リペアマン遠藤の仙台リペアブログ~その53~ステンレスフレット交換の巻!
みなさまこんにちは!
リペアマン遠藤です!
4月に入りすっかり暖かくなりましたね!
みなさま新生活いかがお過ごしでしょうか…?
さて、今回のブログは前回のリペアの続きです!
最後に謎のヒントとして指板を映していましたよね。
こちらのギターはそろそろフレットがへたってきたという事で…
今回はフレット交換です!
そしてフレットの素材も変えて元々のニッケルフレットからステンレスフレットへ交換していきます。
まずは普通のニッケルフレットと比べたステンレスフレットの特徴を解説していきましょう。
- 錆びないので艶が長持ちメンテナンスフリー
ステンレスは酸化しないのでずっとピカピカ光沢が長く保たれます。
二ッケルフレットだと定期的に磨いたりしますがメンテナンスがとても楽になりますね。
- とても硬く耐久性がある
ニッケルフレットに比べて長年の使用でもフレットが減らないのも魅力ですね。
その硬さのおかげで作業性にはなかなか難があるのでリペアマン泣かせではあります…
- チョーキング、ヴィブラートがスムーズになる
ニッケルに比べると感覚的に引っ掛かりがなくチョーキングの時「ぬるっ」と上がる感じです。
この感じは実際に弾くと分かりますがニッケルフレットとは弾き心地が変わります。個人的にはとても弾きやすく感じます。
音色面での特徴は…
- 音の立ち上がりが非常に良い
- サステインが優れている
- 高域が強調される
等があります。
硬度の違いで音色も変わりニッケルフレットに比べると硬い音になる傾向があります。
その硬い音色があまり好きでない方向けに、硬度をニッケルと同等に落としたステンレスフレットも現在はラインナップされているようです。
(フリーダムカスタムリサーチ「WARM」等)
音色としてはニッケルの柔らかい音色、それでいてメンテナンスフリーになります。
耐久性は硬度を落としているのでニッケルフレット同等になるようです。
フレットの硬度によって音色、耐久性が変わると覚えておきましょう!
解説が長くなりましたが早速作業していきましょう~
まずはフレットを抜いていきましょう。
すでに途中まで抜いてます。フレットを半田ゴテで熱していますね…
これは抜きやすくする技です。
熱したら改造した食い切りで抜きます。
綺麗に抜けました!
お次は指板修正という作業をしていきます。
指板面を削ってストレートを出していく作業です。この時に指板Rは崩さないように気を付けます。
完了したらフレット溝を切り直し…
ボール盤を使ってフレットを圧入!
入りました~
ちなみに今回のフレットはフリーダムカスタムギターリサーチ「SPEEDY」を打ってます。フレットサイズは元のフレットと同じですね。
特徴的にはTHE・ステンレスフレットといった感じのとても硬いフレットです。
そうそう、ステンレスフレットもよく切れるゴツイ食い切りを新しく導入しました。
普通のものとは作業効率と手への負担が全然違います。
今まではこの作業時に手を豆だらけにしていましたから…
切ったらサイドを平ヤスリで落としていきます。
今回はヴィンテージスタイルでフレットの足(フレットタング)が横から見えるスタイルで仕上げています。
ちなみにモダンスタイルは両端のフレットタングを切り落としてから溝をパテで埋めるので横からみるとパテだけ見えます。様々な仕上げ方があるのです。
そろそろ終盤です。肝心要であるフレットすり合わせをしていきましょう。
フレットサイドも丸め込みも同時に行います。
最後に艶出しをしてピカピカに仕上がりました。
これでフレット交換完了です!
いやぁ綺麗なフレットっていいですよね…
さて、ボディに組み込む前にこのネックにはまだやる作業があります。
このギターのリペアはまだ続いていくのです!
ネクスト遠藤’sヒント:ネック裏??
次回もお楽しみに!
以上、リペアマン遠藤でした!
またお会いしましょう~
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宮城県出身。長野県でギター製造に携わった後2017年から島村楽器仙台イービーンズ店の店頭リペアマンとなり、現在の仙台ロフト店に至ります。仙台のリペアは遠藤にお任せ下さい!