ウクレレのブリッジを交換する
みなさん、こんにちは。
今回はこちら
よく見るとわかりますが、2弦を引っ掛けるブリッジの溝が広がり、弦を張ることが出来なくなっています。
そして、作業完了し、お返しした時の状態がこちら
何が変わっているか、気付きましたか?
先程まで広がっていた2弦のブリッジ溝がキレイになっている…だけではない!
実はブリッジに使用している木材も変わっています!なんと、ブリッジを交換しているのです!
ブリッジ交換に至るまで
ウクレレのブリッジが市販されている姿、なかなか見掛けませんよね。
稀に売っていても、今、楽器に搭載されているものとは全く違う仕様であったり…踏み出したくても、踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は楽器に搭載されている既存ブリッジに合わせ新たにブリッジを製作します!
↑まずは採寸し、設計図を書きます。無くても製作は出来ますが、書いた方が自身の作業が分かりやすいので書いています。
↑この設計図を元に、板材を大まかに切り出します。
今回はブリッジ自体の強度を更に上げるため、元のマホガニー材からローズ材に使用木材を変更しています。
↑切り出した材に加工線を書き込んでいきます。
↑作業手順は技術者と内容により異なりますが、今回は中心がズレやすい、弦の結び目を掛ける部分から始めました。
半円形に削る加工は大変なので、円柱状に穴を開けています。後でキレイな半円形になる位置でカットします。
↑ブリッジの厚み出し、サドル溝加工、外周加工、弦溝加工、形状調整と進めます。すると、このような仕上がりに。
このままでも充分、使用することが出来るのですが、今回はオーナー様のご意向でツヤツヤの塗装仕上げにします。
ローズ材のように硬く、色の濃い木材を使用する場合であれば、指板のように塗装の無い、オイルフィニッシュ仕上げにすることもできます。
↑まずは塗装前の下処理として、木に塗料が染み込まないようコーティングし、導管を埋めて滑らかにします。
↑下処理が完了したら艶の出るよう、塗料を重ね、しっかり乾燥させます。画像は1度目のトップコートを吹いた時の状態です。
↑その間に古いブリッジを取り外し、ササクレや古い接着剤を除去し、接着面を整えます。
↑塗装の乾燥を終えたブリッジが、本体の接着面にきちんと密着するかを確認した上で、いざ、接着!!
接着剤により位置が滑りやすくなっている状態なので固定位置をしっかり確認し、隅々まで圧着します。このまま一晩、乾燥させます。
↑器具を外すと新しいブリッジがお目見え
このブリッジに合わせてサドルも新たに製作します。
↑まずは溝に合わせてサドル材の厚み出し。
溝にしっかり収まることが確認できたら幅と高さを決め、個体に合わせてサドルの形状を加工します。
↑弦を張り、最終的な高さ調整を終えたら完成です。
しっかり接着されているブリッジであっても取り外し交換する事が出来ます。
今回のように弦を掛ける溝が広がってしまったり、破損した場合は勿論、使用している弦ゲージに合わせてブリッジ溝の幅を変える事も。
ユーザー様の好みや使い勝手に合わせた素材変更のカスタマイズも承っていますので、まずはお気軽にご相談を。
今回の修理内容
- ウクレレブリッジの製作取付け(塗装有り)
- 元のブリッジ取り外しと接着面クリーニング
- 新規サドル製作
- Aquila 86U、ローズ材、オイル漬け牛骨材
合計金額 | ¥48,060(税込)+送料 |
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*修理費用は同じ症例でも楽器の種類や形状・仕様によって異なる場合があります。
ご不明な点はお近くの島村楽器にぜひともご相談ください。
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「この楽器の状態って弾きやすいの…?」そんな不安な点を取り除きながらプレイスタイル・楽器に合ったベストコンディションを一緒に探していきましょう!