リペアマン山本の札幌リペア道中記VOL.18
皆さん、こんにちは!
先日、長期休暇を頂きまして地元埼玉に帰省しておりました。毎回飛行機の席が真ん中のリペアマン山本です。
さて、前々回のブログで紹介したネック折れ修理。
前回のブログでは緊急ギターショウレポートで空いてしまいましたが続きがどうなったか気になっている人も多いでしょう。
今回はその気になる続きをご覧いただきましょう!
折れた面のささくれなどを針で整え、クランプでの仮止めまで行っていました。
もう一度、割れがしっかりくっつくか確認してみましょう!
うん!軽い力で割れがすっと閉じています。この“軽い力で”というところがポイント。クランプによる締め付けはあくまで元の形に固定するためのもの。
無理に力を加えて形を変えるためのものではありません。
いよいよ接着作業に入っていきます。
??????
いきなりリペアマン山本が何かを飲み始めました!
・・・
作業に疲れてブレイクタイムのコーヒーではありません。
接着に使う接着剤のタイトボンドを割れた面の奥深く隅々まで行き渡るようにストローで吸い、
吹く力で中の中まで浸透させるのです。
あらゆる方向から吹き込み、ボンドが隙間無く入るようにします。
ボンドを吹き込んだ後、ヘッドを少し閉じる方向に動かしてみると、中からボンドがうにゅ~っと出てきます。
この時、割れ口全体からボンドがはみ出てくる事を確認します。
一部分だけからはみ出てくる場合は、ボンドが隅々まで浸透していない証拠ですので手早く追加でボンドを吹き込みます。
次にクランプで固定します。仮止めを行った時の手順で素早くクランプと当て木を使い固定します。
上の写真は、ボンドを乾燥させた後。
クランプを外しはみ出た余計なボンドをふき取ったところです。
イイ感じに接着出来ています。この時点で割れ口は閉じ段差もほぼありません。
このまま、使用しても何も問題ありません。
...が!
せっかく私に修理を出していただいたのですから、このままで終わりだなんてもってたいない!
今回のギターは塗装がラッカーの黒の潰し(木目が見えない)ですので、塗装修正もしてしまいましょうとお客様にご提案させて頂きました。
という事で...
ラッカー塗料に黒を混ぜて割れ箇所周辺に塗っていきます。一度に多く塗りすぎると気泡などが入る場合がありますので、うすーく、少し塗った後に乾燥。
うすーく、少し塗った後に乾燥。
うすーく、少し塗った後に乾燥。
うすーく、少し塗った後に乾燥。
同じ事何回も言いましたが 汗
ラッカーの塗料は乾燥すると若干やせますので(最初に塗った厚みより薄くなる)実際はもっと何回も薄く塗って乾燥を繰り返しています。
十分に塗料が盛れたら乾燥を待ちます。
乾燥したら余計な塗料を平らに研磨し、どんどんサンドペーパーの目を細かくしていきます。
さらっと書いていますが、慎重にやらないと周りの関係ない塗装を剥がしてしまう事になってしまいます。
はやる気持ちを抑えて慎重に、慎重に。
最終的にコンパウンドで磨き上げると...。
ピッカピカ!!!(カメラが写りこんでしまってますね...)
しかし山本、ただピカピカに磨きこんだわけではありません。
今回のギターはお客様がバンドで使用していた“歴史”があり、塗装面も新品!の状態ではありませんでした。
写真では分かりづらいかもしれませんがひと手間加えて、修理した部分が浮くことなく、周りの塗装となじむようにしてあります。
弦を張りセットアップをしたら完成です!!
いかがでしたでしょうか?
今回の修理は、修理の中で難易度高め、修理金額も高額な部類に入るネック折れ修理。
まさか店頭で修理出来るなんて思わなかった!という人も多いのでは?
今回の修理は私が慎重に折れ方をチェックし、当て木無しでも十分な強度が得られると判断したため、接着のみと塗装修正というメニューとなりました。
ネックが折れてしまったギター、家で眠ってませんか?
ネック折れ修理は高額になる事が予想出来ますので中々修理に踏み切る事が出来ない場合もあるかと思います。
しかし折れ方や塗装によっては比較的安価で、しかもしっかりと!修理する事も出来るんです。
もしネックが折れてしまったギターがあるのであれば出来る限り早く!(折れてから時間が経つと修理が困難になり修理代が高くなってしまう可能性もあるので)
島村楽器札幌パルコ店リペアマン山本まで持ってきてください!
リペアマン山本でした!
また次回!!
問い合わせ先は
札幌パルコ店 担当:山本 TEL 011-214-2391
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埼玉出身ですが北海道大好き!道内のリペアを担当しています。寒い地域は楽器に過酷な環境...しかし!私がいるのでご安心を!お気軽に相談して下さい!