ボーカロイドにピンク・フロイド「虚空のスキャット」を歌わせてみた。

記事中に掲載されている価格・税表記および仕様等は記事更新時点のものとなります。

© Shimamura Music. All Rights Reserved. 掲載されているコンテンツの商用目的での使用・転載を禁じます。

こんにちはボカロP見習いサカウエです。無謀にもこれまでボーカロイドたちに YES、Donald Fagen、10cc 等を歌わせてきたわけですが、今回はPink Floyd(ピンク・フロイド)の歴史的名盤「狂気」(1973年)から有名なこの曲をピックアップしてみました。

虚空のスキャット(The Great Gig In The Sky)

ワタクシの尊敬する故リック・ライト(kb)の手によるジャズテイスト溢れる名曲です。リックはプログレバンドの中では異色で、決してバカテクというわけではないのですが、音色センス、プレイスタイルはやはりワン・アンド・オンリーのプレイヤーだったと思います・・早逝が惜しまれますね・・

コード進行基本は以下のとおりです。

Bm-F-Bb-F(onA)

Gm7-C9-Gm7-C9

FM7-BbM7-EbM7-Cm7-F7

BbM7-EbM7-Bb

ジャズでは定番の4度進行中心ですが、「Bm」がこの曲の調性内では特別な存在です。しかしええ曲や~(涙)

なお今回は

バッキング仮トラック作成~音色差し替え~ボカロ入力~マスタリング

といった制作の全過程をご紹介したいと思います、なにかしら皆様の音楽制作のヒントになれば幸いです。

カラオケ作成

まずはバッキングトラック(カラオケ)作成。

ローランドのINTEGRA-7を使ってDAWのCubase 7に打ち込んでみました。

INTEG_EDITOR

INTEGRA-7をMacからコントロールできるプラグイン「INTEGRA-7 Editor for Mac(無料)」を使えば、音色選択、各種パラメーターの変更まで自由自在。非常に快適に制作を進めることが出来ます。

INTEGRA-7 ローランドの最高峰シンセ音源です!

int7

こういったプリプロ的な制作にはやはりINTEGRA-7のような「音色全部入り的ハード音源」が安定していて最適だと思います。オルガンのドローバーセッティングも楽勝です! レズリー(ロータリー・スピーカー)のスローファースト切り替えはモジュレーションでコントロール。

drawber

デヴィッド・ギルモア(g)のペダル・スチール・ギター(ハワイアンでもよく使われます)ですが、INTEGRA-7の「JC Chorus」というSuperNATURALトーンを選択し、ピッチベンド・レンジ12(オクターブ)に設定、音程の上下をベンドでコントロールしています(左右で2テイク)。

メロディーパートもMIDIデータで打ち込んでおきます(仮メロパート)。あとからボカロに差し替えますが、ボカロ差し替え後はCubase 7の再生スタート等、若干レスポンスが悪くなるので、この段階でピッチベンド等の表現を入力しておいたほうが時間の節約になるでしょう。

なお仮メロの再生音色はシンプルなシンセリードやフルート系の音が向いていると思います。

vocalMIDI

というわけで仮トラック完了。

もしCubase 7上でボカロ入力・編集ができる「VOCALOID Editor for Cubase」を使用している場合は、このままボカロパートの入力に進んでもかまいません。VOCALOID Editorでボカロ入力を行う場合は、オーディオのカラオケデータをエクスポート(その際はINTEGRA-7の音をCubase 7に録音しておく必要があります)して、VOCALOID Editorに読み込んで使います。

ちなみにワタクシはドラムパートはBFD2、ベースをTrilianに差し替えてカラオケ・オーディオを作成いたしました。INTEGRA-7のドラムとベースが気に入らないわけではなく、この曲にはそちらがあっているなと思ったので・・少々贅沢で恐縮です。

trilian_BFD2

つづいてボカロパートの入力

ボカロトラックの割り振りを決める

今回のボカロ入力計画ではCubase 7とVOCALOID Editor for Cubase を使用して、下記の4パートを打ち込むことにしました。

パート名 / ボカロライブラリー

  • スキャット・・VY1V3
  • コーラス1・・VY1V3
  • コーラス2・・VY1V3
  • セリフ(男)・・Gackpoid_Power
  • セリフ(女)・・Megpoid_Native

このアルバム「狂気」では、「笑い声」「心臓の鼓動」「時計のベル」「ジェット機」「コインのジャラジャラ」・・といったさまざまなSEや、男女のセリフ(スタッフ、関係者へのインタビューを編集したもの)等が効果的に使用されています(サンプラーの無い時代ですから、すべてアナログテープ編集によるもの)。

この曲のイントロ&後半で出てくる「しゃべり」の部分も、今回はボカロでチャレンジしてみることにしました。したがって上記のように3種類のボカロ・ライブラリー、合計5パートのボカロトラックを使用しています。


続きを読む: 1 2

↑ページトップ