものになると設置したら容易には動かせません。
それに、引っ越しをする事情がある場合は、ステージピアノの可搬性がいきます。
88鍵盤は重たいですが、女性でも頑丈で安定したキャリーカート、そしてエレベーターであれば持ち運べなくはありません。(ただし、15kg以下でなるべく長さが短い鍵盤を推奨)
FP-30 の優れたポイント その三、MIDIキーボードとしての利用
FP-30 の背面にはUSBポートがありパソコンに繋ぐことでMIDIキーボードとして使うことができます。
ということは、パソコンで音楽を作ったり、楽譜作成するその鍵盤として活用できるんです。88鍵盤のMIDIキーボード専用となると「ローランド A-88」がありますが、ちょっと値段が高くなりますし、単にピアノを入力するためであればFP-30で十分です。
FP-30 の優れたポイント その五、ピアノ音色を重点
電子ピアノにはピアノ以外にもオルガンやストリングスといったさまざまな音色が搭載されています。ピアノを含めその中で一番使う音はなにか想像してみてください。
ピアノの音に価値をおくならFP-30はおすすめです。かなりコストパフォーマンスが高いといえるでしょう。逆にピアノ以外の音もよく使う、というのであれば「ローランド RD-300NX」をおすすめします。同価格であれば「コルグ SP-280」も良いですね。
FP-30はピアノに特化しているのですが、言葉ではわからないもの。
そこで、今回はFP-30と似たコンセプトをもつ人気製品「YAMAHA P-115」を弾き比べてみました。
YAMAHA P-115 は当社で人気の電子ピアノ。FP-30と同じくセパレートタイプなので可搬性がよいモデルです。
価格が異なる両者(FP-30は7万円台、P-115は5万円台)になりますのでフェアではないですが、そういったところも含めてヘッドホンやホームスピーカーでその音を聴き比べてみてください。
Roland FP-30 vs YAMAHAP-115 サウンド比較
録音にはどちらも「ZOOM Q8」を利用しています。
ヘッドホンからの出力を Q8 にライン接続して撮影です。
まずは「YAMAHA P-115」から。
サウンドの要となる音源システムと鍵盤機構は、RGEスタンダードIIとGHS鍵盤で形成されています。
P-115でサンプリング(録音)されたピアノはヤマハ製のコンサート・グランド。ヤマハらしい温かみのある音が特徴ですね。
次に「Roland FP-30」。
音源システムはスーパーナチュラル・ピアノ音源、鍵盤はPHA-4スタンダード鍵盤を採用しています。
ヤマハ社と違って好きなアコースティック・ピアノを録音できるローランド社は有名ピアノメーカーをもとにして作られたもの。華やかさが特徴になります。ただ、注目して聴いて欲しいのは弱い音と強い音の表現幅です。
FP-30とP-115 弾き比べてみて
2つを弾いた感想としては、どちらも鍵盤に重みを感じ、ピアノらしい弾き心地。FP-30は鍵盤の奥で弾いた時もスムーズに打鍵できるのが弾きやすいと感じました。それに鍵盤を最後まで押した際にも安定感があり、連打性も良いと思います。
2機種を比較すると、FP-30は、音はピアニッシモからフォルティッシモまでの幅が広く、強音時にも音が気持ちよく広がります。ダンパーペダルを踏んだ時の余韻も自然ですね。一方のP-115は5万代でこのクオリティーは非常にコストパフォーマンスの高いモデルだと思います。(個人の感想です)
もし、ヤマハの個性のままもっと響きがある音が欲しい人は上位モデルのYDPシリーズをおすすめします。
最終的には個人の好みになると思いますが、みなさんはいかがでしたでしょうか?
