深胴スネアが急増中、そのワケは? 世界に1台の “ディープなスネア達” を徹底検証!!

こんにちは!札幌平岡店の石橋です。
今、再び「深胴スネア」が盛り上がってきています。「圧倒的なボリューム感」や「ハイピッチにしても音が細くならない」、などの特徴が見直されてきており、ラウド系ロックドラマーを中心に愛用者が増えています。
今回紹介するのは、カスタムメーカーの「トラスト・カスタム・ドラムス (以降 TRUST )」。 前回のレビュー では 14×5.5インチ と 13×6インチ という一般的なサイズを紹介しましたが、今回はとんがった 14×7 という強力な2台、、しかも NAMM2016 買付け品の「世界に1台」のスペシャルモデルです!
さて、世界中のこだわりを持ったドラマー達を魅了し続ける、カスタムドラムメーカーの実力に迫ります。
TRUST CUSTOM DRUMS とは

TRUST について語る時はまずアメリカのカスタム・ドラム・メーカー「TRUTH CUSTOM DRUMS (以降TRUTH)」の話をしないといけません。TRUTH は「ドラマーひとりひとりの要望に応えたカスタムドラムを提供する」という理念のもと、ドラムビルダーの Tim Gibson氏 と Geoff Barrios氏 によって2001年にカリフォルニア州(USA)にて創業しましたいわゆるガレージメーカーです。

Tim Gibson氏 (左) Geoff Barrios氏 (右)
サウンドからデザインまでプロ/アマ問わず一人一人のドラマーの要望どおりに二人で丁寧に仕上げる TRUTH 。その評判は、アメリカ国内において徐々に広まっていきます。2006年、同じく西海岸、豊かな自然で知られるオレゴン州に拠点を移してからも、 TRUTH の評価は上がるばかりでした。そして2012年、TRUTH は日本に向けて「TRUST CUSTOM DRUMS」ブランドが誕生させました。
そのきめ細やかなドラム作りと個性的なフィニッシュで、アーティストから一般のドラマーまで幅広い支持を集めてきた TRUTH / TRUST。
「全てのドラマーに対して、同じクオリティのドラムを提供する」
TRUST / TRUTH はそんなドラムに対する熱い思いを持った二人のドラムビルダーが作ったブランドです。
①トラスト (TRUST) Custom2-MP1470 (イエロー・マパ・バール)

販売価格:(税抜)¥128,000 ((税込み) ¥138,240)
メイプルシェル10Plyスネアドラム。アウタープライにはポプラの凸凹のある幹から作られる高級材、マパ・バール(Mapa Burl)を使用した贅沢な1台。美しい木目を活かしたイエローに鮮やかなブルーのカバリングが芸術性を感じさせます。
パーツ紹介

以下、こだわりのパーツ類を紹介していきます。
ストレイナー


Trick社製 (USA)のGS007を採用。アクションが非常に滑らかなON-OFFスイッチ(横回転)は演奏中にリムショットの衝撃などでいきなりスナッピーOFFの状態になってしまうトラブルを防ぎ、さらには「カチャッ」というノイズも少ない優れものです!!クリック式のテンション調節も緩み防止に一役買っています。光沢のあるブラックカラーが全体を引き締めます!!
スナッピー

演奏した多くの方が「スナッピーの反応が非常に良い!!」という印象を持つTRUSTのスネアドラムですが実はこのスナッピー、どこにでもあるような「どノーマル」なタイプです(しかも紐ではなくフィルム!!)。
製作者にとって重要なのはスナッピーそのものではなく、スネアベッド(スナッピーが通る部分のエッジ加工)を工夫する事だそうです(深い・・・)
シェルのエッジ部分

ベアリングエッジを見ればそのスネアのつくりが判る、と言われる程重要な部分ですが、TRUSTスネアドラムはどの個体をみても完璧な仕上がりです!!エッジ頂点を外角によせるつくりはヘッドのテンションの安定につながり、チューニング精度も上がります。
TRUSTウッドバッジ & ブラス製チューブラグ

ハンドメイドのぬくもりを感じさせるウッドバッジ。ブランドの「顔」とも言えるバッジにも一切手抜き無しの仕上がりです!!ウッドバッジならではの表情の個体差がスネアドラムに命を吹き込みます。
ブラックに塗装されたブラス素材のチューブラグ(CNCによる削りだし)は精悍なルックスを印象付けるだけでなく、豊かな響きを引き出す役割も兼ねています。
サウンド
第一印象は「とにかくボリュームがスゴイ!!」。1音1音が遠くまで飛んで行きます。気持ちよいシェル鳴りが手元でもしっかりと実感でき、7インチ深からくる十分なサスティーンと音の太さがメイプル特有の明るいトーンをさらに凝縮させています。
標準装備のヘッドはREMOアンバサダーコーテッド(114BA)ですが、海外でのデフォルトヘッド、パワーストローク4(P4-114)等の厚めのヘッドに張り替えハイピッチチューニングでガンガン叩くラウドミュージック仕様もお勧めです!!
またローピッチにしてもまとめやすく、少しのミュート(ジェルミュートを乗せる程度)で十分です。だらしなくならないのはTRUSTの特徴の一つでもあるベアリングエッジとスネアベッドの工夫によりサウンドがフォーカスされるつくりが影響していると感じます。
仕様
- シェル メイプル 10 ply
- サイズ 14×7.0 インチ
- テンション数 10
- チューブ・ラグ(ブラッククローム)
- フープ トリプルフランジフープ
- ストレーナー:Trick製
- スナッピー 20本 ステンレススチール
- カラー Yellow Mappa Burl + Turquoise Ripple Diagonal Stripe
こちらのスネアを展示しているお店:札幌平岡店
②トラスト (TRUST) Custom1-CH1470R (チェリー)

