リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その73~ロッド折れ・指板交換の巻!

みなさまこんにちは!

リペアマン遠藤です!

巷ではGWですかね?私はバッチリ仕事です!

私もリフレッシュでどこか遠くへ行ってみたい今日この頃です…


では本題に入ります。

まずはこちらをご覧ください。

いきなり何コレ?な写真ですが、

指板を剥ぎ取って埋め木を取り出して、トラスロッドを摘出した状態です。

普段では絶対に見る事の無い珍しい光景ですね(笑)


こちらは店頭品のFender Cutom Shopのジャズベースのトラスロッドが折れてしまったので…

何とか再生させて弾ける状態にしようプロジェクトが始動、私が修理する事になりました。

これは今から4年前の2018年、まだ島村楽器仙台イービーンズ店の頃のお話です。


摘出したトラスロッドですが、丁度この部分で折れたようです。ロッドナットの中に折れた残骸が残っていました。

トラスロッドは基本的に折れる事は無いのですが、このように折れる時は折れるようですね…私も初めて見ました。

折れてしまうと当然ですがロッド調整は不可能となります。ネックの反りが直せないのは致命的です。

これまでの中で一番大変な作業になる事が目に見えていますが、何とか修理していきたいと思います!



今回の修理は殆どネック作り直しと言ってもいい位の作業です。

せっかくなので指板材も通常のローズウッドから更にグレードアップを図る事にしました。

今回は"マダガスカルローズウッド"という材を使用して指板作製していきます。

この材は現在では非常に希少なものとなっており次期ハカランダとの呼び声も高く、当時仕入れておいて本当に良かったと思います。


新しいトラスロッドの仕込み、埋め木を作製して接着、

そして指板材の溝切加工、切出し粗加工まで終えたところでお店は移転して仙台ロフト店へ…

場所が変わり進捗としては指板接着前ですね。

何気に指板の1本の黒いストライプの配置決めにめちゃくちゃ悩みました。

こういったデザインで悩むのはネック作製あるあるなんですかね…

キッチリ位置決めして接着!

からの指板外周整形です。

ネック材より少し大きめの状態で指板材を接着しているので、余っている部分を削っていき最終的にネック材と面一まで追い込みます。

様々な刃物を使用しズバズバと削る豪快な作業ですが、最後の仕上げは恐ろしい程に繊細な作業となります。


外周整形後は指板R加工です。

現状は指板面がクラシックギターのように真っ平なのでここから丸みをつけていくのです。

元々のヴィンテージ仕様に乗っ取り180Rで仕上げました。

工場にあるような機械だと早いのですが、このように手動ですと地味~に疲れる作業です。

元の指板を剥いだ際にサイドポジションマークが無くなったので新規で入れていきます。

現状接着材で埋まってしまっているので穴を開け直してから入れます。

いい感じですね!

ちなみにFenderだとモデルによっては指板材とネック材のど真ん中にサイドポジョンマーク打つので、ちょっとずれただけでも目立ちます。材の硬さが違うと柔らかい方にドリルの刃が流されやすいので地味に難易度の高い作業です。


指板表のポジションマークも入れました。クレイドットです。

あら、いつの間にかフレットとナットも付きましたね!

フレットはFenderヴィンテージタイプのニッケルフレット、ナットはオイル漬け牛骨です。

Fenderは通常だとフレット端の処理は斜めに落として終わりですが、今回はせっかくですのでフレット端は滑らかに丸め込み処理を施しております。

指板面は今流行りの猫だまりワックス仕上げ。しっとりとした風合いになりましたね。


最後はネックグリップの仕上げ直しです。

元から塗装無しでほぼ生木の為にガサガサの手に優しくない手触りになっていたのでオイルフィニッシュを施しました。

サラサラした非常に手触りの良い弾きやすいネックグリップに生まれ変わりました!

これでようやくネックの完成です。長かった…


そして組み込みです。

実に4年ぶりにボディを見ました。とても懐かしいです(笑)

ボディもレリックですね。なかなかの風格です。

2013年製Fender Custom Shop 1960年仕様のジャズベースです。

特徴的な仕様はずばり”スタックノブ”です。ポットの下側の黒いツマミがトーン、上側のツマミがボリュームとなっていて、リア・フロントピックアップをそれぞれ細かくコントロール出来ます。

ジャズベースの初年度1960年~1962年初期までのレアな仕様ですね。

そういえばネックのペグも当時と同じ逆巻き仕様になっていました。


そしてボディとネックを組み込み、ナットを仕上げ全体調整して完成です!

いかがでしたでしょうか?

当初は再生させる事が非常に困難と思われていましたが、何とか再生できました!

通常のお客様リペア業務と並行しながらの作業で、ここ最近では多忙を極めなかなか作業時間が取れませんでした。

まさか4年もかかるとは思いませんでしたが…(笑)


そしてこちらのジャズベースですが、仙台ロフト店にて展示販売中です!

ぜひ弾きにいらっしゃって下さい!

デジマート商品リンクはこちら

以上、リペアマン遠藤でした!

またお会いしましょう~

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この記事を書いたスタッフ

仙台ロフト店遠藤

宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!

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