Roland FP-30と YAMAHA P-115 比較表
Roland FP-30 |
YAMAHA P-115 |
|
---|---|---|
発売日 | 2016年6月 | 2015年6月 |
カラー | ホワイト / ブラック | ホワイト / ブラック |
鍵盤機構 | PHA-4スタンダード鍵盤 | GHS鍵盤 |
鍵盤素材 | 象牙調 | 黒鍵マット仕上げ |
エスケープメント | ◯ | ― |
タッチ感度 | 5段階 | 3段階 |
音源 | スーパーナチュラル・ピアノ音源 | RGEスタンダードII音源 |
88鍵 サンプリング |
◯ | ― |
最大同時発音数 | 128音 | 192音 |
ピアノ音色 | 6音色 | 3音色 |
ピアノ以外音色 | 29音色 | 11音色 |
デュアル/スプリット | ◯ | ◯ |
ツインピアノ/デュオ | ◯ | ◯ |
リバーブ/アンビエンス | 4種類 | 4種類 |
録音曲数 | 1曲 | 1曲 (パート録音可) |
リズム | 8 | 14 |
内蔵曲 | デモ曲3+30曲 | デモ曲14+ピアノ曲50 |
USBメモリー | ◯ | ― |
オーディオ再生 | ◯ | ― |
アンプ出力 | 11W×2 | 7W×2 |
スピーカー | 12cm×2 | 12cm×2 + 4cm×2 |
ヘッドホン端子 | ステレオ・ミニ×1、標準ステレオ×1 | 標準ステレオ×2 |
Bluetooth | ◯ | ― |
AUX OUT | ― | ◯ |
USB コンピューター端子 | ◯ | ◯ |
FP-30とP-115 比較してみて
鍵盤性能は機構以外にその仕上げによって弾きやすさが異なります。FP-30の象牙調は、滑りにくくグランドピアノに近い弾き心地の鍵盤仕上げですが、ヤマハ社では「YDP-163」のクラスから採用しています。
エスケープメント機構も重要な選択要素。これはグランドピアノで鍵盤を弾いたとき途中のわずかな引っかかり(クリック感)を再現したものでヤマハ社では「CLP-535」のクラスから採用しています。
FP-30は内蔵曲30曲ですが、P-115は内蔵曲50曲。また、この50曲は左手/右手の片手ずつ聞くことができるので練習に役立ちます。それに、ピアニストスタイル(アルペジエーター)という左手指一本で伴奏をつける機能もあったりします。対するFP-30は30曲ですが、USBメモリーからオーディオを再生する機能があるため、好きな曲をバックに演奏を楽しめます。
こちら以外にも機能は異なりますが、ピアノ選びでよく検討される箇所のみピックアップしてみました。
最後にFP-30と一緒にあったら便利な小物をご紹介したいと思います。
FP-30にあったら便利なアイテム
セパレートタイプの電子ピアノ/ステージピアノは、どれも鍵盤の蓋がありません。これは、しなくてもホコリを寄せ付けない設計‥ではないので、しっかりカバーする必要があります。
ピアノカバーでおすすめこちら。
FPシリーズやP-シリーズに合うようサイズを調度良いものにした特注製品です。
ピアノ/キーボード用鍵盤カバー「セリーヌ」
FP-30は本体とスタンドが別々になっているため、キーボード・スタンドも必要になってきます。持ち運びを検討されている、あるいは移動ができたほうがよい場合はテーブル型タイプ、横幅を取られなくないそれにインテリアとしても映える方が良い、という場合は専用スタンドが選択できます。
アコースティックピアノのダンパーペダルは、ペダルの踏み込みの深さによってかかり方具合が変わってきます。このかかり具合を電子ピアノでも再現するにはペダルと本体両方がハーフペダル(ハーフ・ダンパー)に対応している必要があります。FP-30はこのハーフペダルに対応しているものの、付属しているスイッチ・ペダルは対応していません。
こちらの「DP-10」を使うことにより音の伸び具合の変化をコントロールすることができます。
また、ペダルは弾いている内に徐々に前にいって弾きづらくなるのですが、そういたことがないように工夫されているのも特徴です。
キーボード・スタンドを専用スタンドにした場合は専用3本ペダルユニットを使うことができます。この3本のペダルはダンパー、ソフト、ソステヌートがコントロールできます。
イスも演奏には欠かせません。FP-30にあったデザインのピアノ椅子はこちら。色はホワイトとブラックから選べます。
こちらは高さが固定タイプのピアノ椅子です。もし、調整ができたほうが良い場合はこちら
この記事で紹介した製品
ROLAND FP-30 ブラック
ROLAND FP-30 ホワイト
YAMAHA P-115 ブラック 生産完了
YAMAHA P-115 ホワイト 生産完了
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