リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その81~Martinバインディング剥がれ修理2026

みなさまこんにちは!

リペアマン遠藤です!


私が仙台で10年近くギターリペアを続けて比較的多いなー、と感じているリペアはMartinのバインディング剥がれ修理です。

もう今までに何件やったか覚えていないレベルで多いです。

昔もMartinのバインディング剝がれの記事を書いた覚えがありますが、今回は2026年の最新版を書いてみようと思います。

リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その72~バインディング剥がれ接着・隙間埋めの巻!


まずMartinあるあると言っても過言ではないですが、とにかくバインディングが剥がれます。一番多いのはボディのくびれのところから剥がれます。


トップ側

バック側

前提としてなぜバインディングが剥がれるのかというと、素材自体が経年変化で縮んで剥がれるのです。

Martinが使用するバインディングが特に縮みやすいのか分かりませんがとにかく頻発します。ヴィンテージだけでなく近年ものでも関係無く剥がれます。


近年もので言うと私は2022年製のMartin 000-28を持っているのですが、2025年の冬あたりに塗装の内部で剝がれてきたなーというのを確認できました。

なのでもう少し年数が経ったら完全に剥がれると思います。

近年ものはだいたい製造から5年程度で剥がれてくる感じですかね…

新品状態からどのようにバインディングが剥がれていく経過を観察したくて買ったまであるので、その検証が出来て個人的には満足しています。


修理で接着したとしても将来的には縮んでまた剥がれる可能性は高いです。それは素材の性質上仕方ないところはあります。

とりあえず1回修理しておけば当分は剥がれないでしょう。(絶対に剥がれないという事は無いので…)



絶対に剥がれない接着材(エポキシ系とか)で接着したら?という声が聞こえてきそうですが、多分それをやるとボディの木部側が耐えきれなくなりギター自体が破損する恐れがあります。マジでやめましょう。

ちなみに修理として持ち込まれるのは例年冬が多いです。空気が乾燥したり寒暖差の刺激が要因になるようですね。



バインディングが剥がれた箇所をそのままにしておくと外圧がかかった時にどんどん広がっていくので、剥がれたらまずはリペアとして接着してもらうのが良いでしょう。


基本的にネックジョイント部まで一旦剝がしてから修理をします。

なぜかと言うと、そのまま接着しても縮んで長さが足りてないので大抵の場合またすぐに剥がれるからです。

なので、私は基本的にネックジョイント部まで一旦綺麗にバインディングを剥がしてから再接着する手法を取ります。

今回はMartin D-28のバインディング剥がれの症例を例として話を進めていきます。

というわけでバインディングを接合部まで綺麗に剥がしました。

私はヒートガンとか剃刀の刃とか有機溶剤とか色々なものを駆使して塗装にダメージを与えずに剥がします。

トップ側はボディ内部にバインディングが収納してあるので、そこから引き出せれば基本的に接合部には隙間は出来ません。

ただ、バック側はネックジョイント部で継いであるので再接着した際に微妙に隙間が出来る事が殆どです。

少しの隙間であれば埋めませんが、見た目としてあまりにも空いていると感じたらバインディングの欠片を加工して埋めます。



バインディング再接着の際の接着剤として何を使うかも色々と議論があります。

ギター工場での製造においてはセルボンという溶剤系の接着材を使用しています。

この接着剤は溶剤系なのでラッカー塗装を侵す性質があります。製造時は木工段階でバインディングが接着されるので何も問題ないのですが、塗装されているギターにおいては少々使いづらい部分があります。

しかしながら一番製造時に近い接着材なので魅力的です。



修理においては塗装を侵さないタイトボンドが使いやすいです。

一旦バインディングをネックジョイントまで剥がしてから接着であれば接着力は十分です。

ただ、一部剥がれてる部分にただ流し込んで圧着するだけだとすぐ剥がれてしまいます。


メーカー修理では接着力の強いアロン系を使っているようです。

接着力はタイトボンドもよりも高いです。

接着時にどんなに気を付けても塗装にはみ出してしまうので塗装修理も込み前提で使えます。

ただ、その分費用は高くなるので塗装にダメージを与えずに綺麗にバインディングを剥がせるならそれに越した事はないですが、その綺麗に剥がすのが一番難しいのです…

中にはどうあがいても全くバインディングを剥がせないものもあるので、そういった場合はアロン系で接着して塗装面をバフ掛けして…という対応になると思います。

決して無理をしてはいけません。



再接着の際にバインディングを固定するマスキングテープに関してもなるべく塗装にはダメージを与えたくないです。

マスキングテープは貼っている時間が長い程塗装に跡が付くので、貼る時間までしっかり管理します。

そしてマスキングテープを剥がしてバインディング周りをクリーニングをして完了です。


この個体に関してはバック側のバインディング接合部の隙間はそこまで空きませんでしたので、このままで完了としました。


現状はこのような感じでバインディング剥がれ修理を進めています。


今回のD-28のような積層バインディングの場合、白黒白黒…と幾つかのバインディングが接着されている場合、その途中の層から剥がれてくる事もよくあります。

木部と接しているバインディングの接着修理後、しばらく時が経ってから途中の層部分で剥がれてくるみたいな感じですね。

その時は割けるチーズみたいにバインディングを一旦割いてから同じように再接着して再発を防ぎます。


D-18のボディ裏ような1層のシンプルバインディングの修理は比較的やりやすくて好きです。

D-45のような貝が入ってるものは結構やりにくくて難度高いです…



結論としてはケースバイケース。そのギターの状態に応じた修理をしましょう。

私としては作業で無理にバインディングを剥がさないを心がけています。

最初にどうしても剥がしづらい場合はその時に出来る限りの事をして、しばらく時が経った後で剥がしやすい状態になったら改めて剥がしてしっかり接着でいいと思っています。

その方が楽器に対するダメージが少ないですし…

(最初からがっつり剥がして塗装まで完璧に直したい!という方には高額になりますがメーカー修理を勧めています)



いかがでしたでしたでしょうか?

Martinのバインディング剥がれ修理なら数多くの実績のある仙台ロフト店へご相談下さい!


以上、リペアマン遠藤でした!

またお会いしましょう~

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この記事を書いたスタッフ

仙台ロフト店遠藤

宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!

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