リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その22~ロッド調整の巻!

皆さまこんにちは!ギターリペアマンの遠藤です!

8月ですね!

私はこの前、8月5日に開催された仙台七夕花火大会に10年ぶりに行ってきてとても感慨深い気持ちになりました…

花火も七夕飾りもとても綺麗でした!仙台の夏ですね~


さて本題です。

最近マニアックな内容が多いのでたまには基本に立ち返ってみようと思います。

今回はギターの構造に関わるベーシックな部分を解説していきましょう。


私が日々受けてるリペアで一番多い内容はですね、

「ネックが反りました」

です。


そもそも何でネックって反るんでしょうね…

(分かりづらいですがけっこう反ってます)

反りの原因としては大きく分けて2つですね。


1.弦が張ってあるから

ギターには弦が張ってありますよね。

弦はたいていの場合は金属でできており、ボディー側(ブリッジ)を支点にし強い力でヘッドを引っ張っています。その力はチューニングした状態では相当な力となり、順反りの方向へ引っ張ります。弦を張りっぱなしで長期保管してると反りやすいです。


2.ネックが木でできているから

木材は性質上、乾燥すると収縮し・湿気を吸うと膨張します。

その木材自体の動きで反りが発生します。

多くのネックには指板が貼られていますが、ネックと指板の材質の違いで伸縮率も異なります。

それぞれの木材が違った伸縮を行なう事で、そこに歪みが生じて反りとなります。順反りも逆反りも然りです。


これらの要因でネックはたやすく反ります。梅雨の時期の逆反りはなかなかエグイものがありますね。

「順反り」とか「逆反り」とかいう言葉が出てきましたが、それが一体どういう状態なのかは次で説明します。


まずはネックの正しい状態というものを把握しておきましょう。

久しぶりに雑なイラストを登場させます…

だいたい分かりますよね(笑)

一応フェンダー系を意識してイラスト作ったので左がヘッド側で右がボディ側です。

ネックがブリッジ方向に引っ張られて弓なりになっている状態を、順反りといいます。

ヤバい事になってますが極端に再現するとこんな感じです。

順反りの場合は弦高が異常に高くなり、押さえにくい、弾きづらい、といった症状が出ます。

反対にギター・ベースの背面側にネックを反っている状態を、逆反りいいます。

逆反りの場合はビビりが起こりやすくなるのが主な問題です。

見てわかると思いますが特にローポジションが指板、フレットと距離が近くなり弾くと弦がぺしぺしと音が詰まる感じになります。

ひどいと開放弦の音が詰まる時もありますね。

可能な限りこういった問題が起こらないよう、ネックの状態を適切に管理する必要があります…

そしてこの状態を改善する為の機構がたいていのギター、ベースには備わっています。

ネックの中にはトラスロッド、通称ロッドと呼ばれるものが入っています。これが今回の肝です。

まずはストレートの状態です。

イラストの灰色部分がトラスロッドです。実際には金属の棒です。

基本的にはストレートの状態でたわんだ状態で仕込まれています。

両側で固定されてどちらか一方のみロッドナットと呼ばれるパーツを回して調整できるようになっています。

基本的にはロッドナットを締め付けていくとネックは逆反り方向に動き、逆に緩めると順反り方向に動きます。

順反りだとなかなかのたわみようです。

逆反りだとロッドはほぼストレートに近いですね。

トラスロッド自体はネジ山の切られたロッドの先に、調整で締めたり緩めたりするためのロッドナットが取り付けられています。

こんな感じです。

なんでトラスロッドの実物があるんだ…という感じですがそこは華麗にスルーします。

ロッドを調整する時に回す方向は基本的に順反りの場合は時計回り、逆反りの場合は反時計回りです。

(モデルなどに関わらず常にロッドナットに向かっての向きです)

ここで踏み入って細かく調整方法を話すことも出来ますが…

私は出来るだけお店に来て調整してほしいのでここでは割愛します(笑)

ただ回せばいいというものではなくかなり奥が深いものなのでプロに任せるのが一番安心です。


実際の作業はこんな感じで行っています。

アコースティックギター

レスポール

ストラト


ネックを外さないとロッド調整が出来ないモデルもあり、そういうものは弦を張った時の事を考慮して若干逆反りになるまで回します。

ネックをボディに組み込み弦を張った時にストレートになるように調整するのです。

これはもう経験と慣れですね。

調整には各種サイズの六角レンチ、パイプレンチ、変なドライバー…ありとあらゆるものを使います。

基本的にはどんなギター、ベースが来ても対応出来るように準備をしています。

自分でロッド調整するのは怖いな~という方はぜひお店にお持ち込み下さい!

早ければその場で対応でお引渡しまで出来ます!

以上、リペアマン遠藤でした!

またお会いしましょう~

記事中に表示価格・販売価格、在庫状況が掲載されている場合、その価格・在庫状況は記事更新時点のものとなります。
店頭での価格表記・税表記・在庫状況と異なる場合がございますので、ご注意下さい。

この記事を書いたスタッフ

仙台ロフト店遠藤

宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!

仙台ロフト店の店舗情報

このスタッフの記事をみる

おすすめ情報