販売価格:(税抜)¥124,000 ((税込み) ¥133,920)
TRUST はどちらかと言えば、1台目の CUSTOM2 のようなルックスのイメージを持つ方が多いのですが、こちらのCUSTOM1 は「究極のシンプルさ」が魅力の1台です。シェルにはアタックが強めで明るいトーンのチェリー材を、内側には芯のある硬めなサウンドを有するオーク材 8Ply をレインフォースメントとして採用。この珍しい組み合わせから生まれるサウンドはいかに・・・
パーツ紹介

以下、こだわりのパーツ類を紹介していきます。
ストレイナー


TRUST標準装備のTrick社製 (USA)のGS007。ヴィンテージライクなルックスを持つスネアドラムに存在感の強いストレイナーが組まれる事でカスタムスネアドラムらしい雰囲気に生まれ変わります。
スナッピー

こちらもノーマルなステンレススチール20本スナッピー。交換頻度の高い消耗品に関しては特別なものをあまり使わないTRUST。何処でも入手しやすいタイプを採用する事で非常時のトラブルにも対応しやすいのが有り難いです!!
シェルのエッジ部分

内側のオーク 8Ply のレインフォースメント (補強材) はシェルの補強というよりも、サウンドをコントロールする役割を持つものと思われます。感覚的には低域が強調され、全体が一回り太いサウンドになった印象です。
TRUSTウッドバッジ & ビーバーテール・ラグ

永年使い込まれたような塗装を施したチェリー材にハンドメイドのウッドバッチ、ヴィンテージグレッチを彷彿させるビーバーテールラグ。
組み合わせが最高過ぎて、私 石橋TRUST、この画像いつまでも見てられます(笑)
サウンド
チェリー材の持つ明るさと、少し金属的とも言えるアタック音をキャラクターとして残しながらも、オーク材のレインフォースメントと7インチという深さからくる低域のふくよかさが感じられる「パワフルに枯れている(!?)」ハイブリッドサウンドです。
チューニングレンジも広いのですが、ミドルピッチ位で裏表のバランスを揃えて音の減衰がオープンになるようにチューニングを施した時のオープンリムショットは「豪快」の一言に尽きます!!
また、サウンドに関してではありませんが、持った時に「軽い」のも個人的に気に入った理由の一つです。
仕様
- シェル チェリー 8 ply + オーク・レインフォースメント・リング 8 ply
- サイズ 14×7.0 インチ
- テンション数 10
- ビーバーテール・ラグ(クローム)
- フープ トリプルフランジフープ
- ストレーナー:Trick製
- スナッピー 20本 ステンレススチール
- カラー Cherry
こちらのスネアを展示しているお店:札幌平岡店
最後に

今回は異なる素材の同サイズのスネアドラムを比較しましたが、パワーという意味では勿論問題ありません!!どちらのモデルもチューニングレンジが広く、サウンドメイク次第で幅広い音楽ジャンルにも十分対応可能と感じました。(検証後、耳栓を使えばよかった・・・と後悔しています)
さらには、パワーの向こう側にある心地良いサウンドを持っているのが TRUST の実力であり、世界中のこだわりをもつドラマー達から支持されている理由の一つでもあります。
本当に自分にあった楽器にはなかなか出会えないものです。是非とも機会がありましたらビルダーの魂が1台1台に宿る TRUST ドラムを体感して頂きたく思います!!

おまけ:なぜ TRUST なのか?


実は 「TRUTH」は商標の都合上、日本国内では使えません。よって Tim さんと Geoff さんが考えたのが、「TRUST CUSTOM DRUMS」。クオリティに対する信頼、サウンドに対する信頼、ビルダーに対する信頼、色々な意味が込められたとても力のある名前ですよね。
「TRUST」の名のつくドラムは全て、オレゴン州のTRUTHのカスタムショップにて、 Tim Gibson氏 と Geoff Barrios氏 というドラムビルダーの手により、同じ手間、同じ時間、そして同じ情熱をかけて1台づつ生み出されています。
この記事を書いた人
TRUST 国内ディーラーショップ イオンモール札幌平岡店 ドラム担当 石橋
こんにちは、ドラムバイヤー兼ドラムコーナー担当の石橋トラストです。初心者~プロの方までドラムを楽しんで頂けるよう全力でサポートいたします!

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